あらすじ
~ミステリ作家からの挑戦状~
登場人物全員、同姓同名!
大胆不敵、大混乱ミステリ待望の文庫化。
大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て
練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。
週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」ーー。報道後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった
“名もなき"大山正紀たちの人生が狂い始める。
これは、一度でも自分の名前を検索したことのある、
名もなき私たちの物語です。
書き下ろし短編「もうひとりの同姓同名」収録
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ好き
同姓同名だからどの人だっけとかややこしくなるかなって思ったけどそんな事なくて分かりやすかったし、結びつくから面白かった
本だからこその叙述トリック満載で大好物でした
どちらの最後もちょっと胸糞だったけどね
Posted by ブクログ
「大山正紀」が次から次へと出てきたが頭の中で整理しながら読み進めることができた。何回か騙されることがあって、次はどうなるのか?次は??とページを捲るのが楽しみでサクサク読むことができた。
・1番怖いのは自分には誹謗中傷していい人間を決める権利がある、と信じている人間たちである。
・ 奴は俺たちの人生に踏み入ってはいないんです。俺が、俺たちが大山正紀であることは変えられないし、犯人が大山正紀であることも変えられないんです。
Posted by ブクログ
日本を騒がせた猟奇殺人犯と同姓同名で人生を狂わされた10人がオフ会で集まり状況を打開しようと奔走する斬新な切り口のミステリーで、終始「どのような結末を迎えるんだろう?」というドキドキでいっぱいだった。事件に決着がついたと思いきやエピローグで…
Posted by ブクログ
犯罪者と同姓同名だったことで誹謗中傷される、今どきはネットで瞬く間に広まり晒し者にされる。この怖さを存分に味わえる。サッカー部だった大山正紀が自力で自分を再生する行動を取るのが強く印象に残る。気になるからネットから距離をとる、そうだよね。
文字のみでたくさんの大山正紀を書き分けた筆力はさすが!
Posted by ブクログ
多くの大山正紀が登場する作品。
現代のSNSの問題と絡めたミステリーでありとても面白かったです。
ただ、どの大山が話しているのかが分からなくなることが少しありました。
どの大山が話しているのかが分からないとトリックに気づくことも出来ないので、しっかり理解することをお勧めします。
サッカー部だった大山正紀さんはとても強い人だなと思いました。後日談が描かれることはないと思いますが、プロ目指して頑張ってほしいです。
本屋で見かけた時そんなミステリーを描くことが出来るのかと不思議に思いましたが、想像以上の面白さで楽しませてくれる作品でした。
Posted by ブクログ
主要人物ほぼ大山正紀というタイトル通りの同姓同名ミステリー。
場面が何度も変わり、どの大山正紀も怪しく見えるが…展開は読めそうなものの見事に騙されてしまいました。
エピローグ含めて裏切りの連続でした。
同姓同名にあったことはあるものの偽物と思ったり、嫌悪感を抱いたりなどなかったので共感しきれない部分もありましたが、事件に関係するとまた考え方は変わるのかなと感じました。
感想を書いている間も殺人事件についての報道が流れ、加害者と被害者と同姓同名の方は思うことがあるのかなと考えさせられました。
Posted by ブクログ
話題だった時に、積読リストに入れていました。
凶悪犯罪者が自分と同じ名前「大山正紀」だったために、理不尽に人生を振り回された「大山正紀」たちの物語です。
凶悪犯罪とはいえ少年犯罪だったため名前や顔は伏せて報道されていたのに、正義を振りかざした人々がSNSで犯人のプライバシーを明かしてゆきます。
その結果、犯人ではない「大山正紀」は名前を明かすだけで嫌悪感をあらわにされたり、学校推薦や就活で不利になったり、いじめにあったり・・・
更に、同姓同名の無関係者を犯人だと決めつけて拡散されるという悪循環が続いてゆく・・・
誰にもわかってもらえないこの苦しみを慰みたいと、SNSで同じ被害にあっている人々を募り、「大山正紀」を名乗る人物が9名集まって・・・というお話です。
展開にちょっと無理があるのですが、現実の世の中でもマスク警察など、正義を振りかざす人々は出現しますし、TV報道はされていなくてもネットの世界ではプライバシーがない、という状況はよく見かけます。
なぜそんな、会った事もないような他人のことが気になるんでしょうかね。
SNSで批判したり暴露したりがエスカレートしたら誰も幸せになれないのに・・・
そして、その延長でエコーチェンバー現象(共鳴室現象)が起こる・・・
これはSNSなどで同じ主張の者同士が集まり、互いの主張を肯定し合ううち、この主張が絶対的に正しく常識的だと思い込み、他の主張を一切認めなくなる現象。閉鎖的なコミュニティは必ず攻撃的になるそうです。
SNS上ではいわずもがな、「大山正紀」の会でもそうなったし、なんか本当に現代って生きづらいとうんざりしながら読みおえました。
SNSとの付き合い方はなんとかしないと、特に若い子は世界が狭いから本当に救いがなくなるよ。
Posted by ブクログ
同姓同名の大山正紀が犯罪をしたことで、大山正紀は人生を狂わされる。
人生がうまくいかないのは大山正紀のせいか、人生を取り戻すためにはどうすればいいか、ミステリー、SNSの社会問題、自己啓発などの一面がある面白い題材の小説。
ただ最後は、下村さんらしくしっかりしたミステリーで着地させてました。
Posted by ブクログ
深刻なんだけど、読んでいるとなぜか可笑しくなる。笑い事じゃないんだけれど。
あらすじからして面白そう。実際、凶悪犯と同姓同名というのは嫌なものだろうし、就職試験で内定がもらえないのも名前が原因かもしれないと思いたくなるだろう。
それでも、実際の被害者遺族や加害者家族よりましだと言われてしまう。微妙な被害。
被害者の会が迷走していくのもとてもリアルだし、最後のどんでん返しは意外だった。
そして、終盤で登場する「大山正紀」の切々とした言葉は、同姓同名とまったく関係が無い私も考えさせられるものだった。
名前に負けない生き方をする。
彼のこれからを応援したい。
そして、本当に最後の最後、名前から逃げた「大山正紀」。
彼のこれからの人生は、いったいどんなものになるのだろうか。