【感想・ネタバレ】ラブレス(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。一方、妹の里実は地元に残り、理容師の道を歩み始める……。流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。(解説・小池真理子)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すごい!これは一つの伝記のような物語。冒頭から引き込まれるタイプの話では無いけど、百合江と里実の幼い頃からの話を読んでいるうちにのめり込み始め、時々ある現代の描写に戻ってくると誰が誰の娘だっけ?この男性は?と確認しに戻り、また先を読み続ける。彼女の数奇な運命、親も含めた周りのひどい人たち。

タイトルのラブレス、愛されない、愛のないというのは誰を指しているのか。心当たりが多すぎて…百合江と里実の親、宗太郎から綾子、高樹親子、里実から小夜子そして、ハギ

百合江は許し、里実は許さないタイプ、姉妹のコントラスト、小夜子と理恵、そしてそれぞれの姉妹、絹子と綾子。理恵とババの関係、よかったな。そこからペンネームもきてたのね。百合江も里実も生活力があって逞しく、春一の情けなさ、宗太郎の身勝手さと自由さ、それを受け入れるユッコの懐の深さ

綾子がちゃんと生きてて、幸せに暮らしていたのは救い。百合江はもっと理恵とコミュニケーションをとった方がよかったんじゃないかな。そして、最後に百合江のそばにいる男性は石黒かと思いきや、宗太郎ってことでいいのよね?

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読むうちにだんだんいたたまれない気持ちになっていく。私は本多勝一の「北海道探検紀」に書かれた、昭和初期から戦後における、道東、オホーツク地域の開拓地を思い出していた。高度成長期の日本の都会で暮らしていたものには想像もつかない、ランプと薄板一枚の家の内側で、厳冬期を超す人々の姿が、そこにはあった。突然牛は死に、畑の作物は一夜で収穫不能になる。借金もある。
百合江が暮らしていたのはそういう場所だった。歌うことを夢見て、どん底の家庭から逃げ出すが、残された里実とて、地獄だったろう。しかし里実も、絶望的な現実を打開すべく、自ら立ち向かっていった。二人は離れていても消息を告げ合いながら、それぞれの人生を歩み、いつしか堅実な里実と、流れるように生きていく百合江の人生に別れていった。
一気読みで、とても途中で止めることができなかった、女たちの3世代にわたる壮大なドラマ。
母親のハギ、百合江、里実その子供たち。理恵と小夜子。誰が一番不幸かと言い合っても仕方ないが、百合江は、人生の最後に里実を圧倒する・・・。
「ラブレス」という言葉には、「一途」の意味もあるらしい。と、エッセイ「おばんでございます」に書いてあった。正確に覚えていない。誰が言ったのだったか。誰か教えてください。

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2021年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よかった。最後の再会はやさしい男性と縁があったのかないのか何と言っていいのか難しいシーンだけど、会えてよかったのだと思う。割り切れない想いとか忘れらない人との思い出や後悔が残ることもまた人生なんだと思う。悲しいけれど。

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2025年04月01日

Posted by ブクログ

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謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた。開拓村標茶で極貧の家に育ち、中学と同時に奉公に出されるが、旅芸人に飛び込んだ百合江、地元に残り理容師になった妹の里実との関係を軸に、子供の小夜子と理恵、親の酒呑みの夫と駆け落ちして5人産んだ文盲のハギと女三世代の壮絶な人生を描いた話だった。道産子としては開拓者の苦労を忘れてはならないし、こういうこともあったのではと思わされた内容だった。「どこへ向かうも風のなすまま。からりと明るく次の場所へ向かい、あっさりと昨日を捨てる。捨てた昨日を惜しんだりしない。」

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2024年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

開拓時代を過ごした女性の一生が波瀾万丈で足早に描かれていたけれど、それがその時代を生きてきた体感なのかもしれない。
個人的に最後までユリエさんの人物像が掴めずに終わってしまったけれど、信じられないような体験を重ねる度に生き直してきたのかもしれない。
実母の孫への手紙が辛かった。

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2021年08月08日

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