あらすじ
この鳥たちが話してくれたら、それはきっと人間に負けないくらいの冒険譚になるに違いない──。一万キロを無着陸で飛び続けることもある、壮大なスケールの「渡り」。案内人に導かれ、命がけで旅立つ鳥たちの足跡を訪ねて、知床、諏訪湖、カムチャツカへ。ひとつの生命体の、その意志の向こうにあるものとは何か。創作の根源にあるテーマを浮き彫りにする、奇跡を見つめた旅の記録。
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Posted by ブクログ
渡りをする鳥たちの跡をおって、「案内人」の導きで北海道を歩く。
バードウォッチングの話かと思いきや、
それだけにとどまらない。
茸の話、戦争の話、それぞれの「案内人」に導かれ、その跡をおう。
広くて深い。
章のあとで、本文中に出てきた鳥について解説が書かれている。
それが、またいい。
「動物図鑑」にあるような学術的な無味乾燥な内容ではなくて、
観察をしている梨木香歩さんの個人的な思い入れも反映されています。
鳥にあまり関心がない人にとっては、とても分かりやすいし、
ほほえましい内容が、うれしい。
大好きな梨木香歩さんの作品です。
Posted by ブクログ
再読。梨木さんが渡り鳥を追いかけて綴ったエッセイ。カヌーに続き、梨木さんのパワフルな行動に驚かされた。たくさんの鳥の細やかな描写もすごいが、鳥を見つめる目がそのまま自分の内面に向かっていく道筋にも引き込まれる。私のぼんやりとした感想を解説の分析が隅々まで言語化してくれているので、これ以上書くことがない。
Posted by ブクログ
「西の魔女が死んだ」の短編「渡りの一日」では、ほんの片鱗も見えなかった「渡り」への想いが、諏訪湖、新潟、知床、ウラジオストク、カムチャツカと「渡り」を取材するほど熱心だったとは。「からくりからくさ」で見えた、織物・デザイン・工芸への造詣にも負けないほど、知識・情熱も並々ならぬものを感じます。私の出身地も水鳥の越冬地で、通学で渡りの鳥たちを朝夕見て過ごしたのに、何とも知識の乏しい事か。改めて「渡り」について少し勉強してみようかという気になりました。
Posted by ブクログ
渡り鳥や自然にまつわるエッセイ。
自然に分け入っていく楽しみが伝わってくる。
章の最後の丁寧な鳥の解説も、わくわくしながら読み入りました。
Posted by ブクログ
渡り鳥の実態や飛ぶルートをより詳しく紹介して考察する本かと思ったら、そこは学術本ではないが故にタッチしないことにされているのか、はたまた明らかになっていないのか「〜なのだろうか」という投げかけに終始している。本当の鳥のドラマを知りたかったんだけどなあ(だからこそ『コースを違える』のA33の話は淡々としていながらも心に残った)。
ご自身の著書含め他の本を引用して色々考察されていて、人の「渡り」という切り口は面白かったが、話があっちこっち飛んで、個人的にはあまり読みやすいタイプのエッセイではなかった。
背表紙の「この鳥が話してくれたら、それはきっと人間に負けないぐらいの冒険譚になるに違いない」、この文は本の紹介としてはすごくワクワクした。