【感想・ネタバレ】透明人間は密室に潜むのレビュー

あらすじ

透明人間が事件を起こしたら? アイドルオタクが裁判員裁判に直面したら? 犯行現場の音を細かく聞いてみたら? ミステリイベント中のクルーズ船で参加者の拉致監禁事件が起こったら? 波に乗る著者が放つ高密度の本格ミステリ! 読めばファン確定。2020年のミステリ・ランキングを席巻。驚嘆必至、必読の傑作短編集!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「彼女に色をつけてもらうのは、いつか彼女がどこかに消えてしまうのを、ひたすら怖く思うからなのかもしれない。彼女が透明になってしまえば、ぼくには見つけ出す手段がない。詰まるところ、国を挙げて、医療を駆使して、透明人間に色を与え続けるのは、われわれのそうした恐怖に由来するのではあるまいか?」p32

彼らが透明なのではなく、われわれに色が付きすぎているだけだと」p38

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2025年02月25日

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ネタバレ

おすすめされていた本。4つの作品からなっており、様々な設定のミステリが読める。個人的にアイドルを扱った2つ目の作品が面白かった。アイドルではないけど自分も追っかけている存在がいるので、そういうのあるよねーってなってしまった。後、透明人間ネタの引用にジョジョ四部があってびっくりした。そういえば透明人間ネタあったよね。それからラストの作品の弟くんの猫被り具合が凄すぎて笑ってしまった。探偵役の裏に隠れる探偵っているよね。どれも読みやすくて面白かった。他の作品も読んでみよう。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

