あらすじ
モラハラ夫、我が子を見捨てる母親、身寄りのない記憶喪失の男……横浜家裁川崎中央支部にやってくる家事事件の当事者たちは多種多彩。社会から零れ落ちそうな人たちの心を開き、それぞれの人生に寄り添うため、赴任したばかりのかのんはひたむきに奔走する! 人間、そして家族の表と裏を心揺さぶる筆致で描く連作短篇集。
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Posted by ブクログ
シリーズ2作目。
前作がおもしろかったので、読むのを楽しみにしていたが、ようやく読めた。
いろんな人がいろんな考えで生きているんやなあ。
とにかく大変な仕事だというのが伝わってくる。
当たり前のように食い違う話。ウソ、投げやり、感情爆発、泣く、お金。
読んでるだけで疲れてくるよなあ。しんどい。
でもちょっとしたところから、解決への道筋を見つけていく庵原調査官はすごいな。
ちょいちょい出てくるくりりんとのシーンがとてもよい。ほっこり。
こういうスペースがあるから、かのんさんも頑張れるのだろう。安心できる場所、大事。
当事者たちが最終的にどうなったのかははっきりとは書かれていないが、それがいい。
家裁調査官の仕事はそこまでということなのだろう。
それに次から次へと案件がやってくるからな。
田井氏の案件はさてどうなることやら。続編に期待でいいのかな。
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家庭裁判所で取り扱う内容は、どれもドロドロしたものばかり。でも、庵原かのんの粘り強い傾聴と寄り添いの心で、どの話も円満に解決していく。そこには感動の人間ドラマがあった。背景がコロナ禍であり、よりリアリティが感じられた。登場人物である同僚、上司、パートナーの人柄も良く、家裁の暗い話も、良い方向に行くだろうという安心感をもって読み進められる作品でした。
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かつて憧れていた家裁調査官という仕事。分かってるつもりではいたが、めちゃくちゃ大変な仕事なのだと改めて知った。
遺産相続、親権争い、モラハラなど自分とは縁遠いようで、誰しもが家裁にお世話になる可能性がある話ばかりでタメになった。
この作品は家事事件が主だったが、少年事件版も読んでみたいと思った。
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いやぁ、調査官ってめちゃ大変。
私だったらストレスで倒れそう~
人間のエゴや葛藤を見せつけられました。
でも、子を思うお母さんの気持ちには涙。
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30代の家裁調査官、庵原かのん
彼女と彼女の扱う相談、離婚調停や遺産相続、親権争いなど、さまざまな事情をかかえている人達。
テレビドラマを観ているようで楽しかった。
続編もあるなら読みたい
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前作は読んでいませんでしたが、問題なく読むことができました。
家庭裁判所の調査官のお話。色んな問題を抱えた人々と関わりながら、解決に向けて奮闘していきます。様々な人間模様を見ることができ、楽しめました。(中には泥沼の……。)大変だけど、とてもやりがいのあるお仕事なんだろうということが伝わってきました。
最後は……、なんだかホッピーが飲みたくなったなあ……。
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家庭裁判所へ持ち込まれた事例7件を庵原かのんが扱う話だが、いろいろな案件があるものだ.遺産相続に絡む「幽霊」、面会交流を求める「待ちわびて」、遺産分割で揉める「スケッチブック」、離婚に絡む「引き金」、子どもの監護の「再会」.慰謝料に関する「キツネ」、内縁関係調整の「はねむけ」.それぞれに上手いタイトルを付けている.どの話もスッキリした解決策があるものではなく、お互いに不満があるものの何とか納めておこうという事例がほとんどだ.お風呂屋に嫁いだ橋場璃子の話「再会」が楽しめた.イタリアで出会った南雲遼太郎は風呂屋さんの跡取り.山形から東京に出てきた璃子には大変な経験だったと想像できる.置き去りにした子どもたちと最終的には再会できたが、若干の問題は残るものの円満解決の事例だろう. かのんの粘り強く謙虚な態度が、難しい相手に次第に潜り込んでいく過程が楽しめた.
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家裁調査官・庵原かのんシリーズ 第2弾
・待ちわびて
・スケッチブック
・引き金
・再会
・キツネ
・はなむけ
九州から川崎へ移動になったかのん。
少年事件から家事事件を扱う部署になり、離婚調停や財産分与などの事案に携わる。
少年事件と違って、生々しい事案もあるが、子への思いや、複雑な男女の関係など、十人十色な人生模様が面白い。
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家裁調査官、ドラマ等で聞いた事あるが、具体的には何をする人なのか知らなかった。
7つの短編集で、主人公が誠実にいろいろな問題を抱えている当事者に寄り添う姿が丁寧に描かれていた。審判が下ると物語としてはそこで終わりな訳だが、その後、当事者達がどうなっていくのか、読者は思いを馳せてしまう。余韻の残る物語でした。
しかし、主人公、取り扱かった事件を自分の旦那に話すのは良いのか?
