あらすじ
精神科医の六麦克彦は、医局から派遣された要鹿乃原少年院に勤務して5年になる。彼がそこで目にしたのは、少年院に堕ちてきた加害者ながら、あらゆる意味で恵まれず、本来ならば保護されてしかるべき「被害者」と言わざるを得ない少年たちの姿だった――。累計100万部を超えたベストセラー新書の世界を著者自ら小説化、物語でしか伝えられない不都合な真実を描きだす。
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Posted by ブクログ
#ケーキの切れない非行少年たち を読みました。
#どうしても頑張れない人たち が第2弾です。未読。
#漫画化 もされています。
犯罪を犯した少年、少女たちの背景。家庭環境、うつ病、軽度知的障害、発達障害、自閉症スペクトラム、、、
こちらも病院仲間の彼女に借りました。
なぜ読みたい本ばかり持ってるの?!
Posted by ブクログ
時間がかかると思ったが、一気に読んでしまった。
すごく考えさせられる本。知的障害や学習障害を持つ子どもが増えている。家庭での教育も低下しているとも思われ、こうした非行少年の割合は減ってると思うが、本に出て来る非行少年がいるのも事実。
社会全体で今後考えなければいけない問題だと思う。
Posted by ブクログ
非行少年たちに対する見方が変わる。知的に問題があるという理由で、犯罪を犯した罪が軽くなるわけではないが、いわゆる普通の人間にとって当たり前にできることができない人もいるということを理解せねばならない、と考えさせられた。
Posted by ブクログ
少年犯罪の捉え方はすごく難しいと感じた。障がいがある、更生の可能性がある、その部分に真摯に向き合っている大人がいる一方で、被害者や被害者家族の心情を考えると、何が正しいとか間違ってるとかではないんだなと思う。
障がい特有のこだわりや短絡的な考え方、そこを間違った方向に向かせないようにするには、、、とてつもなく難しいことだと本を読んで感じた。
Posted by ブクログ
『ケーキの切れない非行少年たち』の続刊、同書を小説形式にして読みやすくしたもの、と読めた。
万引きで少年院に入ったものの、出所後も生活が上手くいかず詐欺に加担してしまった上に人を殺めてしまう「田町雪人」のケース、若年妊娠の上、教師への暴力でやってきた「門倉恭子」のケース、男手一つで自身を育てる父と上手く行かず放火を行いやってきた「荒井路彦」のケース、幼児に性加害を行い、出所後も再犯を重ねてしまった「出水亮一」のケースが収録されている。
全体として終わりが中途半端ではっきりしない……と思われたが、それが実際のケースから例を取っていることの表れでありリアルさであるのかもしれず、その点を考慮すれば批判には当たらないだろう。
彼らの犯行の背後にある、虐待、両親など家族の不仲や離婚、いじめなど様々な事情を知り、犯行以外に選択肢を絶たれた(自ら絶ってしまったともいえるが)少年少女を思うと切なくもなるが、しかし被害者からしてみればそんなことは関係なく加害者は加害者であり、犯罪行為であって許されざることであり、反省や謝罪、補償を求める気持ちも何ら不自然なものではないだろう。一方では当の非行少年たちが事物を上手く認識できず、様々な要因が重なって犯行に及んでしまったこと、反省の気持ちを上手く持てないことも、当人の意識というより器質的な問題であり、加害者の背景と被害者の感情とのバランスを取るのは大層難しいことのように思える。
また、本書に取り上げられたケースでも4例のうち田町雪人と出水亮一の2例が再犯、門倉恭子のケースでは再犯とまでは言えないものの幼児虐待として児童保護施設が介入しており、少年犯罪の加害者が出所後どう過ごすか(過ごせるか)についても大きな問題であろうと思われる。本書において著者はこれらの社会的課題に対する答えを必ずしも提示していないが、田町雪人のケースを見ると出所後仕事が上手く行かなかったことが再犯のきっかけとして描かれており、これは著者からの再犯防止策として社会が行えることのひとつの提起であるように思われる。
全体として解決策ははっきりとしないが、社会全体で考えていくべき問題であると認識させられた。
Posted by ブクログ
ケーキの切れない非行少年たちで出てきた少年の実話を元にしたドキュメンタリー小説。
一人一人の認知能力や家庭環境、周囲の環境によってその子が犯罪に手を染めることが当然の流れだと思った。
認知の差を教育の力で埋めることは出来るのだろうか。読みながら可能性と絶望のようなものを感じた。
Posted by ブクログ
非行少年が現時点で周囲に居ないとしても、誰もが突然関わりを持つ事になる可能性がある。どのような立場でも有益な情報が多く記載されている。子育てにも役に立つと思う
Posted by ブクログ
非常に分かりやすかった。一見いらなそうな精神科医の娘、杏奈の描写は誰でもどんな環境にいても非行に走ること自体はあり得るし、被害者にもなりえる、ということを示すものだったと思う。
