【感想・ネタバレ】パラレルのレビュー

あらすじ

妻の浮気が先なのか、それとも僕が勝手に会社を辞めたせい? とにかくゲームデザイナーの僕は失職し、離婚した。長年の親友でキャバクラ大好き・顔面至上主義者の津田と、別れた後もしきりにメールをよこす元妻、そして僕の新しい恋人……錯綜する人間関係と、男と女の微妙なくい違いを絶妙な距離感で描く、長嶋有初の長篇。タランティーノ監督の映画をイメージして書いたという斬新な構成と、思わず書きとめたくなる名言満載の野心作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

不思議な読み口の作家さんでした。
ちょっと癖のある文章ですが、それが逆に癖になる書きぶり。また、30代位のアホでエロな男たちの挽歌とでも言いましょうか。主人公七郎やキャバ狂い!?の津田の行動に身に覚えがある男性諸氏も居るのではないでしょうか。

・・・
本作『パラレル』、タイトルの意味は何でしょうか
作品では『パラで付き合う』という表現がありました。複数の相手とへらへらと付き合うことを『パラで付き合う』と表現しており、それなのかなあ。

時間軸が「大学時代」「ちょっと前」「現在」と三つに飛び飛びに展開しましたが、それはジャンプであってパラレルでもないしなあ、と独りごち。

2004年という、だいぶ前の作品ですが、かなり典型的な男性目線の作品であり、今の今新刊では出せなさそうな作風です。潔癖というか完全な倫理観をお持ちの方は読まない方がよさそうな作品。

・・・
解説によると、文芸誌では家族ものとして評価された一方、解説のゲーム作家さんが書くように『単行本発売記念の呑み会で、同席したすべての男性が「これ、オレなんだよー」と思っているようだった』とあります。つまり、多くの男性にとって親和性のある事柄が投影されていたとも言えます。

友人津田のキャバ嬢狂い、妙ちきりんな倫理観(結婚式のスピーチで『結婚とは文化であります』とうそぶきつつ、複数女性とお付き合い)、主人公七郎とキャバ嬢との友人関係、奥様の浮気と離婚の様子、はたまた津田の会社の破産など。

確かに30代という精力的な年代、お金もそもそこ自由になる世代(20代とか新卒当初と比較して)、こうして向こう見ずな生活の一端は私にもあった気がします。内向的な社会人生活を送っている私ですらそうでしたので、付き合いと称する呑み会が多そうな営業現場一筋とかの人は大いに膝を叩きそう。

・・・
文章はややくせのある会話調が多く、かぎかっこで会話を描くも『』の後にもぽつぽつと会話が続くのが特徴的。だから、さらさらとは読めず、注意しつつ二度読みすることがしばしばありました。
しかし、とっかかり・リードの発話と、それ以降のごにょごにょ(重要性低め)をこうした『』内外で分別しているのか、とも思いました。

これは何というか癖になる心地よさがあります。

・・・
ということで長嶋有さんの作品、初めてでした。

もともと15年くらい前のBRUTUSで『読むべき現代の作家』みたいなチャラ目な特集だったのですが、特集ページだけ10ページくらいコピーして実家においてあって、近年ちょろちょろ購入し始めたというものでした。

時代の一端を切り取っているといえば、確かにそうかもしれないと感じた一作です。

0
2023年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

七郎と奈美さんの掛け合いと気持ちの小さな変化がすごく絶妙。不倫も離婚も気持ちはわからないけどなんか文化を失うっていう喪失感はわかる気がする。

0
2022年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「結婚は文化であります。
夫婦のようになった、と感じる時、その二人の間には確かに文化が芽生えているのです。(それ、がなにかわかる、建具を開ける力の入れ具合を二人だけが会得している)そういう些細なものの集合体は全て文化で、外側の人には得られないものなのです。
籍を入れずに同棲することを選カップルもいます。恋人のままでいいじゃないか、と。だけれども、これは断言しても良いですが、文化のない場所に人間は長くいられません。
お二人は夫婦という文化に守られるのではなく、結婚によって自分たちを守る文化を築いていってください。」

「物語が終わるのは「悲しい」だけど、文化がなくなるのは「怖い」なんだ」

「夫婦円満の秘訣は信じることです。信じるとは、何か疑わしいことがないから信じるのではなくて、ただもうむやみに信じるのです。屁理屈も理屈、邪道も道、腐れ縁も縁。」

0
2019年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時制があちらこちらに飛ぶ割には読ませるが、妻との距離感の微妙さについてもっと言及があってもよかったかも。子どもがいなけりゃ離婚してもこうしたライトな付き合いが出来るのか。でも別にそのことを求めて読んだのではなかった。僕にとってはどうでもいい内容の小説だと読んでみて思った。構成は巧みだけど。

0
2014年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きな歌人、枡野浩一さんが長嶋さんについて本の中でふれたり、対談が掲載されていたのをきっかけに読んでみました。
初めて読む作家さん、気になっていた作家さん。
さてさて。


会社を辞め、離婚した七郎。
プレイボーイの友人・津田、別れても連絡をまめによこす元・妻…過去と現在、様々な人間関係が交錯する物語。

物語が進む、時間が進む…と思ったら、戻る…そして、また一度は進んだ時に戻る…不思議な流れを持った作品です。
慣れぬ内はちょっと目が回る、私は特に反射神経が鈍いから。

題名と表紙の雰囲気などからくる勝手なイメージでほんわかしたお話なのだと思い込んでいたら、内容自体は不可思議ではない。
非常に現実味を帯びたお話。
だからこそ、物語の進み方が錯綜していることが引き立つのかな。

文章も会話文が地の文にたくさん入り込んでいる、今まで読んだ作家さんの中では一番入り込んでいるかも。

主人公は三十代、男性、バツイチ、元・ゲームデザイナー。
ラブとジョブ。あと、友情、これがけっこうぐっときてしまいました。

主人公も、他の登場人物も、それぞれが山あり谷ありの人生を送っていて、右往左往している。
一見器用そうな津田だって、一見不器用そうな七郎だって、同じ。
そして、いつか、光が射す。
希望の物語。

ただ、正直、三十代男性にもうひとつ感情移入はできず…残念。
けして広くはない世界の中での物語、丁寧な描写をされる作家さんだという印象は残りました。

0
2013年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつ読んだか忘れた。多分2013年の1〜3月?
そして内容も忘れた。
起業家とその友達の話。あと女の話。元妻のこと。仕事のこと。
ほんと覚えてねぇな、ひどい。

0
2013年04月25日

「小説」ランキング