【感想・ネタバレ】ケルト人の夢のレビュー

あらすじ

一九一六年,大英帝国の外交官であった男に死刑が執行された.その名はロジャー・ケイスメント.植民地主義の恐怖を暴いた英雄であり,アイルランド独立運動に身を捧げた殉教者である.同性愛者ゆえに長くその名は忘れられていたが,魂の闇を含めて,事実と虚構が織りなす物語のうちによみがえった.人間の条件を問う一大叙事詩.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2010年のノーベル文学賞受賞作家の最新作。
とはいってもスペイン語版がでたのが2010年なので
もう11年も前です。
 これまでのリョサの本とは異なり、いわゆる歴史小越です。
実在の人物アイルランド人のケイスメントの人生を振り返る話。ケイスメンとはコンゴでそしてペルーで原住民の人権が蹂躙されているのを見聞きし、その問題の解決に取り組む。
その過程でアイルランドの問題も未開の部族の問題から敷衍すれば理解できることに想到する。コスモポリタンであるケイスメントがナショナリストになっていくという皮肉。
 そしてケイスメントは同性愛者である。
理想と現実の間に挟まれながら、ケイスメントは突き進む。真剣なのに滑稽、絶望的なのに理想主義者であり続ける常に前のめりの姿勢を崩さぬまま、ついに足元を救われて、泥沼に頭から突っ込んでいくようなケイスメントこのような人物こそ顕彰に足る人物だとリョサはいいたかったのではないだろうか?
 多くの人に読んでもらいたい本。

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2021年12月22日

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