でも、やっぱり境界知能や軽度知的障害、自閉症スペクトラムを持つ子どもたちや不遇な環境で生まれる子と杏奈は違う部分もたくさんあることが示されている。ただ責めて叱って突き放して他人ごとにするのではなく、どうしてそうなのかを考えることの大切さを知れたと思う。
Posted by ブクログ
感想を記すのが難しい作品。
小説として読んでいくと、
苦しくて悲しくて、やりきれなくなる。
特に罪を犯すまでの過程が、やりきれない。
罪を犯してしまってから反省を促そうとしても
何を反省するかを理解するまで遡らなければならない。
罪を犯すその前に出来ること…考えたい。
Posted by ブクログ
少年たちを支える側の支援、少年たちの意識、社会の理解、すべてうまくいかないと更正は無理なのだなと。
こういう少年たちが生きやすい世の中になりますように…加害者、被害者が生まれませんように…
少しでも彼らを理解出来るように現実を知れるように、わたしはこれからもこういう本を読んでいきたい。
Posted by ブクログ
2019年7月刊行の「ケーキの切れない非行少年たち」を、2020年にコミック版で、2022年に小説版で刊行。小説版は精神科医六麦克彦の目から見た事例を紹介しています。個人的には小説よりも原本の方が読みやすかったです。
【まえがき】
男子少年院、女子少年院、医療少年院併せて全国に約50か所、1年間に約1600人程度入院(令和3年度版犯罪白書より)。2000年~2001年の新規入院者数は年間6000人を超えていたが、最近は減少傾向にある。事件を起こして家庭裁判所で処理された年間約4万4000人の非行少年の内わずか3.7%程度が少年院に約1年程度入院。
【第1章 田町雪人】加害者には軽度の知的障害があり、父親のDV、離婚、父親の刑務所入所、母親のネグレクト、養護施設生活、暴力・万引き・窃盗などにより少年院へ。出所後仕事がうまくいかず、地元の先輩に利用されて振り込め詐欺の片棒を担がされ、うまくいかずに友人に借金、金を返せずその友人と口論になり殺人、再度少年院へ。先輩に「信頼できる」等言われて期待に応えようと転落していく姿が切ない。
【第2章 門倉恭子】IQ79の境界知能レベル。15歳で父親の特定できない子を妊娠。中学の担任に暴力をふるい少年院へ。暴力防止プログラムを受ける。母にDV傾向があり、異母弟に暴力をふるう。出産、出所後、娘への虐待が発覚し、娘は施設へ。
【第3章 荒井路彦】IQ73で境界知能レベル。父子家庭で、厳しい父を困らせようと放火、隣家も延焼、女性が焼死。父は毎日面会へ。中学卒業後は就職し、父と一緒に被害者遺族への賠償のために働く。
【第4章 出光亮一】自閉症スペクトラム。離婚後父子家庭。14歳で近所の長馴染みに公衆トイレでいたずらし少年院へ。出院後再犯し少年院へ。懸命に息子を支えてきていた父の心が折れて失踪。ようやく見つかった施設に入居。
【第5章 少年たちのその後】門倉恭子は親子再統合プログラムを受け、20歳で実家を出てアルバイトしながら母子2人暮らし。田町雪人は裁判で懲役13年。
Posted by ブクログ
自己評価は他者との関係性の中で育つ
発達上のハンディを抱えた人間は、そもそもが他者との関係性を正しく把握できない
普通とされている人が考えずともやっている事に対して、繰り返し教えられて初めて気づけるようになり、更に意識して把握しようとして初めて一端を掴める可能性が出てくる程度
知能指数が低かった場合、ただでさえ演算できないのだから、普通と呼ばれる関係性を演算してアウトプットするのは至難の業
個人としては抱える問題も大きいが、現在はリモートやSNSなど環境面から演算に必要な情報が削ぎ落とされてしまっている
仕草、発声、雰囲気など対面で得られる多くの情報があっても普通が算出できないのに、リモートで限られた情報下では普通を算出できる筈もない
現代社会はより境界にいる人達を炙り出して苦しめることになるのではないか、と懸念される
Posted by ブクログ
ケーキの切れない非行少年たちを読まずにいきなり本書を手に取った。小説風で読みやすく、更生プログラムのことや、非行少年たちによくある生い立ちなどが分かりやすく紹介されていた。いくら育った環境が悪くとも誰かの幸せを奪ったり人を殺したりしてはいけないという前提は当たり前だが、非行少年たちによる犯罪が減り、罪を犯してしまった少年たちが更生できる世の中であればいいと思った。でも更生云々よりそもそも犯罪を犯さないようにしないと不幸な人はうまれてきてしまうんだなぁ、、難しい問題だ。
Posted by ブクログ
『ケーキの切れない非行少年たち』を、小説という形で筆者自らが執筆。
発達障害があったり認知機能が弱い少年少女が、どのように思考しどのように発言するのか、より分かりやすく表現されている。更正プログラムや知能テストなどに興味が湧いた。
事例をただ単発的に物語風にするのではなく、医療少年院に勤める六麦という精神科医のキャリアや職場環境や家庭なども書き込まれてしっかりと小説でした。