あらすじ
とある地方都市で小さな水草ショップを営むぼくのもとに、ある夜ひとりの美しい女性が現れる。店のドアに貼ってあった求人チラシを手にして……“アルバイト募集 年齢性別不問。水辺の生き物を愛する方ならどなたでも”。この出会いが、奇跡の始まりだった。著者の愛する映画『ノッティングヒルの恋人』へのオマージュで始まるファンタジックな青春ラブストーリー、待望の電子化!同作品は2007年に映画化され、好評を博した。
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Posted by ブクログ
この物語は大学生の時に読んだはず。あの頃、29歳の智史と花梨をすごく大人に感じていて、大人なのに、純愛は壊れないものなのだと信じられてすごくホッとしたことを思い出した。
読み返した30歳の私といえば、妥協もできず、一般的に暮らす30代の女性が受ける愛情が欠けた状態で暮らしているような気がしている。
それに失恋もして、まだ泣いている。
でも、読んで良かったと思う。私が人生に求めているものがこの本にはある。
家族、恋人、友達、悲しみが決まっている小さな命、全てへの愛がこの本の中には存在している。
悲しみへの答えも。
私は、生きて手に入れた思い出は、すぐには取り出せなくても脳みその奥の方にしっかりとしまわれていると思う。その思い出が、あの世界を作っているのだとしたら、生きている人ともうこの世にはいない人でも繋がっているのは嘘じゃない。
そして、あの世界を通じて、今は離れてしまった人とも繋がっているんだと思う。
私の悲しみが、私の人生の一部を埋めるピースだと、そう思えば、心に流す涙も自分以外の人からは見えない花を育てていることになる。私は植物が好きだから。それを覚えていてくれているのなら、もうそれで良いんだ。愛がそこにあったことは確かだと思おう。
Posted by ブクログ
本当に素敵なお話。いつまでも少年少女の純粋な心を忘れず生きてきた人間たちの、思いやりのある温かいお話。
思ったことをそのまま口に出すこと。難しいけど、大切なこと。そのときの自分の精神状態によって、同じものを見ても思うことは変わるから、常に自分の精神状態を整えて、美しいものは素直に美しいと言える人でありたい。
すべてが本当の自分なのだ。世界は自分を写す鏡であると同時に、自分も世界を写す鏡なのだ。人に裏表なんてない。人はあるときは一面で、またあるときは違う一面で話しているなんて、そんな単純な生き物ではない。もっと複雑に色んな部分を持っており、そのときによって自分のどの部分で話しているのかが違うだけだ。自分自身も好きな良い部分で話しているときもあれば、自分でも嫌な悪い部分で話しているときもある。自分の素敵な部分で、常に人と接することができれば、世界も素敵な部分を見せてくれるだろう。そう信じている。
誕生日は私だけの記念日ではない。もっと感謝しなければ。
人間は見た目や外に出てくる物事だけで判断してはいけない。私自身もそうではないか。うまく振る舞える人もいれば、そうではない人もいるのだ。性格が悪そうに見えて、実は優しい心を持った人や、相手を思いやり自分の嫌な部分を見せる人もいる。外側だけで人を判断してはいけない。もっと内側を見ないと。
誤解のされやすい言動をしてしまったら、素直な部分を相手に伝えることもときには必要だ。みんな下手くそなだけで、本当はみんな優しいのだ。上手に振る舞えるように練習しよう、みんな。
人の汚い部分ごと愛することができる人が、本当に器の大きい人間だと思う。みんな汚い部分は持っているのだから、それごと愛そう。そして、きれいな部分で世界と接する機会が増えれば、いずれきれいな部分が自分の世界のすべてとなる。はずだ。
身勝手で傲慢な人間が、いい思いをする世の中じゃいけないんだ。
愛し合うって、寄り添い、綺麗なものを共有し合うことだと思う。汚い部分も当然見せ合うことになるけれど、自分たちの外の世界にある美しいものを1番に見せたい人こそが、愛すべき人ではないだろうか。
いつでも考えている人のことを愛そう。
人と同じようにせず、自然体で振る舞うことは難しいこと。素敵な人を見つけて、「自分もあんな風に振る舞えたらな」と考え、努力するのは良いことだと思う。人の良いところを真似るのは良いことだ。それでもやはり、力を入れて自分をねじ曲げるのは違うと思う。ゆっくり、時間をかけながら、素敵な人間たちに囲まれて、互いに良い影響を与えあいながら生きていきたい。
人が好すぎることは弱点なのだろうか?わからないなぁ。
幸福が少なすぎるから取り合いになる。もっと幸福を増やしたい。わかるなぁ。幸せはどうすれば増やせるのか。自分の幸せを他人に振り撒くしかない。ギバーになろう。
大人になると、自分勝手に想いを言葉にすることが無責任になることがある。感情のままに行動することが許される子ども時代は終わりか。切ないなぁ。純粋な気持ちを持ち続けている人々の物語のはずなのに。
純粋で、不器用な人たちだと思う。これを美しいと思うか、馬鹿げていると思うかは、人それぞれだ。私は美しいと思う。
ちょっとした気の迷いかぁ。気まぐれかぁ。そうかもしれないけれど、ちゃんと愛すると決心すれば、誠実に振る舞えると思うけどな。
私はあの両親のもとに生まれ落ちたことに幸福を覚えたことがあるだろうか?親に感謝できる人って、それだけで素敵だし尊敬できるな。
想いを言葉にして伝えるって大事なことだ。
もっとシンプルに生きられないのだろうか?人を大切に思って、ややこしいことを考えずに、愛すべき人を愛することってできないのか?タイミングや状況もあるだろうけれど、なにがこんなに状況を複雑にしているのだろう?難しいなぁ、恋愛って。
言葉ではなく、心で繋がる関係。
誰もが触媒。それが生きるということ。
悲しみも人生の一部。苦しみも人生の一部。その通りだ。
私はちゃんと人を育てられているだろうか?
