あらすじ
欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは――。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた直木賞受賞作。
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肩ごしの恋人、なるほど萌とるり子はずっと抱き合っていたのか、または時には背中合わせだったり
その肩ごしに通りすぎゆく2人の恋人たち、彼らは彼女たちの脇役にすぎない、彼女たちを形作るパーツでしかないのだ
2人でひとつ、月と太陽、春と冬(夏と冬ではなく)
太陰大極図
萌とるり子は私たち女性の中にいる感情だ
1人で生き、孤高であることが美しいと思う自分と、男に幸せにされて然るべきだと思う自分
つまり萌とるり子は私たちなのだ
だいぶ恐れ入るわね
そして、ああこの本がどれだけ私の救いになったか
そうなのだ、男に酷いことをされてもセックスも男も嫌いにはならない、だけど一生セックスも男も信用をしないのだと思う
彼女と違うのは、私は自分のことは信用していることだ、と思ったけどちょっと違うかもしれない、信じているんだと思う
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気持ち良い!
解説にもあるようにさらさらと流れる文章とその中の時間、正反対のふたりの腐れ縁からなる最強感。
自身が女であることを誇れと、おしりを叩かれたような清々しさ。
高く高く伸び軽やかに揺れるるり子と、深く根を張りどっしりと構え、我々に頼もしさを見せてくれた萌。どちらも最初から最後まで一貫してカッコよく、強くて魅力的だった。初めに正反対と言ったが、2人がずっと一緒にいる理由は何となくわかるような気がする。2人は似ている。
旦那の浮気相手へのるり子の態度、気持ち良すぎて痺れた。
腹立たしいほど真っ青な空を見上げて胸を張れる彼女たちに憧れる。自分もいつだってそのような女で居たいと思う。
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萌とるり子、どちらに似ていると聞かれるとるり子。
るり子は性根がどうかと思うが、我慢するより我儘を通す方がずっと難しいことも分かっていて、それでも「絶対に妥協しない」るり子はある意味強かな女だと思う。良く言えば一貫していて格好いいまである。
所々るり子の暴言に納得してしまう私はルッキズムに染まっているのだと思う。
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再読。萌が作中で言っていたように、本当はみんなるり子のように生きたいと思っているけどできないだけで、だからるり子はある意味たくましい女なのだと思う。自分は萌に近いタイプだけれど、改めてるり子の自分の欲に忠実なところや世間知らずなところが羨ましくなった。唯川恵さんにハマるきっかけとなった作品で、思い入れが特に強い作品。言葉がとてもさっぱりしているところが好き。
Posted by ブクログ
あなたは、『我慢する』ということをどう考えるでしょうか?
う〜ん。なんとも漠然とした質問です。『我慢』と言ったってその対象によっては答えが変わってくると思います。
では、こんな風に問われたらどう答えるでしょうか?
『何を食べたい?』
何か奢ってあげようか?と言われたシーンにおいて、そんな答えに『吉兆のウニと鮑のゼリー寄せ』と相手が答えたとしたら流石にギョッとするかもしれませんが、一方で間違いなく『我慢している』ということではないでしょう。しかし、『吉野家の牛丼』と答えた場合には、『我慢しなくていいんだよ』と言い返す方もいるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?
『我慢なんかするはずがない。「牛丼」と言った時は、本当に「牛丼」が食べたいのであって、それ以外のなにものでもない』。
そんな風に思う感情はおかしいことでしょうか?
