あらすじ
●世界が必要とするディープテックのニッチ市場で比類のない競争力を誇る日本企業。日本のビジネスは安定を重視しながらも、確実に変革を遂げてきた。「失われた30年」は、ビジネス大転換の時代だったのだ。この変革の波はこれからも続いていく。
●戦略的リポジショニングにより、中核事業を選択し、そのアップグレードに集中、DXでの競争力を高めるために未来のビジネスに投資する。同時に、成熟事業と新規事業の共存を図り、創造性とディープテクノロジーのイノベーションを促す経営改革を行い、新しい企業カルチャーを構築する。日本企業はこの必要不可欠な戦略を実行し、ビジネスを再興してきたのだ。そしてこの変革は、日本の伝統的なタイトな文化のもとで実現されてきたのだ。
●「ルーズな文化」「タイトな文化」という社会心理学のフレームワークをもとに、日本企業の行動様式を分析。日本社会のタイトな文化的文脈の下で、日本企業はアメリカ企業とは異なり、時間をかけ、社会的な安定とのバランスをとりながら、ゆっくりと着実に変革を進めるところに独自性がある、その強みを見失ってはならない、と著者は説く。
●日本で学び、現在、カリフォルニア大学で日本の経営、ビジネス、科学技術を研究するドイツ人研究者が、21世紀以降の日本企業の行動を分析し、その変革力を考察。日本企業の「再興」=リインベンションへの取り組みを通じて、バブル崩壊以降広がった日本悲観論・軽視論を退ける。
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Posted by ブクログ
新・日本企業は、中長期的にアジアの競合他社がつくれない新技術でリーダーになれる領域や、規模拡大にじかんがかかりすぎて敬遠される領域に進出する、という深みのある競争優位性を追加する必要がある、なかなか根気のいることだ。
ただ、真の意味で変化し、若い従業員がワクワク感をもてるような職場環境をつくりあげなければ未来はないか…
Posted by ブクログ
日本語版への序文
はじめに
謝辞
第1章 〈イントロダクション〉ビジネス再興
第2章 〈前提条件〉タイトな文化における企業刷新
第3章 〈背景〉日本の経済発展ー終身雇用を通じた安定
第4章 〈新・日本企業の戦略〉集合ニッチ戦略
第5章 〈インパクト〉グローバル・ビジネスにおける日本の影響力
第6章 〈マネジメントの変革〉ガバナンス・スチュワードシップ、役員報酬
第7章 〈ファイナンス市場〉プライベート・エクイティとM&A
第8章 〈ビジネス再興の実行〉行動様式の変革
第9章 〈雇用とイノベーション〉カイシャの再興
第10章 〈前に進む日本〉DXに向けにビジネス再興
解説 私たちにとって最高最良の姿見が登場! 富山和彦
原注
参考文献
Posted by ブクログ
日本経済の失われた20年が、決して失われたわけではなく、日本の文化特性に合うよう、社会的な混乱を回避しつつ、静かに着実に事業構造の転換を進めてきており、グローバルサプライチェーンにおいてかつてないほど日本企業の重要性が増している、との示唆を示して頂いています。
結果としては決して間違えていないものの(また文化的背景の説明は示唆に富むものの)、恣意的にそうしたわけではなく、事業運営上の一つ一つの細かな決断の積み重ねが現在の結果をもたらした、ということであって、再現性があるわけではない気がしています。。
日本企業の成功者は、変革の中で何を守ろうとしてきたのか、そのためにどのようなアクションをしてきたのか、もう少し簡潔に整理頂けると、より深く刺さったかなと思います。
でも、一歩引いた視点で日本経済の動向を丁寧に整理して頂いているので興味深く読ませて頂きました。