あらすじ
ーーー我が校では、今年度からジェンダーフリー制服を導入しまして……。
笹森くんは制服にスカートを選んだ、ということ?
笹森くんのすらりとした引きしまった長い脚が、今日はまた一段と際立っていた。
笹森くんが、ひだの均等なスカートを穿いていたから。
教室の入り口でそれに気が付いたぼくは、ゆっくりと二度瞬きした。・・・篠原智也
夏休みあけ、いきなりスカートで登校をはじめた笹森くんをめぐる4人の物語。
『恋とポテトと夏休み』などの「恋ポテシリーズ」で第45回日本児童文芸家協会賞を受賞した神戸遥真氏による、連作短編青春小説。
もくじ
1、ぼくもわかるよ・・・・篠原智也
2、きみなら話せる・・・・西原文乃
3、胸の内リスト・・・・細野未羽
4、偽装したいもの・・・遠山一花
5、理由は要らない・・・笹森宏
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私もよくLGBTとか、ジェンダーレスとかよく耳にはしていた。この本を読んだきっかけはインパクトがあったからだ。笹森くん?絶対男の子だよね?みたいな。そういう固定観念があったからだろうけど。
笹森くんを通じて、普通ってなんだろうとか、スカートを履く理由・履いたらいけない理由ってなんだろうみたいな疑問が各キャラに芽生えてきて、私も一緒に考えた。
笹森くん、スカートを履くことには勇気が必要だったと思う。人のために勇気をだすってすごい。
私は遠山一花ちゃんに似ている(一花ちゃんみたいにメガネ外したら美女とかじゃない)ので一番、共感できた。
あと、ケイがすごくいいやつ。
細野未羽ちゃんの話で、「自分に足りないものを求めてしまう」みたいな内容が取り上げられてて、その話と繋がるのかは分からないけど、笹森くんも無意識のうちにケイの性格を求めてたんじゃないのかな。ケイがいたから、勇気を出せた。みたいな。
全員に認めて欲しいっていうわけではないけど、少しでも、自分の好きを、したいことを認めてくれる人がいてくれたら、もっと自由な世界が広がりそうって思った。
2025.7.22
Posted by ブクログ
In her shows的な体験を5つも体験できる良書。
突然制服のスカートを履いてきたクラスの男子、を中心に、クラスメイトのエピソードから最後はその彼がスカートを履くに至ったエピソードになる。
クラスメイトはみんななんかコンプレックスがあって、それとの向き合い方も人それぞれ。でもそれが無理ない感じなのが良い。
スカートを履いた笹森くんが1番現実的ではないかも。スカートを履くという行動ではなくて、スカートを履いても受け入れられたり、ありのままでいられる男子はそんなにいない!と思う。
でもうん、良書だ。多感な学生さんに読んで欲しい。
2025.5.17
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Posted by ブクログ
笹森くんが突然スカートをはいてきた
というところから始まりました。最初は笹森くんの性格とかがわからないのですが物語が進むにつられて笹森くんの人物像がだんだん浮かび上がってきました。でも最終章の笹森目線の物語までちゃんとしたスカートをはきたい理由がわからなくてページをめくる手が止まりません。女子でスラックスをはく人は珍しくないけど男子でスカートをはく人はあまり見ないからこれから男子のスカートが増えたらいいと思いました。
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娘の読書感想文用の本を拝借して読む。
タイトル的に、LGBTQだろうな~と思ったけれど、どちらかというと、それぞれの“個性”や“嗜好”として書かれていて読みやすかったし好感が持てた。
こんな風に“人”として、交流することって理想だなぁとも思う。笹森君、かっこええわ~。
Posted by ブクログ
私は学生時代というか、高校生の頃は特に周囲の人の感情などを気にしない性格で、そのせいでいじめに近いこともあったりしましたが、今思い返すと、高校生は本当にいろんなことを抽象的に考えられる年齢でした。あの頃から、もっとたくさんの人と関われたら良かったな。
笹森君と同じような理由でスラックスを履いておりましたが、女子ではインパクトがないよなと思っていたら、部活の後輩がみんな「先輩がスラックスなので!」と揃ってスラックスにしてきたのを思い出しました。もっと感謝を伝えたらよかったなあ。楽しかったなあ。
「クラスのそれなりにモテる地位にいる笹森くんが、突然夏休み明けにスカートを履いてきた。」と言う1つの具体的な事象を自分に当てはめて抽象化している様子が可愛らしく感じられ、学校での日常をさわやかに描いておられます。1冊をとおして同じ舞台と登場人物、主役はクラスメートで交代制といった感じ。
ジェンダーが大きなテーマの一つではありますが、そこまであげつらって「LGBTQとは〜!!」という本ではありません。高校生らしい潔癖さと押し寄せてくる多様性の葛藤をうまく掛け合わせておられるなと感心いたしました。
高校が舞台なので、高校生にひとまずオススメではありますが、読める子なら中学生でも読めるんじゃないかな?一人称でお話が進み、平易な言い回しを選んでおられ読みやすいです。
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自己評価、他人からの評価、コンプレックス。
自己と他者の認識の差から生まれる違和感や、自分の気持ちを勝手に察してくる相手へのモヤモヤ等、「わかる〜」が止まらない!