さてここに、『どんなに落ちぶれても、我慢強い女にだけは絶対にならない』と誓う女性が主人公の一人を務める物語があります。『みんなが持ってるものは、当然、欲しい。みんなが持ってないものはもっと欲しい』と思う女性には二十二年にもわたる友人の存在があります。この作品は、そんな二人の女性の生き様を描く物語。奔放という言葉はこの二人のためにあると呆れるくらいの奔放さを見せるこの作品。そしてそれは、『私は、自分の気持ちに正直なの…』という思いの先に『略奪結婚』を繰り返すキョーレツな女性の生き様を見る物語です。
『地中海料理が有名な青山のこのレストランで、流行りのレストラン・ウェディングを絶対したいと言ったのは、もちろんるり子だ』と『純白のウェディングドレス姿で満足そうな微笑みを浮かべ』る花嫁を見るのは早坂萌(はやさか もえ)。『結婚も三回目ともなれば慣れたものだ』と るり子を見る萌は『三回目にもかかわらずこんな大げさなことができるのは新郎の室野信之が初婚だからだ』と思います。『幼稚園で初めて一緒になった時から、不本意ながら、萌はいつも るり子の騎士役だった』と二十二年の付き合いを振り返る萌は『るり子は誰よりも自分が大好きな女だ。自分が大好きな女ほど、始末に悪いものはない』という中に、『大喧嘩をしても、結局、また元に戻ってしまう』二人の間柄を思います。そんな時、海老だけを器用に取り除く隣の男性に『海老、お嫌いなんですか?』と声をかける萌は、『この男か。さすがの るり子も落とせなかった相手というのは』と散々聞かされた話を思い出します。そんな時スピーチが始まります。『おふたりは明日ハワイに発ち…どうぞ腰など痛めないよう…』という『一〇〇年前からあるようなスピーチ』を聞いて『最後にセックスをしたのはいつだったろう』と『るり子の隣でとろけた笑顔を見せている』新郎の信之を見る萌。そんな萌は、『この披露宴の後の予定は何かあるの?』と隣の男性に訊きます。『もしかして誘ってくれてるの?…せっかちだね。もちろんイエスさ』と返す男性と披露宴終了後にホテルへと向かう萌は、『セックスは習慣のようなもの』という考えの中にいます。そして、『感覚だけに集中』する時間を終え、着替えていると電話が鳴ります。『柿崎さんともうやっちゃった?』と『るり子の声が飛び込んで』くる中に『誰、それ』ととぼけるも『どうだった彼?』と一方的に訊く るり子に『思わず肩をすくめ』る萌は『るり子が新婚旅行から帰って来たら、ゆっくり話すから』と言うと電話を終えました。
場面は変わり、『どうして結婚したとたん、こんなにセックスがつまらなくなってしまうのだろう』と新婚旅行先のホテルでバルコニーから海を見下ろすのは 室野るり子。『信之とは結婚前からセックスしまくった』ものの『ハワイに来て一緒にベッドに入った昨夜、今からすることが急につまらないことのように思え』てしまった るり子は過去を振り返ります。『不倫の末の掠奪結婚だった』最初の結婚、『かつてのボーイフレンドの付き合っている女を見た時から始まった』二回目の結婚を思い出す るり子は『今度こそは、と思ったのに』と信之のことを思います。『かつて萌が付き合っていた男』という信之。そんな中に、『みんな萌のせいだ。せっかくの新婚旅行が楽しくないのは、萌があまりに淡々としているからだ』と思う るり子。そんな時、『信之に抱き寄せられ、髪を撫でられているうちに、何だか少しエロチックな気分になってき』た るり子は『一生、僕が守ってあげる』と信之に言われ、『嬉しい』とその『首に抱きつ』きました。るり子と萌という二十二年の付き合いを続ける二人の女性の奔放な日常生活が描かれていきます。
“欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する’幸せ’のかたちとは”と内容紹介にうたわれるこの作品。2001年に第126回直木賞を受賞し、2007年には米倉涼子さん、高岡早紀さん主演でテレビドラマとしても放送されています。
そんなこの作品を読み終えた直後の素直な感想としては、兎にも角にもここまで読みやすい直木賞受賞作があるのか!と驚くある意味での”軽さ”が特徴の作品だということです。私のレビューは一つの様式に則って書くようにしており、まずは作品冒頭部分をダイジェスト的にまとめるようにしています。今回も上記の通りまとめていますが、書いていて主人公二人のあまりの奔放さに呆れ返る他ないまとめが出来上がってしまいました。この作品はそんな二人の強烈な個性に尽きると思います。では、二人の主人公を一人づつ見ていきましょう。
・早坂萌(ドラマでは米倉涼子さん):
- 27歳、独身
- 四谷にある輸入代行会社に勤務、半年前から主任
→ エッチな下着やバイブレーターなどセックス関連の商品の取り扱いが増えてきたことに不満を抱いている
- 男性遍歴(一部): 信之 → 柿崎
