【感想・ネタバレ】生物を分けると世界が分かる 分類すると見えてくる、生物進化と地球の変遷のレビュー

あらすじ

すべての生物学の土台となる学問こそが、分類学だ!

なぜ、我々は「ものを分けたがる」のか?
人類の本能から生まれた分類学の始まりは紀元前。
アリストテレスからリンネ、ダーウィン……と数々の生物学の巨人たちが築いてきた学問は、
分子系統解析の登場によって大きな進歩を遂げている。
生物を分け、名前を付けるだけではない。
分類学は、生命進化や地球環境の変遷までを見通せる可能性を秘めている。
生命溢れるこの世界の「見え方」が変わる一冊!


地球上で年間1万種もの生物が絶滅しているという。
その多くは、人類に認識すらされる前に姿を消していっている。
つまり私たちは、まだこの地球のことをこれっぽっちも分かっていない。
それどころか、「分かっていないことすらも分かっていない」のである。
だが、分類学を学ぶことで、この地球の見え方は確実に変わる。
奇妙な海洋生物・クモヒトデに魅せられ、
分類学に取りつかれた若き分類学者が描き出す、新しい分類学の世界。

◆主な内容
プロローグ 分類学者の日常
第1章 「分ける」とはどういうことか ~分類学、はじめの一歩
第2章 分類学のはじまり ~人は分けたがる生き物である
第3章 分類学のキホンをおさえる ~二名法、記載、命名規約とは?
第4章 何を基準に種を「分ける」のか? ~分類学の大問題
第5章 最新分類学はこんなにすごい ~分子系統解析の登場と分類学者の使命
第6章 生物を分けると見えてくること ~分類学で世界が変わる
エピローグ 分類学の未来

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

素人考えなので、既に実行済みかも知れません。同定作業は、昨今進化しているAIに同定してもらうと捗るのかも。
標本保存は、3Dスキャンをかけて、静止データと動画データで保存してみるのはいかがでしょうか。
既にDNA解析で学問が客観的に進歩しているので。

0
2025年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新種の登録には何年もかかる

分類学の基本は二名法(属名+種小名)

分類の基準は
・イデアに基づき、理想的な形で分ける類型学的種概念
・変異や奇形を認める形態学的種概念
・子孫を残せるかどうかで分ける生物学的種概念

別の場所に棲む動物の分類や隠蔽種、感染者と非感染者の分類の問題などがあるため、明確なルールはない

まだ何種類の生物がいるかすらもわかっていない

0
2023年06月12日

Posted by ブクログ

私にとって分類学は身近なものであるが、分類学の有用性を説明するのが苦手だった。この本で筆者の「生き物を分けることは世界の理解に直結し、人類の生活を豊かにする」という主張にハッとさせられた。
これは、その生物が棲む事のできる環境(ニッチ)を理解することが重要であり、私たちには分からないニッチの違いを、生物は感じ取り棲み分けしている。それを可能にする何かは、人類の生活を豊かにする何かである可能性は否定できないというものである。これらの考えは、分類学が生物や環境を扱う学問の基礎となる学問である所以だろう。

0
2022年11月17日

Posted by ブクログ

わかりやすくて良い入門書、クモヒトデの岡西政典博士による分類学の総説的なやつ。個人差あれど、小学高学年から大学生までエンジョイできるかと思う。分類学の基本、二名法、記載、命名規約が簡単に理解できる。中高生ぐらいがターゲットなのでは。参考文献やリファレンスのQRコードがついてて、とても親切。面白いのが細胞質不和合性、他科とのコラボレーションなど、最近特に進んできている”連携”などにも言及される。
ここ数年、この分類学、進化生物学、遺伝学の本を読む機会が多いんだが、どうしても古ぅ〜い書籍や外国語書籍が多めなので、現代日本語本の良著が出てくるのはとても嬉しい。

個人的には『新種の発見』のほうが好き。
分類学にあんまり親しみのない人は『新種の発見』の前に本書を読んでおくと、わかりみが深くなると思われる。
分類、ものすんご〜〜〜く面白いです。

0
2022年08月18日

Posted by ブクログ

生物の種は204万種。未発見がまだまだある可能性がある。

アカウニとムラサキウニは受精できない。同じような形でも、交尾ができないカタツムリ。交配が起きても子孫を残しずらい。ライガー、ラバ。ある細菌に感染した蚊の生殖操作。などなど。

生物の学名が何故長いのか。
詳細に説明してくれています。

正直、全て理解するのは難しい内容でした。ですが、「分類」の雰囲気に触れ、楽しく読むことが出来たと思います。

生物の種をパズルのピースと表現していますが、完成に近づく日が楽しみですね。なんらかの出来事で飛躍的に進むこともあるのでしょうか。
しかし、新種発見から発表までの苦労は想像以上でした。時間も作業も。

中々、手に取らない分野の本なので、こういった機会に巡り会えてよかったな、と思います。

0
2022年08月15日

Posted by ブクログ

分類学という学問ジャンルがあるということ、
著者のように、テヅルモヅルという(聞いたこともない)生物の調査、研究、分類を行っている人がいるという驚き。

DNA分析やAIの解析が発展してくると、この分野の研究も変わってくるんだろうなと思ったり。



以下メモ
・分類学の営みは、私たちに生物の認識という、普段は意識しない、しかし重要な恩恵を連綿と与え続けている。今後、地球環境変動の問題を考えるうえで、生物に関する課題の規模が大きくなるほど、分類学の重要性は増していくことになるだろう。


・分類学の基礎
古代ギリシャのアリストテレス:動物誌
客観的な事実観察に基づいて、500種以上の動物を詳細に記録


・分類学は西洋で発展
西洋では自然は神に作られた。標本にして詳細に記述しようとする。
東洋では多神教の考え。生物には神が宿る。生物は観察の対象。


・新種を見つけたら
年間で発表される新種は約2万種
その種を新種と判断するに至った経緯を示すために関連する生物の論文を読み漁り、その種の形態に代表される特徴を詳細に観察し、文字やスケッチ、写真によってそれらを記載し、最後にそれを新種と判断するだけの根拠を述べた「論文」を書き「発表」する。

・「論文」として認められるためには
その論文が、「適格な著作物」の中で「適切な方法で命名された」と認められること
適切な著作物→科学雑誌や本など、印刷物であること(手書きはNG )


・なにを基準に種を分けるのか
生殖隔離:互いに生殖可能な自然集団のグループで他の同様なグループと生殖の面で隔離されているグループ

犬はセントバーナードからチワワまで同種とは思えないような違いがあるが交配可能
反対に、ライオン×とら=ライガー は、先天的な欠陥を持ち成獣になる前に死んでしまう。生殖隔離が働いている


・種の分類と人の利益
希少なサンゴを保護する人
そのサンゴが生物学的には希少種ではなく保護する必要がないと判断される場合
あえて形態学的には別種として無駄な保護をいたずらに続ける可能性をはらむ


・分類学は人類の生活を豊かにする
1種1種の生物が、そこに棲む環境を代表している。環境に応じて住み分けができている。そこで生きていけるための特徴を持っている。その特徴は私たちにとって役に立つものかもしれない。

0
2025年11月30日

Posted by ブクログ

分類学の意味や役割について考えたことはなかったが、ふーん、なるほど〜、「分ける」は「分かる」だよねー、と色々考えさせられました。

0
2024年01月07日

「学術・語学」ランキング