あらすじ
夢の中では間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう大学院生・井森建。彼は郷里に帰省して小学校時代の同窓会に参加する予定だったが、駅前の食堂で気絶してしまう。そして失神中に見た夢の中で、活発な少年ピーター・パンと心優しい少女ウェンディ、妖精ティンカー・ベルらに遭遇し、ネヴァーランドと呼ばれる島へ行くことになる。だが、ピーターは持ち前の残酷さで、敵である海賊のみならず、己の仲間である幼い“迷子たち”ですらカジュアル感覚で殺害する、根っからの殺人鬼であった。そんなピーターの魔手は、彼を慕うティンカー・ベルにまで迫り……『アリス殺し』シリーズ第4弾。
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Posted by ブクログ
全体的に残虐性が高くていつも通り!って感じ
富久がフックではないのは引っかけで分かりやすかったし双子が2組いるのはわかったけど、誰が双子かまでは考えが至らなくて結局犯人あてできなくて悔しい…
ピーターが2人いるなんてわかるか!ずるい!って思ったけどよく読むと一人称僕と俺でわかるようになってるんやなあ…
混乱して何回か読み直した
結局アリス殺しの伏線(?)のレッドキングとかこの夢のリンクについての詳細は分からないまま作者が亡くなってしまって本当に悲しい…
井森くん、平穏な日常が戻るといいね…
とても面白かった!!!!
Posted by ブクログ
アーヴァタールが殺されたら本体が死のループから抜け出せるって思ったけど、アーヴァタールが本体と別人格認識だったら死の選択肢すら持たないし、そもそも死のループに入った時には本体が冷静に判断できる状況じゃないし、どっちみち死亡エンドになるからどうやっても報われない。
Posted by ブクログ
いわゆる「メルヘン殺し」シリーズ第4弾。アリス、クララ、ドロシィと続き、今回はティンカーベル。相変わらず、地球とが存在する世界で物語が展開される。
アーヴァタールが死亡すると地球上で対応する人物が死亡するが、地球上で死亡してもそれは「夢」という形で残り、アーヴァタールが死亡するわけではない。共通する登場人物は、地球上では大学院生の井森建であり、そのアーヴァタールは「不思議の国の喋る蜥蜴」ビル。基本設定はそのままで、様々な世界で犯罪が起こる。
今回はピーターパンの世界が舞台。井森は雪山の旅館で開かれる同窓会に参加している。ピーターパンに対応する人物は日田半太郎。同窓会の参加者や旅館の従業員にも、ピーターパンの世界に対応するアバターを持つ者がいる。ピーターパンは無差別に殺人を繰り返し、その度に同窓会の参加者や旅館の従業員が犠牲になる。
シリーズのお約束として、地球上のAという登場人物のアバターがBに見せかけて実はCだった、という展開が今回も登場する。今回は、同窓会に参加している教師・富久が「フック船長」に見せかけて、実は「ウェンディ」だったことがポイントだ。しかし、富久≠フック船長は明白で、富久=ウェンディも予想内であり、意外性には欠ける。
さらに今回は、富久が地球上で死亡し、夢という形で過去に遡る特性を利用している点が新しい。物語の大きな特徴として、双子が1組しか存在しないと見せかけ、実は2組の双子が登場。そのうちの1人が犯人だった、という叙述トリックが使われている。ティンカーベルを殺害する場面では「ピーター」という名前が登場し、ピーターパンが犯人だと誤解されるよう描かれているが、実際にはピーター・ダーリングという人物が真犯人だった。この点は意外性があるが、伏線が露骨で驚きは薄い。
謎解きを行うのは地球上では樽井友子、ピーターパンの世界ではウェンディ。樽井友子=ウェンディと思わせる記述もあるが、細かな点を考えると、樽井友子は実はマブ女王であると明かされる。
また、双子がウェンディを殺害しようとした動機も重要なポイント。双子がウェンディ=富久を殺害しようとした動機は、地球上で富久が教師として生徒に性的な悪戯を行い、そのせいで双子の将来が台無しになったため、富久=ウェンディを殺害しようとしたのだ。この動機はアーヴァタールと地球上の関係を踏まえたものであり、物語の核心をなす。
この作品はシリーズ全作を読んでいることを前提としており、新規読者への配慮は少ない。アーヴァタールの特性を登場人物が利用し、それが動機や展開に深く関わる点は進化を感じさせるが、複雑さゆえにマニアックになりすぎている面もある。著者の小林泰三が亡くなったことでシリーズは幕を閉じたが、これ以上複雑化しなかったことは結果的に良かったのかもしれない。
叙述トリックの巧妙さやアーヴァタールの特性の活用など、全体の完成度は高い。しかし、純粋な驚きは薄く、上手い作品だと感じるものの、突き抜けた要素には欠ける。評価はギリギリの★4。
Posted by ブクログ
言葉遊びの相手が、ビル以外にもう一人増えて、今回はビルが多少まともに思えてしまいました(笑)。
今までのお話も、殺人のハードルが低かったですが、これを読んでしまうと、まだまだだったんだなと思ってしまいます。殺人事件の容疑者を探しているはずなのに、事情徴収がてら殺していくっていう、矛盾を突き進む感が凄いです。息をするように殺しまくるピーターパンが、どこまでも怖い。参考文献の本が読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
まず小林先生のご冥福をお祈りいたします。
不思議の国を探し続けて、三千里、相変わらず蜥蜴のビルは彷徨っていた。今回、彼が紛れ込んだのはネヴァーランド。
そこでは殺人鬼さながら、ピーター・パンが海賊や仲間である迷子、赤膚族・陽性を気ままに殺していた。
殺伐としたその島へ約束を果たすべく戻ってきたウェンディ。
無邪気な殺意を誰にも向けるピーター・パン。その殺意はティンカ・ベルにも向けられて……。
シリーズの最後まで読みたかったです。それはかなわない夢となってしまいましたが、この作品も楽しく読ませていただきました。
Posted by ブクログ
ものすごくバタバタと人が消えていった…
犯人は分かってるのに何のための調査??と思いながら読み進めていましたが、…ティンカー・ベルだけは理由がある普通の?犯行でした。
ラストも、どうまとまるのか?と思いましたが、うまいこと悪い人は悪い目にあっていたので、まあ…スッキリ…
でも、ちょっとグロかったかな。
今回に限ってではないですが(^_^;)