あらすじ
スマホなどを通じて日々のさまざまな事柄(体調やタスクの進捗など)を測定し、新たな気づきと解決策を生み出そうとする「セルフトラッキング」のムーブメント。一見すると個人主義的ないし利己的な行為だが、他者にも、そして社会にも裨益する関係主義的で利他的なものにはなりうるのだろうか。最新のテクノロジーを私たちが「巧く生きる」だけではなく、「善く生きる」ための方法の一つとして捉え直す。橘玲氏推薦!
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Posted by ブクログ
人間を取り巻く情報。それらはどのように本人が利用できるのか。どんなリスクがあるのか。
そこにはどんな配慮が必要とされるか。
本書は豊富な引用と事例をもとにそれらの問題を浮き彫りにする。
「高く飛ぶな。しかし、低くも飛ぶな」はイカロスに与えた、父ダイダロスの言葉、という。この言葉の通り、恐れず、しかし軽視せず、対応していく、ということなのだろう。
Posted by ブクログ
アクラシア=自制心がないこと、意思が弱いこと。2種類に分けられる=葛藤しない人(性急な人)、欲望に負ける弱い人。これが習慣になっている人。
習慣とは長い時間をかけた練習であり、人が自然ととる態度(自然本性)となるもの。
自己欺瞞(言い訳、開き直り)によって助長する。
スマホは、アシスタントとしての機能を果たす。
良い人間の在り方を論じないで、良い人間になるべき(自省録)。
ヘルスケアアプリの継続率は2日目には30%、7日目には20%、1か月後には10%。
ソクラテスは文字が思考力や記憶力認知能力などを退化させるのではないかと危惧している。スマホによって漢字を憶えなくなるのと同じ。
今の日本では、健康管理が自己責任化されている。病気になるな、だが長生きもするな、と言われているようなもの。=社会に迷惑をかけるなという趣旨。
コンピュータ適応型テスト=解凍時間に関するデータを収集することで不正を検出する。
時間制限のある試験は、適性や知識ではない能力を測るもの。アメリカのいくつかの州は司法試験や医師国家試験などで、時間制限を課さないものもある。
地域ポイント制度(介護ポイントなど)=ボランティアに内在する価値を変質させる。義務論でいえばポイントに交換、はおかしな制度だが、功利主義なら合理的。
girls around me 周りの女性のプロフィールをFACEBOOKのデータで閲覧できるソフト。ストーカーアプリとして批判された。
GPSの活用によって、エスキモーがクレバスを避ける技術を失い危険が増えた。
監視カメラによってみられている可能性があると、自ら正しくふるまうように促す。監視カメラの客体になることで道徳的主体に変容せざるを得ない。スマートウォッチなどのセルフトラッキング技術はその傾向を助長する。
自立とは依存しなくなることではなく、依存先を増やすことが自立。生きていることは他者のおかげである。他者とは技術やインフラを含む外部を指す。
バイアスを除くことは間違いを認めることと同意であり心理的な負担がある。
適切な修正は難しい。認識的パターナリズム=認識上の間違いに対して他者の行動を制限することでま間違いを生じなくさせること。
パターナリズムとは、シートベルトの着用、ドラッグの禁止などで、個人の自由に干渉すること。
ナビよりウエイファインディングで、町中の目印を一緒に伝える。
自制心のなさは、アクラシアとして知られていたが昨今は自己欺瞞もこれを補強している。
高く飛ぶな、しかし低くも飛ぶな。
行動を促すのはアラーム機能が得意とするようなもの。
アラームによって、認知タスクを減らす。