透明人間は密室に潜む

透明人間って便利に思えて確かに結構不便だなーと気づきを得られた。オチも好きな終わり方。

六人の熱狂する日本人

1番好き。登場人物の会話がとにかくシュールで面白い。

盗聴された殺人

耳がめっちゃ良い探偵が事件を解くという斬新な設定があって、謎解きもユニークで良かった。

第13号船室からの脱出

4作品の中では1番ど真ん中ミステリーって感じだったけど、複数のどんでん返し要素もあり面白い。

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2023年12月17日

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ネタバレ

● 感想
 特殊設定ミステリ、ユーモア群像劇、ガチガチの本格、知的ゲームモノという4種類の短編からなる短編集。どれもクオリティが高く、阿津川辰海の本格ミステリ作家としての実力がうかがわれる作品。
 どれも外連味はそれほどないが、しっかりと地に足のついたロジックで描かれている。設定には派手さがあるが、ロジックは堅実。どこか山口雅也を思わせる作風でもある。
 白眉は「六人の熱狂する日本人」。映画『キサラギ』を彷彿とさせる群像劇であり、シチュエーション・コメディ風でもある。コンサートライトホルダーに付いていた血と、御子柴さきに会いたいという動機から事件の真相として真犯人が御子柴さきだと見抜くという展開は圧巻。ただ、法廷モノ、裁判モノはあまり好きではない。個人的な嗜好だが、この点は割り引き
 ほかの作品も秀作ぞろい。それなりの派手さもあり、堅実なロジックも面白い。★4の上の方
● 透明人間は密室に潜む
 特殊設定ミステリ。透明人間病という、細胞の変異により全身が透明になる病気が存在する世界。ある女性が、透明人間病の治療を可能とする薬を開発した川路昌正の殺害を計画する。その女は、透明人間化抑制薬を飲むのをやめ、完全に透明人間になって川路昌正を殺害しに行く。
 内藤という男は、妻が不貞をしているのではないかと疑い、茶風義輝探偵事務所に調査を依頼する。その調査結果は、川路昌正の殺害を計画しているというもの。探偵と内藤は妻を尾行し、殺害直後に部屋に踏み込む。
 殺害直後、完全に透明人間になっている女を捜査することになる。川路昌正は、顔を切り刻まれ、裸にされて包丁を突きつけられていた。
 殺害現場から透明人間が出られないようにして、透明人間を探す。見つからない。どこにいるのか。探偵は、殴り殺された川路がさらに包丁を刺されていることから、透明人間の居場所を推理。透明人間は、死体の上に寝転がっていたのだ。
 さらに明かされる真相。内藤とその妻・彩子が住むのは901号室。その向かいの902号室に2つの死体。1つは渡部次郎という男。女は…内藤彩子だった。内藤彩子だと思われていたのは渡部佳子。メイクアップアーティストだった。渡部佳子は夫からDVを受けていた。内藤彩子をうらやましく思い、殺害。入れ替わっていた。
 特殊世界系のミステリ。透明人間の隠れ場所がミステリとなっており、さらに人物入れ替わりというトリック。特殊世界モノでありながら、本格ミステリとなっている。よくできたミステリ
● 六人の熱狂する日本人
 映画『キサラギ』っぽい雰囲気がある、裁判員裁判モノのミステリ。裁判モノは正直、あまり好きではない。とはいえ、この作品はコメディタッチで、裁判員6人はいずれもアイドルオタク。被害者と被告人もアイドルオタク。アイドルグループ「Cutie Girls」のファンが入り乱れる。
 まず、裁判員6番が自分が「Cutie Girls」ファンのアイドルオタクであることをカミングアウト。被告人は、アイドルオタクの風上にも置けないので死刑だと言い出す。2番も同様にカミングアウト。1番もまた、「Cutie Girls」ファンであり、御子柴さきというアイドルの話をする中で、コンサートライトに違和感を持つ。3番も御子柴さきのファン。5番も軽度のアイドルファン。4番は元アイドルだった。
 4番は御子柴さきと親交があり、被害者は御子柴さきのストーカーに似ている。被告人は御子柴さきをかばっている? 被告人のアリバイも立証され、御子柴さきが真犯人かのような推理が進む。本当に御子柴さきが犯人と思われる事実がいくつも出てくるが、結局、法廷には御子柴さきは来ない。御子柴さきの裁判があったとしても別の裁判員が選ばれるということを思い出し、裁判員たちは一転、被告人の意思を尊重し、有罪にしようとする。最後、裁判長もアイドルファンで、被告人を有罪にしようとする裁判員に力を貸すというオチ。
 映画『キサラギ』は好きな映画であり、「ウリャオイ」の掛け声も含め、『キサラギ』を思わせる展開は純粋に面白い。ミステリとしては、シンプルさに欠ける点と、裁判モノという点が個人的には割り引き
● 盗聴された殺人
 耳、音を聞き分ける能力が高い山口美々香が手がかりを集め、探偵役である大野糺が推理をする探偵事務所のコンビが登場
 冒頭で、足音の違いから歩き方の差異を聞き分けて犯人を特定する様子が描かれる。
 メインとなるのは、1年前に起こった山口美々香の失敗談「テディベア」の話
 浮気調査のために盗聴器を仕掛けたところ、殺害現場の音が録音されていた。盗聴器を仕掛けていたせいで、殺人犯の容疑をかけられた大野は、その屈辱を晴らすために、山口の能力を使って真犯人を暴こうとする。
 手がかりとなるのは「不協和音」。被害者・国崎の家での捜査。不協和音の下地の音は加湿器であることに気づく。
 決め手となったのは「一定の大きさの足音」。山口からの報告を聞いた大野は外出。そこに探偵事務所のもう一人の事務員・深沢が戻る。山口は深沢に、盗聴器から聞こえた「一定の大きさの足音」のことを告げる。
 そこで深沢が本性を現す。犯人は深沢。不協和音の原因はファックス。ファックスの音が小さかったことがわかり、テディベアがファックスのあるリビングではなく、被害者の部屋にあったことが明らかに。殺害現場は被害者の部屋だった。
 本来であれば、盗聴器に近づく音か、遠ざかる音しか鳴らないはずなのに、一定の大きさの足音が聞こえた。それは、犯人がテディベアを持って動いたから。盗聴器の存在を知っていた。つまり、犯人は盗聴器を仕掛けた深沢
 探偵事務所は3人。深沢が辞めた後、新しいメンバーを雇っている。これはちょっとした叙述トリック。冒頭に「3人の事務所」とあることで、深沢が今も働いていると誤認させている。
 ちょっとしたエピローグ的な話があって終わる。
 いわゆるガチガチの本格ミステリ。外連味はそれほどないが、「音」を手がかりに真犯人が暴かれる。
 盗聴器に一定の足音が聞こえる→盗聴器を持って運んでいる→盗聴器の存在を知っている→仕掛けた人が犯人、というロジック
 もちろん、現実的には「たまたま」盗聴器があるテディベアを運んでしまうおそれもあるが、それに伴う偽装がなされていると考えると、犯人は盗聴器を仕掛けた調査員に限定される。分かりやすくシンプルなロジック
 質実剛健な本格ミステリ。探偵事務所の調査員が犯人というのは意外性もありそうなのだが、ミスディレクションになり得る人物がほかにいないので、さほど意外性はない。そういう意味では叙述トリックはあまり生きていない。
 読んで、「よくできているな」と感じる、古典落語のような短編。短編ミステリのお手本のような作品。こういう作品を書けるところから、阿津川辰海の実力が分かる。
 ただ、個人的には、外連味がある、どんでん返しのある短編の方が好き。
● 第13号船室からの脱出
 脱出ゲームのテストプレイ中に誘拐事件が発生。それは、マサルが親から金を得るための狂言誘拐だった。マサルと誤解され、カイトが実行犯に誘拐される。マサルは狂言誘拐を成功させるために、カイトのふりをしてゲームに参加する。
 この作品は、脱出ゲームの仕掛けと、狂言誘拐における誘拐犯からの脱出という2つのトリックがある。
 脱出ゲームの方には、それぞれ2つの解があり、ゲームに参加している人が櫻木桂馬という探偵を演じていると見せかけ、犯人を演じているという仕掛けとなっている。
 脱出ゲームの仕掛けは鏡。鏡があったことにより、時計による犯行時間、脱出の目撃者、トレーシングペーパーと原稿を利用した犯人の名を示すダイイングメッセージの解が変わる。真犯人は、櫻木に変装しているプレイヤー
 狂言誘拐からの脱出は、マサルに1位を取らせること。こうすることで実行犯が確認に来て、閉じ込めているドアを開ける。
 最後に明かされる真相。カイトと一緒に誘拐されていたスグルがすべてを見抜いていた。マサルの名前で回答したのはスグル。スグルはマサルの企みを見抜いて阻止した。スグルは家を出て、マサルに跡取りを押し付ける。それを「益田」という人物に話しているという設定
 面白い。「鏡」を利用した脱出ゲームの仕掛けと、プレイヤーは櫻木桂馬ではなく櫻木桂馬に扮した真犯人だという仕掛けは、それだけで十分面白い。その上で、カイトの狂言誘拐からの脱出の仕方、マサルに1位を取らせること、水浸しにして感電させること、そして、実はスグルがすべてを見抜いていたというオチ。一つひとつはそれほどでもないが、短編でここまで仕掛けると圧巻