まあっ、フィクションだから良いのか
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この作家さんはいっつも心の奥にある、何かしらあったかいものを描こうとしていることが分かる。救いようのない現実社会にも、思いやりや心配りというものがあるってことを確信している物語。前作読んでないので今から読みます。
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結構好きなシリーズ。
家裁調査官って職を知らなかったけど、前作は北九州 これは川崎。こんなに転勤が多くて、激務とは。心に寄り添う仕事だから、ストレス溜まりそう…
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家裁調査官という仕事を初めて知り、なかなかにハードな仕事なのにびっくりしました。この本を読んで思ったことは、人間一人ひとりに色んな人生があるんだなぁ〜という感じです。
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人は嘘をつく。
その中から真実を見つけださないといけない。
子供が振り回されてかわいそうだ。
「キツネ」「はなむけ」が好き。
特に「キツネ」の子供の気持ちが痛いほど分かる。
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切ない話ばかり。
コロナまっただ中のお話で、時代の背景を読んでいるとあの頃の閉鎖的な恐ろしい状況を思い出して震えた。
なんかいろいろ身につまされる話ばかりだったし、週末の楽しい夜に読むモノではなかった…。
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連作7話。それぞれの挿話は完結している。家裁調査官という日常接触のない人の活躍ぶりが窺えて新鮮。感情的になっている人が相手で、プレッシャーとストレスが溜まるだろう。だが、人のためになっている事が実感できることも確か。小説としては、微笑ましい場面も交えながら進んでいくので読む側は疲れなかった。ストーリーは、最後の「はなむけ」がよかった。2023.12.8
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何年かぶりに乃南アサ作品を読みました。私の中で印象に残っている本は、「凍える牙」「しゃぼん玉」「いつか陽のあたる場所で」かな。シリアス系もほんわか系もどちらも面白いですね。
相撲好きが有名です(もちろん観戦が)が蔵前国技館にも足を運んでいたようです。
「雫の街」は女性家庭調査官の庵原かのんから見た人間模様の短編集です。記憶喪失、離婚、親権、不倫、相続他、様々な問題と向き合いながら、人間の悪いところと良いところのバランスをとっていく仕事なのかな。私だとちょっとメンタルをやられてしまいそうな大変な仕事ですね。
今も平和的解決のために実際に調査官として働いている方々に心からエールを送ります!
Posted by ブクログ
『家裁調査官・庵原かのん』シリーズ第2弾。
前作でのかのんの勤務地は福岡家裁・北九州支部。
そこでは少年事件を担当していた。
シリーズ第2弾では家事事件を担当することに。
本の帯には
魑魅魍魎渦巻く人間ドラマ
嘘と誤魔化しの連鎖、調停室に響く怒号、やがてこぼれ出る「家庭の秘密」
と書かれているが
なんともはや…、ドロッドロやん!
だけど…、かのんはただひたすら『聴く』姿勢を崩すことなく
ドロドロの人間関係の中から
一筋の光をみつけ、よりよき道を切り開く努力を惜しまない。
それはもう〈忍〉の連続。
シリーズ第1弾よりさらに濃い内容に
うるっときたり、それはしんどいわぁ~と思ったり。
第3弾が楽しみだ。
以前、他の本のレビューにも書いたことがあるが
最近、発行された本には「コロナ」のことが描かれていたり
どこかに「コロナ」の気配が感じられる。
ずーっと後になって、その本を読んだらどんな感じだろう、と。
この『雫の街』では
「コロナ」のことがしっかり、はっきり描かれている。
物語の舞台である家庭裁判所は
どんな状況であろうと、その扉を閉ざすことはできない。
それが感染症だったとしても
様々な対処、工夫をしてその扉を開け続けてくれたんだ…
私たちの生活に、いや人生に、閉ざされてはいけない場所があった。
そして、”そこ”には”そこ”で待っていてくれる人がいる。
そんな当たり前のことを今更ながら思い起こさずにはいられない。
そんな本だった。
Posted by ブクログ
「家裁調査官・庵原かのん」の続編短編連作集。
・幽霊
・待ちわびて
・スケッチブック
・引き金
・再会
・キツネ
・はなむけ
の7編収録。
北九州から横浜家裁川崎中央支部への転属、少年事件専門から家事事件全般担当変更、さらに結婚、コロナと多くな環境変化が一気に訪れるところから始まります。
続編といっても前作を読んでなくても、上述したように全く違う環境になっているので問題ないです。
で、離婚、親権、面会などの家庭崩壊問題と遺産、慰謝料などの金専問題がメインです。
少年係を長年していたためか、家庭問題の中の少年少女中心に考え、より良い落としどころを探る主人公の優しさが心地よいです。
職場のメンバーがメインの話はないのですが、少しづつそのキャラもわかるようになってきて、続編にも期待したいです。
それにしてもパートナーの栗林(くりりん)の存在が救いになっていますね。
Posted by ブクログ
※
幽霊
待ちわびて
スケッチブック
引き金
再会
キツネ
はなむけ
全7話
色々な夫婦関係、さまざまな親子関係、
多種多様な家族の中で生じる家庭内の悩みや
争いごとを調整し、解決に向けて手を尽くす
家裁調査官たちの物語。
1話毎にタイトルの『涙の雫』が伝わってきて、
頬に鳥肌が立って胸が詰まりました。
生きた人と人が関係して起こる争いなので、
各人の主張が真っ向から対立していて、
相容れないものや理不尽に感じるものには
腹が立ち憤りを感じて怒りの感情が湧きます。
通じない言葉にはもどかしさが募り、
諦めや悲しみの感情にも深く共感してしまって
脳の疲労を緩和させたくなりました。
嘘をつく人、人を欺く人、人を利用する人、
自身のことしか考えない人、人を傷つける
ことに躊躇も罪悪感も抱かない人、自分以外の
人の感情に思いが及ばない人、さまざまな人が
いるけれど、主人公の様に相手の話に耳を傾け、
深く話を聴けたなら、たくさんのすれ違いや
気持ちのわだかまりが決定的な溝や争いになる
前に解せるんじゃないかそんな風に感じました。
Posted by ブクログ
庵野かのんシリーズ第二弾です。栗林君と結婚して川崎に引っ越してきました。
劇的な話はなく結構淡々とした連作短編集ですが、こういうのはあまり現実感無くドラマチックにすると途端に痛々しい感じになるので、これくらい淡々としていていいと思います。