【感想・ネタバレ】落語の凄さのレビュー

あらすじ

一人の着物を着た人がただ座布団に座って話をするだけ。古典落語になると、観客も話の筋も落ちもわかっていることがある。そんな演芸がなぜ日本人をこんなに惹きつけるのか? 本書では、人気落語家5人が演芸写真の第一人者に、落語ならではの魅力を語り、さらに自身の落語との向き合い方を本音で語る。「噺の全体を聴いていただくことで、脳をゆっくりほぐしてる」(春風亭昇太)、「(落語は)ドラえもんの四次元ポケットみたいなもの」(桂宮治)、「落語の強さは、やっぱりわかってる奴がいかに順番、役割の自覚を持って最後のトリに渡していくか(による)」(笑福亭鶴瓶)、「奇跡的な空間そのものがすごくいい」(春風亭一之輔)、「日本人が日本人らしく幸せに、のんきに生きられる方法論」(立川志の輔)――。観客と演者の狭間に身を置く立場だからこそ引き出せる、奥行きのある話が満載!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

演芸写真家を拝読してから橘さんの存在を知る。
そしたら、こんなに素敵な本を出版されていて、すぐに購入。
大好きな師匠ばかりとの対談だったので、声の脳内再生が余裕だった。
橘さんは「落語の凄さとは、落語の世界に通底する優しさである。」とあとがきで書かれていた。
自分は、その優しさに触れたくて、落語を聞きに行っているのかなと感じた。
これからも先入観をもたずに落語を楽しみたいなと思わせてくれた一冊。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

贔屓にしている落語家がいる。その人が常々口にしているのと同じ考えが描かれていると知り読んでみた。
演芸写真家の橘氏と昇太、一之輔、鶴瓶、宮治、志の輔の5人との対談。
対談本って安易で退屈なものが多いが、この本は読みやすくて内容が濃い。

昇太
p41
落語ファンが落語を楽しむ秘訣は? の答えとして
*昇太:余計な知識を入れないことかな。僕も落語ファンだったときに、だんだん笑えなくなってくるんですよ、僕がね。笑わなくなったんですよ。なぜかと言うとね、「今日はこの人なんのネタやるのかな?」とか「このねたですか」とかね。あるいは、「このネタ、誰から習ったのかな?」とか。
橘:批評家っぽくなってくるんですね。
昇太:落語って簡単なんで、すぐ評論家になれるんだよ。だから、なるべく評論家にならないっていうのが、落語を楽しむ一番の秘訣だと思う。

p121
*鶴瓶:僕、「縁は努力や」と言ってるんです。やっぱり粘着しないと、簡単にはがれたりはずれてしまったり、もう一生会わへんかったりする。やっぱりお礼とか、あたり前のことをあたり前のようにできないと、縁は保てないですよね。みな、忘れてるんですよ、それを。自分で円を薄くして、はがれやすくしてる。縁は、やっぱり努力なの。

p133
さまざまなエンターテインメントの中で落語だけにある凄さは?と聞かれて。
*落語は、特定の人間がそこへ集まって、黙って聴こうっていう空気をつくらないとできないという弱さがありますよね。~~
落語の場合は、いかにお客さんを恥ずかしがらせないように(※落語家がすべったらお客さんもすべったみたいになって恥ずかしい)空間をつくるかが大事。寄席に行くと、次の人が、次の人がいうて楽屋で次々と出番を持ってる。それぞれが自覚を持って最初の人はこれ、2番目の人はこれする、その後にバトンつなぐっていう、そのすごさはあります。だから、寄席に出る人全員が、ちゃんと順番わかって、自分の役割をちゃんとわかってたら、すごいミュージカルですよ。ド頭からトリまでの。中トリも。ただ、一人でもそれがわからん奴がおったら乱れますよね。だから、そのルールがわかってることがすごく大事なんですよ。
「お前、そこやねんな。わかった。ほんだら僕はこういこう」いうて、バトンをつないでいくと強いですよ。そこに一人でもわからん奴がおって、ただ自分だけでと0いう奴がおったら、そんな脆いもんはないですよ。
落語の強さは、やっぱりわかってる奴がいかに順番、役割の自覚を持って最後のトリに渡していくかって。そんなええリレーはないですよ、あんまり。