・室野るり子(ドラマでは高岡早紀さん):
- 27歳、”バツ2”の後、信之と結婚
- 自由が丘のマンション住まい
- 『結婚相手を探すには、前と同じように短い期間で会社を転々とする派遣会社がいちばん効率がいい』という考え。作品内では専業主婦
- 自称『鮫科の女』: 『常に愛に翻弄されてないと生きてゆけない』ため
- 男性遍歴(一部): 柿崎 → 信之
物語は、萌と るり子に順番に視点を切り替えながら20の章にわたって展開していきます。これは主人公が二人の場合によく見られるパターンだと思いますが一部変則切り替えが発生します。まとめておきましょう。
・早坂萌視点: 1、3、6、7、9、11、13、15、17、19
・室野るり子視点: 2、4、5、8、10、12、14、16、18、20
いかがでしょうか。前半に一部切り替えのリズムが崩れる箇所があることがわかります。単調さを防いだという側面もあるとは思いますが、視点が固定されればされるほどに当該人物への感情移入は強まります。このあたりの効果もあるように感じました。
そんな萌と るり子ですが、まさしくキョーレツな存在感を発揮してくれます。特に”バツ2”の先に物語冒頭の場面で新婦としての姿を見せる るり子の婚姻歴は一度聞いたら忘れられなさそうです。まとめておきましょう(笑)
・最初の結婚(二年間):
- 相手は『短大を卒業して一年後に一回りも年上の上司』
-『不倫の末の略奪結婚』
→『奥さんが包丁を持ち出した時なんか、これで私もワイドショーに顔が出るのね、と思わず画面に映る写真のことを考えた』
→『禁断の愛の王道をいっていて、肩で息をするような毎日』
↓
『そこまでして結婚したのに…新婚旅行にこのハワイに来た時、彼が知らない誰かに見えた…すぐに別れたのでは格好がつかないと、二年続けた…二年もよく頑張ったものだ』
・二回目の結婚(半年間):
- 相手は『学生時代からのボーイフレンド』
-『電撃的に結婚』
→『西麻布のクラブで偶然に再会』した時、彼女が『脇の下のムダ毛の処理は完璧で、顔は拳ぐらいの大きさしかないような女』だったこと、『エルメスの黒のバーキンを持っていた』ことで『絶対、彼をモノにしてやると誓った』。
↓
→『彼を手に入れるより』『エルメスの黒のバーキン』の入手が難しいとわかり『何だか急に彼が安っぽく見えて、別れることにした』。
いやー、なんなんでしょう。この女性は。あまりのキョーレツぶりに、どう考えてもギャグとしか言いようがない様を見せてくれますが、ポイントはあくまで るり子は大真面目だということです。このようなライトな感覚の生き方こそが るり子だ!ということを一ミリも譲ることのない強さで見せてくれます。こんな女性に引っ掛かったら男性もイチコロ!と恐ろしくなりますが、おそらく るり子はそんなことを考える私など相手にもしてくれないでしょう。ホッと一安心(苦笑)。
そして、物語は上記したはちゃめちゃな展開を経て”バツ2”になった るり子が三回目の結婚式、披露宴に臨む姿から始まります。
『三回目にもかかわらずこんな大げさなことができるのは新郎の室野信之が初婚だからだ』。
そんな理由の先に『それにしても るり子は綺麗だ』と花嫁の るり子を見る萌。
『シフォンをふんだんに使ったドレスがよく似合っている。白く透き通るような頬はばら色に染まり、スピーチにはにかむ様子や、上目遣いにちらりと新郎を見る姿などは、まるで処女のようだ』。
素直にそんな感想を漏らす萌ですが、一方で二十二年という長い付き合いを続けてきた萌は るり子に隠された真実を当然ながら認識しています。
『あの顔に何人の男が騙されたことか。いいや、男だけじゃなく、女だって騙される』。
『いつも るり子の騎士役』という立場で るり子と関わってきた萌ですが、それは目の前にいる るり子の三回目の結婚相手にもありました。上記の続きを書きましょう。
・三回目の結婚(始まったばかり):
- 相手は『かつて萌が付き合っていた男』
- 親友の彼氏を略奪
→『親友の恋人、というのはそれだけで十分に盛り上がる恋愛の要素を含んでいたし、何より信用できた』
→『萌の付き合っている男なら安心だ、間違いはない。だからこそ必死になって信之の気をひいた』
いかがでしょう。女性なみなさんは一斉にドン引きされたのではないでしょうか?空いた口が塞がらないというような表現では説明できる範囲を超えているように思います。しかし、それがこの作品の るり子なのです。そんな強烈至極な発想は、るり子のこんな考え方から導き出されるものです。
『るり子は我慢が大嫌いだ。我慢なんて、少しも自分を幸せにしてくれない。自分を幸せにできないことをどうしてしなくてはならないのだろう』。
