あらすじ
最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごしている翻訳者の由依。恋人の夫の存在を意識しながら、彼女と会い続けているシェフの瑛人。浮気で帰らない夫に、文句ばかりの母親に、反抗的な息子に、限界まで苛立っているパティシエの英美。妻に強く惹かれながら、何をしたら彼女が幸せになるのかずっと分からない作家の桂……。望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう――「心の平穏」(アタラクシア)を求めながら欲望に振り回され、ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女の姿を圧倒的熱量で描き切る。第5回渡辺淳一文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
「望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう」
登場人物があまりにも多いので、相関図をメモしながら読むことを推奨します。
私は明誠社で働く佐倉真奈美を見て、まるで自分をネタに書かれているのかと思うほど共感してしまいました。
暗黙のルールのもとに成り立つ関係。
そしてその距離感を無視して極端に重い言葉、軽い言葉を吐けば一瞬で崩壊してしまう空気感。
夫も彼も両方いて初めて成り立つ関係であること。
どちらも等しく必要な存在であること。
金原ひとみさんの作品はどれも自伝かと思うほど、体験していなければ書けないはずのことが書かれているので読んでいて驚きます。
そして、
夢心地のような幸せと、絶望感しかない現実のあまりにもアンビバレントなバランスを描くのがとても上手い作家さんだなと。読むたびに痺れます。
しばらくこの世界観を引きずるだろうな…
以下ネタバレ
章ごとに視点が変わる形で、それぞれの目線から描かれるのですが、
周りから見た姿と本人があまりにも違う印象だったりするから、ちゃんとメモしてないと登場人物を覚えるのが難しい。
印象最悪なツイッタラー・コウボクノマックと、
真奈美の優しいセカンドパートナー・荒木が同一人物だったことに驚いた。
枝里20歳、被害者22歳だそうだから、ここは繋がってないだろうけど、それにしても続きが知りたい。荒木のことを何度も回想してしまう。
Posted by ブクログ
なんというか…おもしろかった。怖かったけど。怖すぎて気持ち悪すぎたけど、頑張って読み切ってよかった。
ラスト、えってなった。なんでなんで?殺された22歳って知らない人?
真奈美と別れる時の荒木の優しい感じがすごくこの小説のなかの唯一の正気な感じで救われたと思ったのに…
金原ひとみってすごいの書くんだな。
他のも読も。