自分の失敗を悔い、わかったふりでなく、相手の気持ちを理解するために「スカート」を穿いてみる笹森くんは、本当にかっこいい。
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中学あたりで授業として男子には制服のスカートを女子には制服ズボンを履いてみる体験授業があってもいいかもと思える一冊
物語は読みやすく淡々としていていつもと変わらない周りの人、何でもない日常の中に様々な悩みはそれぞれあると再認識
Posted by ブクログ
面白かった!
笹森くんがスカートはいてきて、
周りがどう接すればいいか戸惑う中、
悩んだってしょうがないから直接理由を聞いて、まっすぐ向き合った、友達の野々宮くん、素敵すぎる。
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私の大学生長男もロングスカートパンツを履いている。
本人はバンドしているという事もあるが、1番の理由は周りと同じ格好をしたくないと言う。
物語は、高1男子笹森くんが二学期の始業式にスカートを履いてきたところから始まる。
ラストの章、笹森くんの人となりな性格により、みんな持っていかれ感が強いけど、
各章の生徒たちの様々なコンプレックスが、等身大の高校生の姿をよく表現されている。
息子のスカート姿を見ての母のひと言がパンチありすぎでカッコいい!
こんな言葉がスラリと言える人になりたい。
今の学生はでジェンダーレスを授業で学び知識を得る。
私が学生時代は男女キッチリ、それが普通だと思っていたし知識も無かった。
その当時、生きづらかった子も沢山いたんじゃないかなぁ。
まあ、1番の違いはスマホの存在だな(笑)
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笹森くんがスカートを履いてきた。
物事としてはそれだけなんだけど、それによる周囲の反応はそれぞれ。人と違うことをすると、どうしたって目立ってしまう。内容としては多様性、ってとこなんだろうけど、アセクシャルまで扱われてる児童書は珍しいかも。自分を枠組みにはめることも、自分の感覚で物事を捉えることも、やってしまうけど周りに発信するのは気をつけなきゃいけないよなぁと思った。
みんなが生きやすい世の中になるといいのに。
Posted by ブクログ
「穿いてみたかったから穿いてみた。でも、気づけたことは、なかなかに大きいんじゃないだろうか。」
ーー本文より一部引用
クラスの人気者・笹森くんが、まだまだ暑い九月の新学期に、突然スカートをはいてきた!
かれらが通う作草部高校ではジェンダーフリー制服が導入され、実際に様々な理由で女子がスラックスを穿いていることも多いのだが……
周囲が気にする中、その理由を笹森くんは「ただ穿いてみたかっただけ」とあっけらかんと答える。
そんな笹森くんを気にしつつも、自分の日常を、己のコンプレックスなどに悩みながら過ごしていく4人のクラスメイトたちと、笹森くんに焦点を当てた5篇の連鎖短編集。
高校一年生のかれらの日常と悩み事は三者三様。
サクッと読めて、でもいろいろ考えさせられるし、読みながら発見がある。
問題提起の気はあるものの、物語として暗すぎず、明るすぎず。
最後のお話で笹森くんがスカートを穿きはじめた理由や、笹森くんがスカートを穿いていて思ったことなどが明かされ、そこも面白い。
あと各話の主人公にならなかった周りの大人たち(京子先生や笹森くんのお母さん)や、笹森くんと仲良しの野々宮くんや、バンド仲間の豊中くんなどなど…好きだなぁと思える登場人物もたくさんいて、そこも見どころ。
終わり方も爽やかでよかった。
ティーンズにはもちろん、大人が読んでも面白いのでみなさんぜひ読んでみてください!
Posted by ブクログ
なんで男子は制服のスカートを着ないんだろう?
そんなことを思ったことはありませんか?
このお話は「笹森くん」がスカートをはいて登校したことから始まります。
笹森くんは、なぜスカートをはいてきたのか?