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やはり表題作が素晴らしい出来ですね。透明人間ならもっといい完全犯罪方法がありそうなもんですが、具体的には思いつかない。私立探偵の種明かしについては読んでる途中でピーンときましたが、動機の方は思いも寄りませんでしたね。ラスト数行の余韻もなかなか…【参考文献4】の遊び心もイイネ!

『六人の熱狂する日本人』は悪ノリについていけなかった。アイドルオタクがアイドルを法廷で見るためだけに有罪にしようとするのが理解できない。オタクのノリも読んでてちょっとキツい。

『盗聴された殺人』に出てくる探偵役2人のキャラクターはかなり好き。メインとなるロジックには弱さを感じる。熊のぬいぐるみを○○○からといって、盗聴器の○○○○○○○○が犯人だという論理はやや牽強付会だと思う。

『第13号船室からの脱出』 体験型ミステリーゲーム!これ最近流行ってますよね。確かに作中のようなイベントがあったら参加してみたいと思いますねぇ。
まあ面白かったが、やや凝りすぎの感あり。作中の体験型ミステリー自体はよく出来ていると思います。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

透明人間が犯罪するときの苦労、
アイドルオタクが裁判員だったら…?
などなどかけ合わせが面白い中編集

とても密度が濃くて長編で読みたいくらいです
アイドルオタクの話が面白かったです
(茶の間やら地蔵やらいろんな強度のオタクが登場する解像度の高さ)
シリーズ化してほしいですわ
転売ヤー殺人事件とか、チケットがご用意されましたとか、可能性あると思うー

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2025年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どれもあともう一歩ほしい作品だったなという印象…。ミステリーをあまり読まないひとに向けてなのか説明がいちいち丁寧だったなという。

1作目の『透明人間〜』は透明人間の設定がしっかり作り込まれてるなあと思った。食べたものだとか血液とか。短編なのが勿体無い。
2作目はめっちゃ『キサラギ』に似てるなと思ってたら作者さん自身が『キサラギ』から着想得ていてどおりでだった。『キサラギ』は派手さはないのに今でも割と細部まで覚えてる作品。(最後ミキちゃん!ミキちゃん!てみんながダンスするとことか笑)
3作目はちょっとさっぱりしすぎ?ミミカの聴力に対する所長の持ち上げがわざとらしく感じたし探偵のくせに色々免疫ねえなと思った。
4作目は豪華客船での脱出ゲームという設定自体はすごく好みな感じだったのに内容があまり好みじゃなかった…スカした少年が見下してた同級生のさらに弟にすら及ばなかったよって話?

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2024年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作は特殊設定ミステリ。何かのベスト10だかに入っていたので読んでみたいと思ってた。どこに潜んでたかすぐわかっちゃったのがなぁ…

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2024年06月01日

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