あらすじ
「一人旅は思いがけず楽しかった。/アローンだがロンリーではなかった。一人でどこにでも行けた」この小説家に必要なもの、それは――野球場、映画館、マッサージ、うどん、ラーメン、ビール、編集者、CPカンパニーの服……そして旅。沖縄へ、四国へ、台湾へ。地方球場を訪ね、ファームの試合や消化試合を巡るトホホでワンダフルな一人旅。珠玉の紀行エッセイ。
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Posted by ブクログ
奥田英朗さんの、プロ野球に対する距離感が、凄く良いです。間違いなく選手を尊敬しているが、ヤジも飛ばす。長嶋さんを「日本のベーブ・ルースです」と一言で言い表す。荒木と井端が、まだぺーぺーの新人だった?時代で、落合さんが横浜の臨時コーチをしていた。2001年なんですね。
ほぼノー計画で、地方の野球場を巡って、ノンビリ観戦する。で、野球はまあそれなりで、現地のラーメンを食べまくる。映画館に行く。好みに合わなかった映画への文句を、容赦なく書く。ちょっとエエ食事もしちゃったり。ホテルでぐっすり寝て、マッサージも受けて。ゆるい。ちょーユルいぜ奥田さん。という野球かこつけユル旅エッセイ。でも、奥田さんの、野球という文化に対する愛着は、ちゃんと伝わるのが、ええんだなあ。
2021年度版の、同じような野球ユル旅エッセイ、書いてくれませんかね。奥田さんのモノの見方が、どう変わったのか、どう変わってないのか。そこらへんが、気になるんだなあ。
奥田さん、基本的には、めっちゃ毒舌なんですよ。うお。そこまで文句言うか、って場面も、ある。でも、自分のスタンスを、明らかにしますよ俺は!という自己責任の強さも、しっかりあるんで、イヤミじゃない。凄いですよね、尊敬します。今風の言葉で言うと、忖度は、しない!という事でしょうか。波風立てない派では、間違いなく、ない。その勇気は、そんけいします。で、ボヤキの内容が、まあまあしょーもないことだったりするのも、また面白いんだよなあ~。
いやしかし、間違いなく、個人的には名エッセイでした。旅、というものに対する奥田さんの感覚、間違いなく、好きです。あと、やっぱ、がっつりと野球の話をしてみたい。凄くしてみたい。奥田さんにとって、野球のホンマの魅力はどこですか?というのを、ガッツリ語り合いたいなあ、って思いましたね、ええ。