もうありえないですよね。『我慢が大嫌い』と言ったって、自らの幸せのためには他人の幸せをどんどん奪っても構わない…そのような考え方の先に るり子の今までの結婚遍歴があるとも言えます。そして、萌は『大喧嘩をしても、結局、また元に戻ってしまう』という繰り返しの中に二十二年間、親友としての関係性を維持してきました。それは、こんな思いからです。
『るり子はいつだって、自分が幸せになるための努力を惜しまない。他人に嫌われたって笑われたって意に介さない。愚かで、そこが、愛しい』。
とは言え、物語では、意趣返しとも言える『さすがの るり子も落とせなかった相手』と付き合い始める萌の姿も描かれていきます。しかし、そんな行動はすぐに るり子が察知することになります。その一方で、結婚したばかり、しかも新婚旅行先にも関わらず早々にこんな思いに囚われ、すでに怪しい気配を見せる るり子。
『どうして結婚したとたん、こんなにセックスがつまらなくなってしまうのだろう』。
もう誰もが呆れる他ありません。おそらくこの作品を読まれる女性の方であっても、当初、あまりの奔放さを見せる るり子に強い嫌悪の感情を抱かれると思いますが、それが呆れの感情に切り替わってくると思います。それこそが作者の唯川恵さんがこの作品を描くことにした思いに繋がるものです。唯川さんは〈あとがき〉でこんなことをおっしゃいます。それまで、”どちらかというと重く、陰鬱なものを書いていました”とおっしゃる唯川さん。
“その反動もあってか、まったく対照的な、あっけらかんと、軽やかに、したたかに、それでいて真っ直ぐに生きようとする女性たちを書いてみたくなりました”。
ここに答えがありました。この信じられないくらい読みやすい物語の中に、自由に、奔放に生きたいように生きる主人公たちが自在に闊歩する物語の雰囲気感は、この唯川さんの狙い通りに作り出されていたことに気づきます。どこか憎めない二人の存在の大きさを感じる物語。そんな物語には、『女性』というものに対する唯川さんのお考えも顔を覗かせます。
『女にはふたつの種類がある。自分が女であることを武器にする女か、自分が女であることを弱点に思う女か。このふたつの女はまったく違う生きものだ』。
主人公の るり子はもちろん前者の思いの中に強く、どこまでも強く生きています。しかし、物語を読み進めるに従ってこの作品の真の主人公は萌であることに気づきます。あまりに奔放すぎる るり子を『騎士役』として支え続けてきた萌。そんな萌が最後に下す決断。結末に向かって選び取っていく力強い決断の先に、これだけキョーレツな物語が信じられないほどに清々しい物語に昇華する、そんな物語の姿がここにはありました。
『るり子にしたらどっちも同じだ。みんなが持ってるものは、当然、欲しい。みんなが持ってないものはもっと欲しい』。
キョーレツな考え方を一才の躊躇なしに表出していく主人公の るり子。そして、そんなキョーレツな存在を二十二年にもわたって『騎士役』として支え続けてもきた主人公の萌。この作品にはそんな二人が肩ごしに恋人が見える生き方に幸せを見る物語が描かれていました。るり子のあまりのはちゃめちゃぶりに呆れを通り越す感情が支配するこの作品。そんな るり子から付かず離れず二十二年という萌のある意味でのクールさに本物の強い女性を感じるこの作品。
唯川さんの狙い通りのあまりに読みやすい物語の中に、肩肘張らない直木賞!を感じたインパクト最大級の作品でした。
Posted by ブクログ
さらさら読めるが、格言的なセリフがたくさん。
なんだか峰不二子を思い出した。
自分とはかなり遠い世界を覗き見たみたいで面白かったが、自分の教訓にもなるようなセリフ達。
信念を曲げないこともいいよね、と。
曲げるのもそれはそれで良いと思うけど。
みんな自分の思う大事なことを貫いていて、
目標に向かって努力していて、
最後まで曲げない。
不倫がナチュラルすぎたのは最初はビビったけど慣れてしまう不思議…
夫婦や親友で価値観が合うならそれでも上手くできるんだろうなとは思う。自分は厳しいが…
我慢は絶対しない。でもそのための努力はする。
そう言う考え方に強さを感じて好ましいなと感じた。友達になりたい。というかそう言う友達はいるかも。
Posted by ブクログ
恋をして女を楽しむ女。仕事をする中で女であることを負担に思う女。主人公の女性2人はどちらも私の中にいるようにもいるように思えた。
私も女であるから、男性から愛される喜びがあることは理解している。その一方で女だからこそ、男性から俺でもイケる女だと思われる鬱陶しさ、舐めんなと思う悔しさも理解している。
主人公両方に共感出来る部分が多々あったが、2人の関係性の結末には、2人の未来に期待し過ぎなのでは??と思えた。
Posted by ブクログ
とても読みやすくて気付いたらあっという間に終わってしまった!!淡々としていてそれでいてリアルで、女性の生きづらさや生きやすさ、辛さや楽しさを2人の登場人物を通じて私たちに痛感させてくれる物語でした。久々に1日で本を読み切った!!!
