あらすじ
子供に親は選べない、どんな環境に生まれるかは運任せだ。最近話題になっている「親ガチャ」という言葉があらわすのは、遺伝と環境要因がすべてを決めるので、努力することに意味はないと言った若者の諦念である。
確かに遺伝が、あらゆる要素に影響するのは事実である。しかし、遺伝科学についての最新の知見は常に更新されている。専門家ではない人間が過去の研究結果を軸に、あたかもそれが唯一の真理のように語るのは非常に危険である。
本書では、行動遺伝学の専門家が、一般読者の遺伝についての素朴な疑問に答えるとともに、遺伝における不平等を前提にしたうえで、「いかに自分らしく生きていくか」、「幸福に生きるのか」。そのための方法を論じていく。
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Posted by ブクログ
「音楽がやりたいと思った時点でそれは才能の発芽」等興味深い言葉も多かったです。
また年収に関しては若い内は遺伝の影響を多く受けるが、歳を重ねるにつれ非共有環境の影響が強くなってくるとも。これはよく感じます。
体型(痩せやすさ)に関しても遺伝の影響があるそうで、こちらはあまり他人をどうこう言うのはよくないですね。
とても面白かったです。
Posted by ブクログ
自然科学の話を読むのは、自意識でいっぱいになっているときに気分転換になってよいです。
本書は、ずっと遺伝子について研究されてきた著者が、2021年に親ガチャという言葉が流行語大賞となったことを受けて、執筆を依頼され、遺伝と能力の関係をあらためて一般向けに説明する、とても読みやすくてためになる本でした。自意識でいっぱいになりがちな中で、少しフラッとに生物学的に物事をとらえられて、よかったです。
Posted by ブクログ
もし子供を産むなら”いい遺伝子”が欲しいと思うのは至極当然であるということが分かった。
あとは環境。誰もが富豪になれるわけじゃないけど、子供ができたら子供がやりたいと思った事をやらせてあげられる余裕は絶対にもちたい。
・好きこそものの上手なれ
・自分の中にあるこれが好きこれは得意これならできそうそういったポジティブな内的な感覚は、自分の能力に関する重要な手がかり
・何かを好むということ自体がすでにその人らしさの表れであり、能力の萌芽
・自分にしか感じられない、心の奥から小声でしか囁いてくれない「素質」の芽生えを大切にする
・好きなことをやっていくうちに、その分野についてどんどん得意になっていくと言う事は、生物学的に見ても自然なプロセスだと思われる
・環境側の圧力が低下すればするほど、遺伝的な能力の差がストレートに出てくるようになる
・自分の好きや得意に関して、普段から自覚的になっておくこと
・才能のある人の3条件: 特定の領域に対してフィットしていること、学習曲線が急上昇のカーブを描くこと、学習ができる十分な環境が与えられていること
・可愛い子には旅をさせよの現代的な意味はリアルな自己発見
・居場所を変えてみることで、今まで見つけられなかった自分の遺伝的素質に出会えるかもしれない(青い鳥効果)
・やりたいことがない人は偶然を信じて動いてみるしかない
・やりたいことがあるのなら、いきなりグローバルトップと比べるのではなくやりたい気持ちがあるなら、下手でもまずやってみる。そしてしばらく続けてみる。
・没頭している対象が学習性があり、本物につながっているかどうかは気にすべき
・個人技で輝く分野において、中途半端ななんとなく好き程度では頭角を現す事は難しいと言う事は理解しておくべき
・集中力、フロー状態でそのことに長時間没頭し、しかもその狙い所がちゃんと社会的にも評価されるようなものでなければならない
・子供の知能や学力に効果がありそうな要因: 静かで落ち着いた雰囲気の中できちんとした生活をさせること、本の読み聞かせをすること