でも、人にありのままを認めてもらえるって素敵なことだと思う。
教えはシンプルで良いのだ。複雑な物事は教えなくて良い。自然と学んでいく。私たちは、どのような環境においても決して忘れてはならない、生きる上での基本を教えてあげればそれで良い。
そして、私の教えに、私自身が恥じる振る舞いをしていないだろうか?
すごいなぁ。最後にちゃんと愛を伝えられて。
恋は複雑なんだな。
10年待つということが、どれ程すごいことか。
この2人だけが理解できる会話って素敵だな。2人だけが笑いあえる冗談の応酬。
伏線が至るところに散りばめられていることに、2回目に気づく。やはり2回読むと、小説は面白い。
Posted by ブクログ
どのジャンルに分類するか?恋愛ものではあるけど・・・やはりファンタジーですかね。花梨と美咲、どちらを選ぶのかと思っていたら、まさかの急展開。もっとまさかなのは、タイトルがあの人の言葉だったこと。ラストはハッピーエンド、涙は出ませんが、良かったーと思えます。
Posted by ブクログ
滝川花梨
智史と佑司とは幼なじみ。ゴミ捨て場の犬にトラッシュと名付けた。
母親の旧姓と姉の名前で森川鈴音としてモデル活動をしていたがダイエットが辛く辞めて智史の店に住み込みで働く。
遠山智史
子供の頃は父親の仕事の都合で転校を繰り返していた。
アクアショップ「トラッシュ」でアクアプランツを売っている。
五十嵐佑司
ゴミ捨て場て智史と会う。
柴田美咲
智史の彼女。結婚紹介所で知り合った。
夏目
アクアショップ「トラッシュ」の従業員。
奥田
近所に住む予備校生。
桃香
佑司が住むアパートの隣人。
森川鈴音
花梨の姉。
Posted by ブクログ
2005年(第2回)。10位。
14歳の時に出会った主人公、ゆうじ、花梨。家の事情やらで離ればなれ。15年後に再会する。
主人公と花梨がお互いの気持ちを確かめあい、花梨が眠りにつく前の一夜。この描写がすばらしい~
花梨は眠りにつき、姉が起きる。タイトルの意味がわかると、良質なファンタジーなんだなぁ、と思う。
いわれてみれば、超大作だな。読むのは時間かかった。
Posted by ブクログ
恋愛物語かと思いきや、SF要素もあり、家族愛やもっと広い愛について描いた小説だった。ロマンチストにはいいかも。現実主義者的には少し甘さ強め。
Posted by ブクログ
p46「血の通った女性で言えば」
p89「いいじゃない、自分の年齢なんて自分で決めればいいんだから」
p111「ええ、美しいひとです。でもそれは額に入れて鑑賞する美しさではありません。はき慣れたスニーカーとTシャツとデニムパンツが似合う美しさです。」
p238「33回目のキスは忘れても、1度目のキスは忘れない。誰もが1度目のキスの記憶を携えて、天国の門をくぐっていく。きっと、そうだと思う。」
p268「夢を見るのはぼくの自由だし、その夢を現実にしようと努力をすることだって、ぼくの自由なはずだ。非ロマンティックで実利的な人間には好きに言わせておけばいい。」
p470「いいものを食べられるようになんかならなくたっていい。金のかかった身なりなど必要ない。いつも清潔にしていればいい。ひとを喜ばせるような仕事をしなさい。いつも優しくありなさい。」