あらすじ
永遠に死なない子供のキルドレで戦闘機乗りのクサナギは、新しく配属されてきたチームで以前から憧れていた伝説の撃墜王に出会う。彼はパイロットには珍しく大人の男だった。僚機を務め、彼から学び、認められることに喜びを覚えていくが――クサナギ・スイトの物語はここから始まる。
〈解説〉吉本ばなな
巻末著者インタビュー〈聞き手〉清涼院流水
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
一気に読んだ。新装版。旧版は沖縄旅行中に読んで読み終わったら捨てた。
スカイクロラの映画も何度も見ている。
映画のプロットの一部がナバテアからも使われていることが、分かった。
不思議な世界観だ。多分冷蔵庫も洗濯機もあるけど、パソコンはなくて携帯電話もない。飛行機はプロペラ機でジェットエンジンはない。登場人物は日本の苗字だが、どこか聞きなれない響き。
自分のなかで、どうしても読みたくなって、シリーズを新装版で揃えたが、6冊もあるので、少し重く感じてちょっと敬遠しつつ、かるいものを読み続けていた。それくらい、少し覚悟のいるものだ。
新装版はフォントが明朝体だけど、仮名文字に特徴がある。軽くて余白が多くて、なにより流れるような曲面もありながら止めハネは少し大袈裟な感じのフォントで、クールでかっこいい。
どのように覚悟がいるのかというと、周囲とのコミュニケーションにトゲが出てしまう。閉じこもって、ダークな雰囲気にのまれる。それに耐えられるかという心配があった。
ナバテアから読んでいるのは、シリーズを時系列で読み直すためだ。
最初からほとんど説明なくエンジンの構造の話や操縦席から見える計器の類の専門用語が出てくる。空を飛ぶには重さ、出力、慣性、天候などが関係するわけだ。それから味方や敵の位置も大事だ。敵の動きが鈍ければ、それを利用する。空のシーンは、短い言葉の連続だ。地上では鈍く他人が干渉してくる。粘りがある。
終始それだけのことなのだが、それだけで充分だ。
Posted by ブクログ
スカイクロラシリーズ第2巻。
草薙水素が主人公で、前作は司令官だったが、今回はパイロットとして活躍して物語が進行していきます。
司令官の時よりも若い感じがして、感情等がすぐ出ていている感じがしました。
草薙で印象的なセリフは、
可哀想じゃない!
誰も、可哀想なものか!
みんな、立派だ。
みんな、立派に生きている。
誰も、死にたくないし、
誰も、可哀想になんか、なりたくない、
そうならないように、一生懸命生きているのに。
が1番印象的でした。
確かに誰もが自分の世界を大切にして、立派に一生懸命に生きるから、死にたくないし、可哀想と見られたくないんだと思いました。
前作と同じように戦闘機のバトルは、専門用語等を使った詳しく表されていて、難しい所があり、想像しにくい所があるけど、迫力があり良かったです。
Posted by ブクログ
スカイ・クロラ では、司令官だった
クサナギ・スイトの物語
解説の吉本ばななさんの解説を、一部分
写させていただきます。
このシリーズに出てくる人たちは、隔絶された世界にいます。
そして、それぞれが違う理由で生に苛立っています。
「別に世界に心を開く必要なんて無い、ただ空を飛ばせてくれ」
と主人公たちは執拗なまでに思い続けますが、それは彼らの境遇からの逃避でも在り、どうせ絶望的な設定の中にある生なのだから、唯一の好きなことができなかったら死んでも同じだ、という心境でもあります。
飛行場面に異様なリアリティがあるために、読者は彼らの心の中にすっと入っていけるような気がします。
でも、本当のところは実に共感しにくいはず。
ほんとうの意味では死ねない世界はどれほどの絶望に満ちているのだろう、と想像はできても、普通どこか甘くなってしまいます。
しかしこの小説はほんとうにリアルです。
☆☆☆
永遠に死なない子供なギルドレで戦闘機乗りのクサナギ(女の子)が、撃墜王と呼ばれる大人のパイロットとの出会い、学び、そして、惹かれていくのだが、…
ばななさんの言うように、その絶望感は、どのようなものか、ほんとうのところは
私には、理解できないのだろうな。
次巻、ダウン・ツ・ヘヴン
は、クサナギ スイトの続きの物語らしい
ー購入済みですー
解説は、室屋義秀氏です。
エアレース・パイロット
とありますから、飛行機に詳しい方なのでしょう。
パイロットの方が読んだら、さぞかし
作者の飛行シーンの素晴らしさが実感できるのでしょうね。