【感想・ネタバレ】下鴨料亭味くらべ帖 料理の神様のレビュー

あらすじ

老舗を救うのは革新の味か、伝統の味か――。傾きかけた京都の料亭「糺ノ森山荘」を継いだ明美のもとに、亡き父の紹介状を携えた初老の料理人が現れた。この男、腕は確かだが、つくる料理は古風なものばかりで、現場の板長との衝突が絶えない。そこで明美はどちらが料亭に相応しい料理をつくれるか、板長の座をかけた料理対決を提案する。イワシ、筍、鱧……旬の食材を用いた勝負の行方、そして男の正体とは。文庫オリジナル。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

京都は下鴨にある老舗料亭『糺ノ森山荘(ただすのもりさんそう)』の九代目を継いだ朱堂明美(すどう あけみ)の一年。

先に、明美の夫であり、入り婿で八代目を継いだ朱堂旬(すどう しゅん)が主人公の「京都下鴨なぞとき写真帖」という作品がある。
そこに、若女将の明美の名前は出るのだが、いっかなご本人が出てこないので、謎だった。
今度は明美が主役の物語。

主人が家族にも店にも隠し事って、どんな夫婦やねん、二人とも「外商」と理屈つけてそれぞれ勝手に外出ばかり。
と思っていたら、自宅で食卓を囲む二人は、なかなか良い夫婦で安心した。
夕食にはワイン傾けて、ね。
明美は、八代目の旬にいろいろ相談するのだが、いつも決まって「きみの好きなようにすればいいよ」と言うばかり。
無責任な男だなあー、と横目でにらみたくなるのだが、その実、しっかりアドバイスをしてくるのである。
いや、むしろ旬が黒幕?

一方、旬の隠し事に明美は薄々感づいている。
京女は、何もかも知った上で男を泳がせている、みたいなことを聞いた事があるけれど、相手の旬は京男ではないところが、違った関係をうむのかも。

ひとつ気になったのが「写真帖」で触れられていた旬の出身と、今回、明美が言っている旬の旧姓が違うこと。
まあ、何でもかんでも白黒はっきりさせんでもええ、という事にしておきます。

料理対決も、とても美味しそうだったし、美味しいだけでなく毎回、料理にとって大切なこと、料亭にとって大切なこと、夫婦にとって大切なことなどがさりげなく書かれているのが良い。

朝ドラ名物みたいな「立ち聞き」には、古い建物の壁の薄さが貢献している。
改装せんでもええです。

京都ならではの、ちょっと不思議な出来事もあり、ちゃんと謎解きもあり、次回が楽しみです。
明美さん、好きになりました。応援したい!
二人の板長さんたちの料理対決もまた楽しみです。

第一話 イワシ料理対決
第二話 筍料理対決
第三話 鱧料理対決
第四話 もみじ弁当対決
第五話 肉料理対決

「写真帖」を読んでいなくても問題なく楽しめるし、その上で「金田一ムートン」って何?!と気になったら読んでみるといいかもです。

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2022年10月16日

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