それを見る、クラスメイトの様々な気持ちを描いた作品です。
クラスメイトのそれぞれに悩みがあって、その悩みも興味深く読みました。
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夏休み明けからスカートをはいて登校を始めた笹森くん(高1)。彼を取り巻く4人が笹森くんを通しながら自分が感じている人との違いの4話。そしてラストは笹森くん自身がスカートをはき始めた本当の理由の話。なかなかできんよ、これ。
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夏休み明け突然スカートで登校してきた笹森くんとその周りのひとから見える笹森君の物語。近頃スラックスを履いた女生徒はたびたびみかけるもののその逆はあまり見ない。笹森くんがスカートをはくようになった経緯は最後明らかに。
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巷ではニュースになってるジェンダーレス制服。
私は高校では制服がなかったし、卒業してからまあまあ経っているから、最近の現場に近い声を聞けた気がする。
多分、今はちょっとした衝撃があるだけで、これからますます「普通」になっていくんだろうな。その「普通」で少しでも心安らかになる子が増えたらいいな。
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今年度からジェンダーフリー制服。笹森くんが夏休み明けに、いきなりスカートで登校を始めた。
そんな笹森くんとその周りの4人の物語。
多汗症で汗と臭いが気になる。デオロラント効果が高い石鹸を家族は理解してくれない。男だから気にするなとか。
自分の声が甘いアニメ声なのがあまり好きではない子。文化祭のボーカルを頼まれて…。
ぽっちゃり体型の調理部員。痩せたい。彼氏欲しい。
ダサい丸メガネで顔を隠したい。望んでいないのに、かわいいからと、うらやまれたり、責められたり、陰口をたたかれたり。目立ちたくないのに。
そして、笹森くんの章。
人はそれぞれコンプレックスがあったりする。
さらっと、2人の母親について触れられていたり、
性的マイノリティに理解してあげないと、という「おしつけ」や先入観などもあって、色々な考えがあると改めて思う。
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2学期から突然制服のスカートを履き始めた笹森くん。
汗が気になる子、部活を辞めたら笹森くんのバンドに誘われた子、胸の中にいいなと思う人のリストを持つ子、整った顔を隠したい子、最後に笹森くんがスカートを履き始めたきっかけの章。
母校は私服校だったけど、制服がこれくらい気軽に選べるといいよね。
雪国なので中学時代、女子は冬季のみスラックスもOKだったけど、セーラー服にスラックスが似合わない制服だった。なので私はスカートでいたけど、それくらいの気軽さで男女問わず制服が選べたらいいよね。というか、もう一律で同じとか、私服でいいんじゃない?
スカートを履くことで笹森くんにも見えてきたり感じられたことがあって、自分が従兄弟に対してもっとこう答えてあげればよかったって思ったからこそ、他人を気遣える振る舞いができて、それだけでもお年玉貯金を崩してスカート生活した甲斐があると思う。
笹森くんも素敵だけど、スカート姿でびっくりしながらも「イメチェンか?」と返したり、委員長の思い込みの激しい態度に怒ってくれるケイが格好いい。
Posted by ブクログ
笹森くんと周りの4人が語り手になった5つの短編集。ある日突然スカートを履いて登校するようになった笹森くん。どんな意図があるのか、戸惑いながらも、優しく見守るみんな。行動にはそれぞれ訳があることを忘れてはいけないと思った。
Posted by ブクログ
新学期、クラスメイトの笹森くんがスカートを穿いて来た。明るくからりとした性格でみんなにも好かれている笹森くんのその行動に何となく心をざわつかせる生徒達がいた。
多汗症に悩む男子、ぽっちゃり体型がコンプレックスな女子、文化祭のバンドにボーカルとして誘われた女子、可愛い事が負担な女子、そして当の笹森くん。様々な生徒たちの始業式から文化祭までの学校生活がその心の動きと共に描かれている。
どこにでもいるような生徒たちのどこにでもある悩み。それでも本人たちには上手く折り合いのつかない事柄なのだという事を改めて知らされる。
中高生向きだけど大人でも面白く読める。
Posted by ブクログ
ジェンダーレス制服を導入した高校。
二学期の始業式に、クラスの人気者男子がスカートをはいて登校してきたことで、クラスメイトの注目を集めます。
笹森くんが、LGBTQだと考え、「理解しなくては」と意気込むクラス委員や、笹森くんの真意を推し図ろうとする二軍の男子、あっけらかんと笹森くんの変化を受け入れる彼の親友や、その元カノ。
ひとつのクラスに所属している生徒一人ひとりが、何に悩み、何を考えて日々を過ごしているのか。
設定はやや非現実的かもしれませんが、「絶対にありえない」ということもなく、登場人物の悩みや言動も含めて、「リアリティ」が高い作品だと感じます。
高校生の日々の生活のありのままが描かれています。弱い自分、人と比べて劣っている自分、世間の価値観からはズレている自分、そんな自分でも構わないんだ、という勇気をもらえる物語です。