【感想・ネタバレ】ウクライナ日記 国民的作家が綴った祖国激動の155日のレビュー

あらすじ

ウクライナの国民的作家による「マイダン革命」勃発後半年間の記録と考察。2022年のロシアによるウクライナ侵攻の根源を伝える。世界的なベストセラー小説『ペンギンの憂鬱』の著者であるウクライナの作家アンドレイ・クルコフが、2013年に起きた市民デモ「マイダン(独立広場)革命」の激動の日々――自由を求める市民側と警察や特殊部隊の武力衝突、大統領の国外逃亡、クリミア半島のロシア編入、続く内乱――を一市民の視点から書き留めたドキュメント。池上彰氏のウクライナ解説付。浅田次郎氏推薦。

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Posted by ブクログ

著者のクルコフはマイダン革命が起きた広場のすぐ近くに住んでおり、この革命の流れを最も近くで見ていたひとりです。そんな作家による混乱の日々の記録が本作品になります。

日記体で書かれているので当時の状況がかなりリアルに感じられます。

この本に書かれているのは現在のロシア・ウクライナ戦争に直接繋がる出来事です。この戦争をより知るためにもこの作品はぜひおすすめしたいです。

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2024年08月19日

Posted by ブクログ

2022年2月にロシアがウクライナへ攻め込んだ時、日本のメディアのインタビューに答えるウクライナの人たちは、口をそろえて2014年からロシアがこうすることは分かっていたと答えていた。
この本を読むと、そう思う根拠は十分あったんだとわかる。

パラパラと読んだけど、この本はウクライナの現代史をある程度把握してからでないと難しそう。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[興奮と不穏と]「ユーロマイダン」こと独立広場における民衆の抗議に始まり、大統領の国外逃亡、そして東部での紛争等へと目まぐるしく事態が展開したウクライナ情勢。そんな非日常が日常に急に割り込んできたある一人のウクライナ人作家の日記から、事態の推移を伺うことのできる作品です。著者は、日本においては『ペンギンの憂鬱』等が訳出されているアンドレイ・クルコフ。訳者は、フリーランスのロシア語通訳として活躍されている吉岡ゆき。


著者が現場からつぶさに情勢を観察していた人物であり、出来事の政治的ニュアンスにまで精通している人物であるためか、描写を通して伝わってくるウクライナ及びキエフ情勢がとにかく臨場感あふれるものになっています。「遠い国の話」とされがちなウクライナの昨今の動きを、その空気をも含めて知るために非常に有益な作品ではないかと。

〜ウクライナはおもしろすぎる国だ。夜のキエフを歩くのは、通常は、夜のロンドンやパリを歩くよりも安全だ。と同時に、明日何が起きるのか、皆目見当がつかない。ただいま現在にしても、明日何が起きるのかはおろか、今日という日がどういう終わり方をするのかさえ、私には分からない。〜

これはメッケものでした☆5つ

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2017年10月04日

Posted by ブクログ

ウクライナに住む作家が書いた、2013年11月21日から2014年4月24日までの日記。

ウクライナの首都はキエフ。(バレエで有名ですね)
チェルノブイリとか、クリミア半島とか、そのくらいしか知りません。
ヤルタ会談の行われたヤルタも、クリミア半島にある地名です。

元々ウクライナはキエフを中心として繁栄した国でしたが、13世紀にモンゴル帝国に侵略され、17世紀に入って東部は帝政ロシアに吸収され、西部はポーランドに支配されるようになりました。

ロシア革命を機に、ウクライナでも独立運動が高まりましたが、ソビエト連邦に組み込まれてしまいます。
その際に多くのロシア人が東部ウクライナに移ってきて、ウクライナ人たちは飢饉の激しい地域に追いやられてしまいます。

ソ連の崩壊に伴ってウクライナはついに独立しますが、現ロシアはウクライナ、特にクリミア半島を手放す気はありません。
なぜなら、冬になっても凍らない港がロシアには必要だからです。
そのうえ、ウクライナの東部は多くのロシア人が住んでいますから、親露的なわけです。

西部は親欧的なところです。EUに加盟したいわけです。
ロシアの独善的な、独裁的な、強圧的な態度に反発しています。

しかし、実はウクライナの東部こそが地下資源の宝庫であり、豊かな農業地帯なので、東部も西部もそれを手放すことは出来ません。
東部ではウクライナが分裂してもいいから強国ロシアの庇護のもとに安心して暮らしたい。
西部では分裂などとんでもない。ウクライナはひとつの国としてEUに加盟し、文化的な生活をしたい。
チェルノブイリの原発事故により、原子炉の封じ込めに費やす支出が国家予算を大きく圧迫していることも、ウクライナの経済が低迷している一因でもあります。

