あらすじ
犬は風景を見るのだろうか? 四角い画面。四角いファインダー。その四角形はどこからやってきたのだろう……。前衛美術家・漫画家・芥川賞作家である赤瀬川原平が、晩年に遺した「こどもの哲学 大人の絵本」第2弾。文明論的な考察にまで思索をめぐらせ、読者を「眼の冒険」にご招待します!
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Posted by ブクログ
まとめ
自然界には四角形がほぼ無い。四角形に近い形であっても曲がっているものが多い。四角形は生活の整理整頓から直線が生まれ,その重なりが四角形として生まれた。
現在自分達の身の回りにある物,大きいものから小さいものまでが四角形である。家やビル,携帯や教科書。 つまり生活の基盤となる物の形が四角形なのであり,人間が合理的に考えて,生まれた形が四角形なのである。
その四角形が「窓」として現れたとき,人間は初めて風景を見た。それまで意識していなかった奥の方にまで意識が向くからであろう。絵画の「フレーム」として現れたときは人間は余白を知り,また風景を見た。大昔のラスコーの洞窟壁画には周りにいた動物は描かれているが,風景は描かれていない。フレームが無く,目の前の物だけを描くことだけに集中している状態だからである。
例えばある野原に立つ人物を描くときに,真っ白なキャンバスに人物を描くと,キャンバスには白い余白が生まれる。フレームがあるとこのような現象が起き,そして人は余白を認識し,野原という風景を見て描いたのだ。この時に余白から風景を見たのだ。
感想
犬は風景を見るのだろうか?人間はいつから風景を見るようになったのだろうか?という問いから始まり,四角形の歴史を著者の考察を交えて振り返る。物の見方が少し変わったような気がして,面白い体験ができた。