志の輔
p206
*これは、あくまで私の〝個人の感想”なんですけど(笑)、落語って、日本人ならではの人との付き合い方だとか、つつましくても楽しく暮らすための、ちょっとしたヒントが詰まってると思うんですよ。~~
落語家のほうも、師匠や先輩から教わった落語が実際に高座でうけたとき「先人たちが江戸時代からずっとつないできた、日本人が日本人らしく幸せに、のんきに生きられる方法論が書いてある、魔法のようなお話。それが落語なんだ」ってことに気がつくんです。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

昔は古典落語ファンが多く、古典落語こそが落語の本道だと思われてたそう。高座で一番うけていても、新作というだけで異質に見られていた状況で、「やりたいことも評価されることも、両方やればいいんですよ。」と新作落語をやり続けた昇太師匠。今では笑点の司会者ですもんね。
宮治師匠のことは、笑点メンバーに選ばれたことで初めて知り、アマプラで観てみて、この人すっごく落語が好きなんだろうなぁという印象でした。枝雀師匠の高座を見て、「何百人というお客さんが、たった一人のおじさんが喋っているのを聴いて、信じられないくらいひっくりかえって笑ってる。こんな人になってみたい」と落語家になったという宮治師匠の落語を生で聴いてみたいです。
テレビではタレントとしての活躍されてる鶴瓶師匠。本格的に落語をやろうと思ったのは2007年とのこと。お忙しい中、本当に一生懸命落語に取り組んでらっしゃるのが伝わりました。「こっちがすべってたら自分らもすべったみたいになるから、お客さんを恥ずかしくさせてはいけない」と、毎日すごい量の稽古をされている。恥ずかしいというか、大丈夫かなと心配しながら聴いた経験はあるけど、確かにしんどかった。
私が落語にハマったきっかけの一之輔師匠。嫌なことがあったり、気分が滅入ってても、そんな事全部忘れさせてくれるように腹から笑える噺家さんだと思います。これだけ活躍されてるんだから、真面目に落語に取り組魔れてるんでしょうけど、そんな事ないよ〜みたいな力んでない感じが好き。ラジオも面白いしね。
「ためしてガッテン」と龍角散のCMのイメージが強かった志の輔師匠。少し前に「志の輔らくご」を聴きに行ったけど、オーラ半端なかった。談志師匠に鍛えられ、認められた一番のお弟子さんなんでしょうね。PARCOでの一ヶ月公演では、ずっと同じネタをされるって、それでもすぐにチケット完売してしまうって、やっぱり凄い噺家さんなんだなぁ。

対談で共通して口にしたのは、落語を楽しむコツは“先入観をもたない”ことだと。どんな分野でも通ぶって知識をひけらかす人っているけど、そんな事を気にせずに自分の感覚で楽しんでいいんだなと改めて感じました。まだまだ落語に関して知らないことだらけの私は、純粋に落語を楽しめるってこと。これからも生でいろんな噺家さんの落語を聴いていきたいと思います。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

落語の奥深さが少し分かった気がする。
やっぱり、鶴瓶はすごいよなあ。
BIG3とか言われるけど、
この人を忘れちゃいかんですね。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

対談形式で読みやすいというのもあるけれど、一気に読み切った。

落語家と落語家の写真を撮り続けてる写真家のお話だけれども、要は落語という容れ物の中の人間のことを書いている。

人選の妙もあり、容れ物の中で様々な活動と葛藤をしてきた人たちの話は飽くことない。さらっと読める人生白書だ。

橘蓮二氏の話の引き出し方も良い。写真で一言、じゃないけれども印象的な一枚を持ってきて饒舌に舌を湿らすのも大したもの。

落語という背景をある程度知ってるからすんなり話に没入出来てるのかも、しれないけどね。

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2022年10月12日

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