あらすじ
ウッドショック、ウクライナ危機…日本の森林資源をどう生かす?
3本の矢を放てば、森林が数百兆円の国富となる
(1)デジタル技術による国産材サプライチェーン1000カ所構築
(2)木材を廃棄せず、木質バイオマス燃料に安定供給
(3)丸太や製材ではなく、サッシ、断熱材を組み込んだ木造建築部品として輸出
<カーボンニュートラル時代、「森林列島・日本」を再生する事業プランを提示>
日本は森林面積が国土の3分の2に及ぶ森林大国。だが、これまで木材を輸入に頼ってきたため、国内林業は衰退し、木材産業や建築業、不動産業とつなぐサプライチェーン(供給網)も分断されてしまった。そうしたなか、国際的な木材の供給不安が発生、木材価格が暴騰する「ウッドショック」と呼ばれる事態を引き起こしている。直近ではウクライナ危機を受け、さらに先が見通せなくなっている。
森林大国の日本にとって、豊富な資源を生かさない手はない。本書は、森林という資源の現状とその未来を問うものである。「森林列島」を再生するために、林業や林産業ではなく森林産業を構想し、国土を有効活用する事業案を起草する。
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Posted by ブクログ
森林について深く知りたいと思い読んだ本。
おもしろい。
メモ
・横架材における輸入材の強さ。国内自給の低さ
自給率向上の立役者は低位階層製材と可燃燃料への供給による
・世界的な人口増による需要増と海上輸送コスト増は今後のトレンドとして定着するだろう
・スギ原木1m3あたり1.8万円、ヒノキでも2.7万円
・所有者不明林地28.2%、不在村地主24%
直接交渉する相手がわからかいのが半分以上
・立木資産は資産化され伐採時に売上原価として計上される
・将来CFを予測するために必要な構成要素
立木生産の収支
立木販売以外の副収入、森林保険、森林認証の取得コストなど実際の森林経営で発生する収支
森林資産への投資を想定したプライシングに必要となる林地購入価格と売却価格などの予測地
・米国TIMOの平均名目リターン 10-15年の平均5.7% 内訳は4割が木材生産、6割がキャピタルゲイン
・森林ファンドの投資リターン追求のためのマネジメント
期間損益の確保 減価償却伴う先行投資や徹底したコスト管理、木材最適販売方法追求
資産価値向上 集約化による規模経済、数理モデルによる材積予測、最適伐採期算出など
インセンティブ経営 報酬制度
強固なガバナンス 専門的スタッフ、分業体制
・最重要ポイントは再造林育林可能な適正価格で立木を販売すること。そのために供給側が団結して新たな木材サプライチェーンのフローを作り出す必要。
・日本の林業は単体での産業化は難しい。
建築のデジタルデータと繋がり、木質バイオマストいうエネルギー産業との共存を図る森林連結経営によって日本の森は蘇り、新たな価値を生むことができる。
・有効な触媒は大型パネル。
・川上と川下の情報連動、中間土場の整備など物流フローの強化、プロジェクトファイナンス的な相対取引関係の構築、垂直的連携、系列化のための諸策