Posted by ブクログ
『恋は単に人生の+aなのかそれ以上の価値をもたらすのか』るり子も萌も自分と似ている部分だったり、ぜんぜん違う部分があったりして、共感しながらもこんな生き方もあるんだなあと当たり前ながら一人ひとりに人生があることを実感した。
最後、るり子と萌が一緒に暮らすことになったとき、とても幸せな気持ちになった。途中先の見えない不安な場面もあったがよく考えたら大切な人はずっとそばにいてそれってすごく貴重なことだったんだなと思った。きっと二人ならどんな困難も乗り越えていける素敵な家族になるんだろうなあと思った。
読み終わって読んで良かったと思える作品でした。
唯川恵さんの作品は沢山読みましたが、こちらはちょっといつもと違うなと思いました。
恋愛小説でもありますが、女性の真の友情のお話だと感じました。
2人の女性、タイプは違う2人なのにどちらにもどこか共感できる部分がありました。
Posted by ブクログ
サクッと読みやすかった。
萌とるり子5歳からの友達
恋や仕事に悩む27歳辺りの女性目線の小説
登場人物のキッパリした性格が多いからなのか、終わり方なのか
物足らない感じがしたが、
なるほど!!、言葉にするのが上手い!
と思う名言が幾つかあった。
先が気になる。続編があったら読みたい。
Posted by ブクログ
友人である女性二人が主人公。
全く性格の違う二人の会話も面白いし、二人が決断したラストシーンには、ほっこり感動しました。
結婚や離婚について考えらせられました。
Posted by ブクログ
「本当はみんな知っているはずだ。わがままを通す方が、我慢するよりずっと難しいということを」
好きな感じの本。答えを出さずふわっと終わるのもいいけど、これは綺麗に終わってた
貪欲に奔放に生きることって難しい。るり子も萌も好き
Posted by ブクログ
再読⭐️
誰かと比べることなく自分の好きなことをして思い通りに生きようとする女性とそれと正反対の女性の友情が良いなぁと思います。
どちらも悲しくてどちらも最高です。
Posted by ブクログ
読み進めていくと、どんどん主人公たち二人を取り巻く環境が変わってきて、ラストは想像もしていなかった最後だった。後半は面白くて一気読み。
不幸な想像は現実で、幸せは幻想の言葉がすごくスタンディングオベーションだった。笑
Posted by ブクログ
女でいるのが武器と思うか、女でいることが弱点と考えるか
女でいることが弱点だなんて思わないし、自立していたいと思うけど、所謂、女性としての幸せ=結婚を求めなきゃなのかと少し焦る最近。
気づけば一緒に同じ時間を過ごしていた人たちが、婚約して結婚して子供ができて、遠くに行っている感覚がすごい、女としての幸せを幸せだと思って追い求められるのも羨ましく思う
でもるり子と萌だったらわたしは確実に萌側の人間だなぁと
頼るだけで生きていくなんてまっぴらだし、沈黙を破っちゃうタイプだし、自分を守りたいからこの人と付き合わなくても良いってなっちゃうし、相手がいるからこそ気を遣わないっていうのもわかる、不倫も高校生に手出しもしないけど
年も近くて自分を投影した、直木賞取った理由がわかる
Posted by ブクログ
成立から20年は経っていても、これは一昔前の感覚だな、もあれば、全く今に通ずる感覚もある。好きだな、この本。
隣の芝生は青いが、自分とこの芝生が嫌いなわけではない。それが生きる上で大事なんだろう。
Posted by ブクログ
るり子のキャラクターがたまらない。
解説で江國香織さんが言及しているように、女のダンディズムを貫いている。
女の子に人気があって、男の子に全然モテない女の子が、世の中でいちばん不幸なの
女が得に決まってるじゃない。生まれ変わっても、私は絶対女だわ。女でなきゃ、生きてる意味がない
絶対になれないものに、無欲の人間がある。そんなのになったら、自分は死んだも同然だ。
こんなぶっ飛んだ女に嫌われる女、るり子に彼氏を横取りされても親友で居続ける、萌の女っぷりもまた見どころだ。
最後の展開はこの2人だからこそ描ける未来かもしれない。
I love these strong women.