そんな時、大統領がロシア派に寝返ったことにより、反政府運動が大きく持ち上がります。

クルコフは反ロシアです。
民族的にはロシア人でるクルコフは、けれど自分はウクライナ国民であるとはっきり断言しています。
そんな彼が見た、激動のウクライナを書いた日記です。
固有名詞などほとんどわかりません。何度もネットでわからないことを調べながら読みましたので、大変時間がかかりました。
上記は、自分なりにざっくりと、本当にざっくりとウクライナについてまとめてみたものです。

日記なので、ストーリーなんてものはありません。
暴力や略奪や死が日に日に身近になってきて、政治家も革命家も信用できず、キエフの市民たちはただ、広場に集まってEUとの連合協定調印を政府に要求しているだけなのです。

以下は、日記からの抜粋

“新しいルールは分かりやすく、実行しやすいものであってほしい、これが肝心。皆が欲しているのは、まさにこれなのだから。そして、ルールの一つ一つが一行に、シンプルな一つの文章に収まること。そう、十戒のように―汝殺すなかれ、汝盗むなかれ等々。そうすれば誰かが手をたたいて「わぉ、簡単!文明的に暮らすって、すごく楽なんだ!」と言う。でも念のために尋ねる「地区担当警官もこのルールを守って暮らすのかな?」”

“ネットでは、「抗議集会参加者キット」の販売が見受けられるようになった。そうしたお知らせの一つ―「寒い季節に自己の利益と信条を長時間にわたって守り抜こうと決めたあなたに必要なものすべて揃えました。1・5リットル魔法瓶、クーラーバッグ、傘、フロアマット、レインコート、寝袋、携帯充電器、懐中瓶、キャンプ用のガスコンロ、3日分の食料、サーモケミカル・カイロ(四個)、警察と揉めた場合の法令集『抗議行動参加者ガイド』”

“言葉が足りなくなると、私の手は自然に本に伸びる。最近は「言葉が足りない」という感覚がますます頻繁に私を襲う。日々がより豊かになっているのか、それとも日々を描写する力のある言葉が日々から洗い流されてしまうのか。おそらく後者だろう。人が使う言葉の数はどんどん減っていて、感嘆詞と身振りばかりが多用される。”

“今日の状況がウクライナの遠い過去と近い過去とどう結びついているのかを主観的に説明して見せるための、国民の群像、国の肖像を描いていきたい。この本は、読者の皆さんにとってウクライナがより分かりやすい国になるように書かれているのです。”

“だが誰もが、平和が必要だとよく理解している。和平ではなくて(和平は必ず新しい軍事行動へとつながる)、平和が必要なのだ。”

“汚職のせいで誰にも特段好かれていない警察だが、警官がいないというのは、わが国には法もないということか、との感覚に襲われる。”

クリミア半島がロシアの支配下に置かれてちょうど2年経ちます。
情勢はどう変わるか、予断を許さない日々はまだまだ続いていますが、日本語版序文(あるいはあとがき)にクルコフが最後に書いた一文を。

“できれば、夏の終わりに家族全員で黒海沿岸に行きたいと思っている。オデッサに。続いているのは戦争だけではない。命も、日々も続いているのだ。”

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2016年03月14日

Posted by ブクログ

2014に起きたマイダン革命からの日常を描いたものになっています。
今のウクライナ戦争のきっかけにもなった出来事です。
正直、よんで一部しっくりこないことが多い(おそらくウクライナの文化的や政治背景を知らないかもしれませんが…)
市民の視点でえがいているので、心情などの描写など独特なものでした。
らに正直、一番驚いたのはロシアがクリミア併合認めるためには内戦を引き起こすしかないと述べているところです。
これはまさしくその後のドンバス戦争、そして2022年のウクライナ戦争につながるんだなと実感しました。
まだまだウクライナなことは勉強不足ですが、引き続き他のウクライナの本を読んでみようと思います。
最近、マスコミはウクライナ問題を忘れつつあるので、こうゆうときこそ学ぶべきです。

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2023年09月20日

Posted by ブクログ

2022年2月に読み始めたのは、同年2月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵攻が理由だが、紛争ははるか8年前から続いているわけである。本書はアンドレイ・クルコフによる日記形式のノンフィクション。2014年のクリミア併合の前後におけるウクライナの情勢を、小説家の目線で伝える。

ひとつの国の歴史を理解するためには、新書あるいは歴史書を読むことが近道であるが、私は別の方法を選ぶ。その国を代表する小説や、著名な小説家によるルポルタージュを読む方法だ。

特に小説を読むことを選んだ場合には、新書などとくらべて数倍の時間を要するため、時間当たり生産性の面では劣る。それでも生産性で劣る方法を選ぶ理由は、時代背景や隣国との関係性などを複眼的、重層的に伝えてくれる場合が多いからだ。また登場人物たちが心に宿す人間感情などの描写を通じて、通り一遍の知識ではない、一段深い理解に至る気がするからだ。

なぜ憎むのか、なぜ分かり合えないのか?そういうことを歴史書は書かない。小説家はそこから目をそらさない。本書も同様である。

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2022年05月08日

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