あらすじ
建築は、一見すると哲学とも思想とも関係のない即物的なもので、定義など簡単にできそうである。ところが、建築ほど定義しづらいものはない――。20世紀末、構築的なものへの批判に晒され混乱をきわめた「建築とは何か」という問いに、著者は建築史と思想史を縒り合わせながら、真正面から立ち向かう。一本の柱が原野に立てられた太古から、ゴシック、古典主義、ポストモダニズム建築まで。建築様式の歴史的変遷の背後にはどのような思想があったのか。本書は、ひとつひとつ思考を重ねつつ、歴史的視座を与えようとした意欲的主著である。著者自身による自著解説を付した、待望の文庫版。
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Posted by ブクログ
あの有名な『すべては建築である』から始まり、歴史的背景や哲学的なところから建築を見直せる。
一つ一つの章が短いから読みやすい。
すべては建築である=すべてを学ぶことが建築家の理想なのかなぁ…って思うと気が遠い笑
Posted by ブクログ
建築家(実作者)の書く文章にありがちですが、強引な論旨展開がやや難点です。
特に第1章がダメなのですが、後の章では改善されるので、第1章だけ読んで判断するのは早すぎですね。
コンパクトに西洋建築思想をまとめていて、こういう本は意外とないので貴重だと思います。
隈研吾氏に興味がない人にもお勧めですよ。
(隈研吾氏に興味のある人には、「文庫版あとがき」もかなり楽しめます)
ただし、入門書として読むには少し難しい内容なので、再入門書ぐらいに考えた方が良いかも。
Posted by ブクログ
洞窟からポストモダンにいたるまで、「建築」は、どのような意味を担ってきたのか、設計者・デザイナーはどういう思想背景でそのデザインを生み出し、各時代の様式が形成されてきたのか、客観と主観、普遍性と多様性、構築と自然のせめぎあい、入れ替わりは歴史の中でどのように進んできたのかを、時間軸を下り、複雑混沌を避けながら、簡潔明瞭に説明している。
おそらく、全体的に「客観的」な叙述ではなく、隈研吾自身の解釈で筋を通していると思うのだが、それをあまり感じさせない。本書を通読することは、半期の「建築史」講義を、明るい講義室で聴きつづけているような感覚に近かった。