I hope they get their happiness in the future even though it will not be an ordinary shape.
Posted by ブクログ
2004年(発出2001年) 331ページ
第126回直木賞受賞作です。
著者の唯川恵さんは、若い頃にコバルト文庫で作家買いしていた小説家です。やさしい雰囲気の恋愛小説が大好きで新刊が出ると買っていた記憶があります。小説をめったに読まなくなっていた時期に直木賞受賞のニュースを見て、ジュニア向けから大人の小説へシフトしてたんだなあ、と思いました。久々の唯川恵さんでしたが、読みやすさは変わらず、軽快なテンポで物語が進んでいきました。
対照的な2人の女性、るり子と萌は5歳の頃からの腐れ縁。るり子はまさに『女の敵』という表現がピッタリの女性。わがままで強欲。自分の欲しいものは手に入れないと気が済まない。『女』という自分の武器を最大限に駆使して他の女から奪った男は数知れず。対する萌は、普通に常識的な女性。
しかし、るり子の3回目となる結婚相手の男性はなんと萌の元カレ。その3回目のるり子の結婚式のシーンから物語はスタートします。
私は萌タイプなので、るり子には最初反感を抱きました。萌の視点に立ち、るり子を腹立たしく思いました。しかし、あまりにもるり子が一貫性のある突き抜けた性格だったので、最後の方はるり子に好感を抱いてしまったほどです。るり子にも共感できる部分はあります。こと恋愛に関しては、好きな相手に可愛く思われたい、家庭的なふりしたり、一生懸命おしゃれして相手に気に入られようと努力するのは一緒だな、と過去の自分を振り返りました。痛い。一方の萌の方は、なんかわかりにくいと思ってしまいました。他人も自分も信頼できない萌に思うところは、いくら幼なじみでも、彼氏を盗られたら絶縁するでしょ!
で、最後の萌の決断がぶっ飛んでいるが、おいおい、ちゃんと高校生に避妊を教えてあげなさい、とツッコミたくなったのでした。
対比されている2人の生きざまと読後感のよい結び方。2人とも強い女性でしたね。おもしろいお話でした。
Posted by ブクログ
直木賞の作品らしい。
おぉこんな内容だったか!
JKが好きな唯川さん×直木賞ということで、読んでみる。
しかもドラマやってた気がして、期待して読む。
すごい女がいた!
るり子、私の周りににはいなかったなぁ。でも、萌のような子もいなかったなぁ。
それぞれが、すごく魅力的。
自分の行動に自信を持っていること、27歳にして後悔のないような生き方をしていること。言い切るって難しい。でもこの2人は行動も選択も迷いがないことに、すがすがしい感じがする。あとがきに、江國さんが唯川さんの作品を“梨”の筆と言っていた。“あるのまみずみずしさと、さくさくとした歯ざわりの良さ”と書いている。まさに!!!
読み応え(噛み応え?)抜群だった。
P206
「後悔するかどうかは私が決めることよ。」
P304
「それにね、私は自分が幸せになれないなんてどうしても思えないの。だって私、いつだって幸せになるために一生懸命だもの。人生を投げたりしないもの。頑張ってるもの。そんな私が、幸せになれないわけないじゃない。」
3回結婚して、3回離婚して、結婚で私が幸せになることしか考えていない、女の武器を誇らしくかざするり子を、かっこいいと思うなんて!!!
