【感想・ネタバレ】オペラ座の怪人(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

19世紀末、夜ごと流麗な舞台が繰り広げられるパリの花、オペラ座。その地下深くには奇怪な事件を巻き起こす怪人が棲み着いていると噂されていた。怪人は若く可憐なクリスティーヌに夜毎歌の手ほどきを授けていたが、歌姫に想いを寄せる幼馴染の子爵との仲に嫉妬しクリスティーヌを誘拐。結婚を迫り、拒否すればオペラ座を爆破すると脅すのだった……。ホラー小説の先駆けと名高い世紀の名作。(解説・岡田暁生)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

怪人。ただ恐ろしい存在ではない。むしろ人間らしくて怖い。

しかし、読み終えて残るのは恐怖以上に孤独感だった。

有名な舞台版では、怪人とクリスティーヌの関係が原作よりもロマンチック描かれているんだと知った。

原作小説の怪人エリックはより不気味で、残酷で、簡単には同情できない人物だ。それでも彼の孤独を知るほど、ただの怪物として切り捨てることもできなくなる。

エリックは、才能を持ちながら、その容姿のために人の世界から遠ざけられてきた。だからクリスティーヌへの愛も、誰かを大切にするという形ではなく、支配し、閉じ込め、自分だけのものにしようとする形になってしまう。その愛は間違っている。けれど、愛されたことのない人間が愛し方を知らないということはどうしようもない哀しい宿命なのかもしれない。

華やかなオペラ座の地下に、誰にも見せられない闇が広がっている。その構造そのものが人間の心に似ていると思った。表では明るく振る舞いながら、その下には嫉妬や執着、孤独が沈んでいる。

誰かを自由にできたとき人は初めて人間になれる。

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2026年08月16日

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