あらすじ
「あなたはマザコンよ、正真正銘の」と妻に言われ、腹立ちまぎれに会社の女の子と寝てしまったぼく。夫より母親を優先する妻のほうこそ、マザコンではないのか。苛立つぼくの脳裏に、死の床から父が伸ばした手を拒む母の姿がよみがえり…。表題作ほか、大人になった息子たち娘たちの、母親への様々な想いを描く作品集。疎ましくも慕わしい母と子の関係――胸がしめつけられる、切なくビターな8編。
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Posted by ブクログ
母にまつわる短編集。解説が「母は娘を支配する」の斎藤環で、そっちの本でも角田光代の「マザコン」は引用されていたし、解説も母娘関係に焦点を当てたものになっていたが、母と息子の物語も半分くらいある。息子の場合、大抵妻も出てくる。
「共感」みたいな気持ちになるのはやっぱり娘モノだが、息子モノも面白かった。どちらにせよ、苛立ち、息苦しさ、胸くそ悪さ、ヒタヒタと染み渡ってくるような狂気…みたいなものを現出させるのがうまいんだなあ、この人は。それでいてこっちまで嫌になっちゃうような不快感はない。それで小説として面白く読めてしまう。
特に好きなのは、「パセリと温泉」「ふたり暮らし」「クライ、ベイビイ、クライ」。
Posted by ブクログ
母にまつわる短編集。特に女性が主人公の話は、愛憎入り交じる複雑な感情を抱いていることが多い。
私も母のことは、素直に好きとは言えない。むしろ苦しみのほうが多いかもしれない。数年後、またいつか子供を持ったとき、母への愛憎は覆るだろうか。少し楽しみだ。
Posted by ブクログ
集英社文庫「ナツイチ」の一冊。
多くは母と娘との物語。8つの短編の中に、自分と母の類似系があるかも、と思って読み始めたものの、すぐにそれはあり得ないことだと気づいた。
好きなのは、息子と、息子を高校生のときに置いて家を出た母を題材とした『クライ、ベイビイ、クライ』。
自費出版詐欺?みたいなのに引っかかって会社を辞めた男が、高校生の時に家を出た母に「オレオレ詐欺」電話をかける。
あからさまに「オレオレ」風の電話なのに、母はお金を振り込むといって口座番号をメモに取る。電話を切った男は、世間に対しても、自分の未来に対しても、出ていってしまった妻に対しても、「いろんなことがいい方向へ転がり始めた」と感じ、ゆるむ口元が結べない。という描写で終わる。
ちょっと泣きそうになった。
母親って、こういうものかも。