あらすじ
待望されてきた第三歌集がいよいよ
短歌界で最も輝かしい存在である大森静佳の歌はあらゆる人を魅了してやまない。「カミーユ」に続く第三歌集がいよいよ届く。
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Posted by ブクログ
・さびしさの単位はいつもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて
・飛行機に生まれたかったと言うひとの額はしろいまま夕焼ける
・わが髪を撫でつつ力のない髪と言ったのは母 五月の庭で
・白髪のあなたを思い描くとき黒目の黒さばかりが浮かぶ
Posted by ブクログ
芯が強いというか、厳しい歌が多かったように思う。
切羽詰まった対峙という印象。
その言葉選びにドキリとしたり、ヒリヒリしたり、少し恐ろしかったり。
読んでいて息苦しくなるくらいのものもあった。
それ故に、私には感じ取りきれない歌も多かった。
私が幼すぎるのかもしれない。
「あとがき」で大森さんご自身が「自分の歌によって自分自身が傷つくことが増えてきた…」と仰られていたのが印象深い。
「青林檎ふたつにひらくさびしさの本気はものを見えづらくして」
「わたしには言葉がある、と思わねば踏めない橋が秋にはあった」
「さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風にふかれて」
「妬むことは花束のようなくるしさだ そうだとしてもさらに束ねて」
「瑪瑙という文字に酔いつつ読みすすむ頁に夜の翳りふかまる」
「金木犀うすくフェンスにふれながらいつかはいつかのままに遠くて」
「水晶のたてがみ青くなびかせてきみはわたしの生に喰いこむ」
「この胸に枝垂れるミモザ ごめんって言われたらもう咲かすしかない」
「おもいつめ深く張り裂けたる柘榴あなたの怯えがずしりとわかる」
「何年も泣いていないというきみが撮った桜のどれも逆行」
「赦されぬことが葉となり花となりわたしはいっぽんの木のままでいる」