【感想・ネタバレ】(新装版)メルキオールの惨劇のレビュー

あらすじ

訳アリの遺品と「不幸」をコレクションするオギーの依頼を受けた俺は、我が子の首を切断した母親の元に赴く。彼女は懲役を終えて、朔太郎と礫(さざれ)という二人の息子と暮らしていたが、そこで俺は、その家族の恐るべき秘密を知ってしまう。未だに発見されていない子供の頭蓋骨はどこに? 「メルキオール」とは、一体――世界の深奥を見つめ、人間の虚飾をも剥ぎ取る問題作にして傑作、装いも新たに登場。(解説・杉江松恋)

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Posted by ブクログ

この小説は徹頭徹尾世界の澱を見つめていて、その眼差しに映し出される景色は暴力と嫌悪に満ちている。善の光は肉眼で捉えることができない。そんな荒廃した世界を書いていながら、不思議なことに全体を眺めてみるとその印象は“静謐”だ。クソみたいな世界が脱皮をするように生まれ変わる。その結果も大抵壊れてしまったものでありながら、読み終えて感じるのは途方もない救いと美しさなのだ。
産み落とされたのが神の子には程遠い怪物だとしても、それが惨劇としか言いようのないものだとしても、私たちはこの小説に救われてしまう。救われざるを得ない。

ところで、こういう作品を読むたびに自分の学がないことを悔やんでいます。キリスト教のモチーフがそこらじゅうに出てくることとか、示唆的な内容であることはわかるし、そこまでしか分からなくても、この小説がとんでもなく面白いということも勿論わかる。でも多分、知っていたらもっと楽しいんだろうな、という悔しさがある。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

難しい面が多くて中々理解に苦しむ部分もあるけど、それでこそ平山夢明節を感じる美しい文章でとても素敵でした。
ただヤケになっただけの浅い文じゃなくて、汚いのに品位があって一々例え方が粋で…。
おもしろくて一気に読みました。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

ワケありの遺品と、それにまつわる物語を収集する「12」が、美人と2人息子の家族のもとを訪れる。
前半からワケのわからないスピード感で話が進んでいくが、息子たちの別の姿と「メルキオール」の謎が明らかになってきたところで物語が加速する。
冒頭5ページくらいのメチャクチャぶりに流石に「はぁ?」と思うが、読み進めるほどに計算しつくされた物語だなと思う。
白痴の描写がすごい。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

申し訳ない。正直、自分はこのノリについていけなかった。
クレイジーな世界観は惹かれるものがあったけど、長編だともう少し分かりやすくないとちょっとしんどい。
長編の『ダイナー』は傑作だったけど、こちらは例外的な作品で、平山さんは短編でこそ映える作家なんじゃないかな。

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2023年08月13日

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