あらすじ
音大付属中学に通う嶋幸紀・15歳。ピアノ一筋の人生が暗転し、冬の夜に自転車で家出する。道に迷いヤンキーに追いかけられた先で遭遇したのは、夜空にギラギラと輝く25歳のホスト、弥勒。酔っぱらった弥勒に縋り部屋に転がり込むとそこは……。それぞれに問題を抱え行き場のない二人が織りなす胸キュン書き下ろし小説。
※本書には目次がありません。
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Posted by ブクログ
めっっっっっちゃくちゃ良かった とてつもないエネルギーで走り抜けた先の爽快なラストがたまらない
弥勒の過去を、地獄のような十年間を、苦しかったね辛かったねと包み込むのではなく、おまえの人生は無駄なんかじゃなかった、この爆発を見ろ、おまえが助けたこの星の輝きを見ろと、しまのエネルギーを浴びせかけることで自殺を思い止まらせる というのが素晴らしかった
しまは弥勒の過去を彼の口から直接きいてもいないし、全てを理解してもいないけれど、同じ孤独を共有して、互いに光を見出したからこそ、彼の音楽で、「生きろ」とあまりにも真っ直ぐ、激しく、眩しく伝えることができた
作品の中の人物たちが、ああ、自分はこのために生まれてきたのだ、と感動を味わう瞬間がとても好きなので、そう言う意味でも良かった
夜中にディズニー行こうぜ!!明日!?てか今日!?ってなるところがあまりにも楽しくて愛しくて、絶対に別れが来る展開だとわかっているのに永遠にこのままでいてくれと思って読むのが楽しいのに苦しくて、こんな生き生きとしたシーンを描けることが凄いと思った
あと弥勒、お前はめちゃくちゃ立派に大人してたよ…… 自分の味わった苦しみをこのこどもには経験させたくない、と思えるの本当に偉い しまの親とも連絡とってちゃんと虐待じゃないって確認取るところもそうだし、こどもを守ろうとするかっこいい大人だったよ
でも弥勒のことは誰が助けてくれるんですか!?守ってくれるんですか!?って思ったけどしま〜〜〜!!しまがいる〜〜〜!!
続編を、ください、せめてディズニーに行くところだけは見せてください……
Posted by ブクログ
脳汁えぐい
本当に凄かったこんな良い作品もっと早く読むべきだった読み終わったのが寂しすぎるもうちょっと2人の関係を覗いていたいそしてもっと多くの人がこの作品を知るべき
めちゃ好き本当に大好き最高この本に会えて良かったこの先これを超えるブロマンスって出現する?
せめてディズニー行く書き下ろしは見たい
Posted by ブクログ
ひとりぼっち同士がふたりぼっちになって、ほんの一瞬の交わりのなかでお互いの心の柔い部分を救い合う愛の話だった。
心身ともに嶋くんのほうが助けられて守られていると思いきや、弥勒も精神的に救われている面があって、ある意味バランスが良いふたり。
一歩間違えれば共依存になり得る危うい関係なのに、まるで年の離れた兄弟がじゃれ合うような健全で微笑ましいやり取りが好き。
序盤と終盤、絶対に弥勒のもとへ落ちていく嶋くんの弥勒センサーすごいなと思った。ついでにクマのヘアゴムの根性もすごい。念が宿りすぎている。
まあ、嶋くんと弥勒を繋ぐ縁の糸のようなものだし、ふたりの再会に必要不可欠なものだから、異常なくらい強くないとダメだものね。
なんにせよ、とにかく、ふたりでディズニーへ行こう。
Posted by ブクログ
・11月25日に読み始め、28日に読み終えました。
・おもしろかった! ボーイ・ミーツ・ボーイではないか……!?と思って表紙買いしたけど、とても良いボーイ・ミーツ・ボーイだった……
・めちゃめちゃハッピーエンドじゃん! こんなに嬉しい気持ちで終えられると思ってなかった。25歳の弥勒と15歳のしまだったらボーイズラブじゃないけど、35歳の弥勒と25歳のしまはボーイズラブになっちゃうじゃん(?)だから(??)再会できると思ってなかったなあ。
・あと文体がラノベっぽくて、ラノベには10年以上触れてなかったから新鮮だった。作者さんがもともとラノベの人なのね。
・帯に抜粋されている「十五歳だった。世の中のことなんか、なんにも知らなかった。」がしまにも15歳だったころの弥勒にもかかってて良い。
・1日ならまだしも、2日3日経っても探しに来る気配がない父母は本当に大丈夫なのかと思ってたけど、もう序盤も序盤で弥勒と通じてたんだね。弥勒と話してしまが弥勒のうちにいることを了承した父母、めちゃめちゃいい人だな。いい人だなというか…… 本当にしまのこと愛してるんだなって感じた。超良い家庭。
・弥勒、しまに安心できる場所として自分の家/自分という人間を提供して、衣食住を与えて保護して、これまでなんで生きていたのかわからない自分の10年を(そしてそれからも続く人生を)しまに生き直してもらうような気持ちだったのかな。
・あとインターネットミームの解像度すごい。めちゃめちゃ最近のネタがサラッと描写されててびっくりしたけど、この本今年の6月刊行なんだった……
・このあたりからのしま、めちゃめちゃいいよねえ…… 若さゆえの行動力、果敢さ、後先考えてなさが弾けてて良い。はじめに家出したときと違って、怯えだったり恐怖があんまりなくて、ただひたすらに弥勒を求めて前進しているのが綺麗だ。
・しまのピアノを聞いて、次の10年後の爆発も見るために希望を持って走り出してしまの場所にたどりついた弥勒、とってもとっても、ハッピーですね…… 弥勒が投身自殺に失敗したとき、見続けていた14階からの風景の終わりがしまの元だったというのが最初にしまが弥勒のもとに落ちてきたときとの対比になってるのはもうめちゃめちゃ良いんですが、しまの2回目の家出のときの、しまが乗ったあとのタクシーに弥勒が乗っていたというのもふたりの立場?動き?が逆転した描写にもなっているようですごいなーと思った。
・あとこれ打ってて気づいたけど、しまが15歳のときに弥勒の上に落ちたときと同じように10年後も弥勒の上に落ちてきたんだね! ウワア~。 ディズニー行ってくれ。
・25歳からの弥勒の10年はどんなんだったのかな。お姉さんと楽しくやっていたらいいな…… 幸せになってくれ。
・未来への希望が溢れた話だった。良かった! しまの光属性がめちゃめちゃだったな。その光がまわりを問答無用に照らし出す爆発の光なのもまたいい。ピアノという繊細さを表すような楽器との差がまた良い。あと浜尾くんと友達になれてよかったね、ほんとにね。