【感想・ネタバレ】バカと無知―人間、この不都合な生きもの―(新潮新書)のレビュー

あらすじ

正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だが、希望がないわけではない。一人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるのではないだろうか。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

無知とバカについて丁寧に表現(仕分け?)されており、私には想像でき過ぎて分かりやすかった。
知らないことを知らない。
ホントにこれは罪だと思う。
バカな人ほど思い込みや自己愛が強すぎて、本の中に出てくるような人には成りたくはない。

でも、少しだけ優秀な方に自分を置くとか。
思い当たる節があって、たぶん無知かバカのどちらかには片足突っ込んでるかも知れない。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・集団生活をしてきた人類は、秩序の維持のため抜け駆けとフリーライダーに対処しなければいけなかった。正義を快楽とし、脳は上方比較(マウント乱発でさへること)を損失、下方比較(マウントすること)を報酬の感じるようにすることでこれに対処した。上位のものを引き摺り下ろすキャンセルカルチャーは気持ちがいい行為となる。
・能力があるものは自分を過小評価し、ないものは過大評価するという研究結果をダニングクルーガー効果という。共同体で除け者や叩かられないために平均に近づけようとする性質があるのかも。
・知っていることを知っている、知らないことを知っている(宇宙がなぜあるのか、パソコンがどうやって動いているのか)、知らないことを知らない、知っていることを知らない(暗黙知とか直感、メッシがなぜ自分がサッカーが上手いのか論理的に説明できない)
・三人寄れば文殊の知恵は、知能が同レベルの話し合いでないと功を成さない。高低差があると平均効果ぎあり集合知にならない。高レベルを集めて実践しているのがシリコンバレーのIT企業。知能プラス多様性があると創発がうまれる。
・人間は徹底的に社会的な生き物なので、自尊心へのダメージは暴力と同じくらい避ける。だからマウントをするし、自己を過大評価して守ろうとする。話し合いではメンバーの自尊心を脅かすことをすると、なりふりかまわなくなるため決定の質が下がる。また、一見自信たっぷりでも内心不安な人がいるとマウント乱発でこれも質が下がる。これは避けるにはワンマン意思決定しかない。
・SNSで誰でも議論できるようになった今、バカに引きずられる平均効果が拡大している。
・人が性善説的な思考なのは脳のエネルギー節約の問題。デフォルトで信じるというようにプログラムすることで過剰な思考を避けている。
・人の脳は自尊心への攻撃を徹底的に避けようとする。また、攻撃を受けた時はflight,fight,freezeの3Fの対応をする。学校のいじめは逃走も闘争もできないからフリーズする。逃げ場のない空間に監禁するという進化の歴史にない文化が原因でもある。
・かつては年長者は年下に、教師は生徒に優越的に振る舞うような身分差の文化があった。この文化においては偉そうにされても叱られても下はそういうもんだと自尊心は傷つけられなかった。しかしリベラル化しみんなが対等になったいまは叱ることが攻撃になる。
・選挙について、ほとんどの有権者は政治的無知な状態で投票している。有権者の投票行動に対する真のコストは候補者の情報入手、検討、選択である。一票の価値がほぼゼロなのにそこまでコストをかけない。すなわち合理的無知を選択している。投票率が減るほどそういう投票者は減るため民主的な決定に近づくといえる。とはいえ、残る有権者は左右に偏った人が多いのでイコールよりよい政治になるかは怪しい。
・優生学が1.0とすると、遺伝子スクリーニングや編集などのテクノロジーは優生学2.0、親が子供のために自由意思で使用するもの。そのまえにADHD治療薬の中枢神経刺激薬が脳のエンハンスメントに使われる時代がきそう
・人が自分より得するくらいなら代償を払ってでもそれを防いで相対的に自分が得する方を選ぶ。集団内での地位競争の結果得た性質と考えられる。たとえば相手が金貨を11、自分が10持っていて、自分が9、相手が11失う選択があると、代償が大きいが地位が逆転するため選びうる。つまり絶対的損得より相対的損得を人は重要視する。
・教育において、自尊心は報酬。結果がよくなきのにほめまくってもそれは報酬を先に受け取ることになるから逆効果。結果➡️誉める➡️自尊心のプロセスが必要。自尊心が高いと失敗しても粘り強く続けることができる。
・ピグマリオン効果=教師が生徒の能力に強い期待をもつと、実際に生徒の能力が向上する現象。薬の治験の試薬かプラセボかのテストも同じ。この効果は結局成績が悪いのは教師のせいだとなるため封印に近い状態にある。
・トロッコ問題にオランダの心理学者ド・トルーが、5人の代わりに犠牲になる1人の作業員にオランダ人、アラブ人、ドイツ人の名前をつけた。被験者のオランダ人は作業員を救うのに名前での差はほとんどなかった。そこで、愛と絆のホルモンであるオキシトシンを被験者に分者した。結果はオランダ名を救おうとする割合がすごく高くなった。結果としては、オキシトシンで愛と絆を高めると、内集団贔屓を強め利他主義にする効果がある。愛と絆は排他的になる。

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2025年05月13日

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