あらすじ
中国の歴史と文化に造詣の深い作家が、論語、詩経、孟子、老子、易経、韓非子などから人生の指針となる名言名句を選び抜き、平明な文章で詳細な解説をほどこした教養と実用の書。
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Posted by ブクログ
荀子の考え方を整理してみると、自分を作り変えるには、3つの方法があると言う。
一、学問(これは知識と言ってよい)
二、見聞(これは体験と言える)
三、正しい人との親交(交際のこと)
上の2つはすんなり入るが、3つめについてだ。人間と言うのは、他人は見えていても、自分は見えないものである。自分を見たければ他人を通して自分を見るほかない。だから交際が大切なのである。ただし、自分を映す鏡である他人が歪んでいたり、汚れていたりすれば、自分の正確な像はつかめない。それゆえ荀子は正しい人に親しみなさいと言ったのである。
次に、『忍激のの二字は、これ禍福の関なり』という。出典は『呻吟語』である。我慢することと、激昂することは、災いと幸運の分かれ目である、ということだ。自分の人格を高めてゆく気であれば、何事も腹に収めていき、むやみに吐き出さないことを心がけるべきだ。我を忘れて怒りたいときもあろうが、そこが幸運と不運の境界だと思い、暴走しかかった自分をぐっと引き止められる胆力を養っておく必要がある。人格は作ってゆくものだということだ。
成吉思汗は、モンゴル軍を率いて、金の首都、燕京を陥落させたとき、金の王臣、耶律楚材を見出した。楚材はモンゴル帝国のために制度を改善し、法を制定したが、常々言っている事があった。『ひとつの利益を得ようとするなら、一つの害悪を取り除いたほうがよい。新しい仕事を一つ増やすなら、古びて役に立たない仕事を一つ減らしたほうがよい』と。
人には3種類の恨みがあると『列子』は言う。孤丘丈人(こきゅうじょうじん)という長老が、楚の宰相、孫叔敖(そんしゅくごう)に教えたことである。
一、爵位の高い人は人々がそねむ。だから、へりくだることが必要だ。
二、官職の立派な人は、君主から憎まれる。だから細心になることが必要だ。
三、高給取りは人々が怨む。だから、他人に広くほどこしをすることが必要だ。