でも、生き方に筋が通ってて好きだなぁと思った。
Posted by ブクログ
間反対の2人の女性を描いていたら、結局のところ2人とも同じ感じに収まっていて面白かった。
ルートは違えど自由に生きる女性の形を表していて面白いかった。
Posted by ブクログ
「女はいつだって女であるということですでに共犯者だ」
「男が結婚しているという事実は、どこか安心感をつれてくる。」
唯川恵さんの小説で出てくるこのようなアフォリズムは、小説を手にするたびにどのようなことがあるのだろうとワクワクしてみます。ただ私が未熟者なので、納得!とまではなりません。ただそんなことを考えれるレディーになりたいって思います笑。
Posted by ブクログ
私の身の回りには起こり得ない刺激的なお話だったけど、こうも自分を持ってるるり子がかっこよかった。でも実際にるり子が居たら嫌いなタイプ、って部類に入れてたなきっと。笑
世の中にはいろんな人がいて、いろんな生き方があって、歳を重ねる度にそれを重々と感じる。そう思うと世界が大きく大きく見える。自分なんてちっぽけなんだって思う。でもそんなちっぽけな人生、自分が愛さなくっちゃ、とも思う。
Posted by ブクログ
唯川恵さんの、余計な装飾がなくさらりとして、それでいて心に記憶に沁みる文章が好きで、何年かおきに彼女の作品を読み返している。
あの魅力をなんて表現すればいいのだろうと考えていたところ、江國香織さんが解説で「唯川恵の筆は梨でできている」と。梨のような上品さ。みずみずしく、さくさくした歯ざわりのよさ。肌に響くような表現も、どこまでもさらさらと、さらさらと小説を進ませると。
Posted by ブクログ
5歳のときから親友のるり子と萌のお話。
同じ女性でもここまで生き方が違う2人が親友なのが不思議。だけどお互いないものがあるからこそ、ずっと仲良くいられるところに女の友情を感じました。
Posted by ブクログ
私だったら、るり子みたいな子とは絶対に友達になれない。ただここまで自分の幸せを追求し、周りの眼を気にせず生きていく行動力には脱帽
るり子のセリフで
私は自分が幸せになれないなんてどうしても思えないの。だって私、いつだって幸せになるために一緒懸命だもの。人生を投げたりしないもの。
頑張ってるもの。そんな私が、幸せになれないわけがないじゃない。
がめちゃくちゃ刺さった。私も幸せになる未来を想像してるり子みたいに前だけしかみない強い心を持ちたいと思った。
萌は10年後ぐらいに宗と再開して、家族になれたらいいのになあと思ってしまった。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作
初版が発行されたのは、2004年ですね。
2025年の現在では、ちょっとそれは‥と言いたくなる箇所がチラホラ出てきて、時代の変化は著しいと改めて実感。
それでも過去にドラマ化されただけあり、起承転結がしっかりしていて楽しく読めますよ。
Posted by ブクログ
読みやすかったが、現実的にあり得ない話なんじゃないかと思ってあまり感情移入出来なかった。
都会の人はそんなに簡単に○○するものなのか。
るり子を受け入れる萌も人が良すぎるというかなんというか…。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作品は、期待して読むからか、いつもちょっと肩透かしな感じがあり、この作品も同様だった。玄人好みな作品の良さを理解しきれないからだろうか。。本屋大賞の方が好み。
主人公3人の恋愛や仕事、生活についてサラつとした文章で書いている。設定やあらすじに「それってどうなの??」とツッコミ所が少なくないが、あくまでサラッと書いているので、サラッと読める。一番深いのは題名だと思った。
最後に江國香織さんのあとがきを読んで、この小説の良さがわかった。
Posted by ブクログ
欲しいものは欲しい、結婚3回目の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは―。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた第126回(2001年下半期)直木賞受賞作。
米倉涼子と高岡早紀の出演によるドラマも放送された。
この作品のタイトル「肩ごしの恋人」とは、「『恋愛』を正面に見据えた生き方より、自分が目指す目標に向かって突き進んで生きていく中で、気が付くと肩ごしに恋人が見える生き方の方が幸せになれる」という意味がこめられている。
アフォリズムが適度にちりばめられている。
アフォリズムが心地いい。講釈垂れず、女がどうだの結婚やらセックスがどうだのとさらっとした言い切り文句は、聞き入れても聞き入れなくてもどちらでも気が楽だ。自分くらい自分の人生のために行動しなければ、と改めて心に言い聞かせる。