あらすじ
訳あって入社二年で会社を辞め、自身をなくしていた長原佑。ある日訪れた書店で、謎めいた女性店主から“仕事を探しているのなら、今夜この店にもう一度来て”と告げられる。再訪した佑が案内されたのは、書店地下を改装した秘密のバー。そこで店主のトワコさんから言い渡された、思いがけない〈仕事〉とは――。夜ごと悩みを抱えた人が訪れる、小さな書店とバーの日々。大人気「珈琲店のタレーランの事件簿」シリーズの著者が贈るミステリー。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
*
「よく聞いて。佑さんの仕事はねーーー」
*
仕事が出来ずに追い詰められて会社を辞めた長原佑。ある日書店で出会った年上女性店主から仕事を探しているなら今夜また書店に来るよう言われ、行くと書店の地下には秘密のバーが…そこで言い渡された<仕事>とは。
.
タイトルと設定からワクワク。主人公の佑がトワコさんに振り回される様子はヒヤヒヤしつつ、次第に周囲を動かしていき、佑の仕事が、プライベートが全く見えなかったトワコさんの人生の決断にも関わってくるというのも面白い。
.
仕事へのメッセージも込められたこの作品。仕事を頑張ろうと思えたし、ちょっと変わったお酒も飲みたくなった。
.
Posted by ブクログ
タレーランの事件簿の作者ですね。
コーヒーの蘊蓄のすごさに 驚き。
今回は どんな 隠し玉を出してくれるか
楽しみでした。
面白かったんですが。
なんか 物足りなさを 心に感じました。
続編を 楽しみに待ちます。
今回のキーポイントは 仕事ですかね。
Posted by ブクログ
大学時代の先輩が本屋でバイトしてたこともあって、本屋さん家業についてはなんとなく見知ったこと。あとタレーランのモデルとなったって言われているカフェにいったとき、多くの人が本を読みながら過ごしてた(自分もだけど)ので、氏といえば本というイメージもある。そういう意味で手に取った本。
日常の謎としては普通だったけども、軽く読めるという意味ではよかった。ペットの話はさすがにどうかと思うけど(笑)
Posted by ブクログ
会社勤めに疲れた主人公がとある書店とその書店の夜の顔である「バー」を営む女性店長と出会いバイトをすることになる。その仕事を通じて「働くこと」や「恋」や「結婚生活」のよしなしごとを経験していく、まぁ成長譚といっていいのかな…な連作短編集。
バーと書店と探偵ものを一挙にやるので、撮っ散らかっている感が否めず、ちょっと残念。
しかし、世の悩みは不倫と離婚とブラック職場…そればっかり。たぶん作者の意図じゃないだろうが、なんだか世知辛いなぁ。
Posted by ブクログ
何をやっても裏目に出て、ただ生きているだけで負債が溜まっていく。追い詰められた佑は入社2年で会社を辞めた。
偶々行った地元の九十九書店で、彼の悩みを見抜いた店長のトワコさんに誘われて、書店でアルバイトをすることになり。
九十九書店の地下にはバー・タスクがあり、そちらの店長でもあるトワコさんから、佑は奇妙な仕事を受けることになる。
佑が淡い気持ちを抱く、幼なじみの晴美との関係。
ペットが突然居なくなったと涙する美女のペットとは。
近所の証券会社の不倫の二人を別れさせる仕事、上手くいくの?
トワコさんの過去がやってきた。九十九書店はどうなるのか。
挫折でどん底な佑がトワコさんからの仕事を受けて、だんだんと視界が広がっていく。
どのお仕事もちょっと切なくて、でもこれからが明るい余韻。
天はみずから助くる者を助く。
Posted by ブクログ
仕事が嫌になった主人公が辞めてとある本屋にアルバイトすることに。そこは昼は本屋、夜はバーを営むお店。
仕事は本屋のみで、バーはタダで飲める代わりに変わったオシゴトを任されます。
店主のトワコさんが人使い荒いのですが、お仕事を頼むおかげで、色々なひとの問題が解決へと進んでいきます。
トワコさん自身の問題は主人公が仕事を命じます。
何にもできないと思っていた主人公が、トワコさんと出会い、またやり直してみようと思えるようになるまでのお話です。
Posted by ブクログ
タスクがタスクでタスクを頼まれるお話。
学校では成績優秀だった長原佑(ながはら たすく)は、勉強と違って正解が存在しない"仕事"というモノに付いて行けず、入社二年で会社を辞める。
実家に戻って、ふと出かけた書店で、店主に声を掛けられて…
1ST TASK『告白』 2ND TASK『飼育』
3RD TASK『破局』 4TH TASK『再生』
…と、だんだんと盛り上がりを見せる展開はいい感じ。
ただ、書店とバーの二足のわらじは、やっぱりどちらも物足りないものに思える。
たとえば、一人前に書店を回せるようになった、というくだりがあるけれど、書店員として成長するエピソードは書かれていないわけで…
締めくくりが、今流行りの"働き方改革"でまとめられてしまったように感じられるのも、ちょっと残念な部分でしょうか。
そういうつもりで書いたのではないのかもしれないけれど、タイミング良すぎた。
そして…また不倫話か…
登場する3人のお母さん達の、子供に対する気遣いと距離感は立派だと思いました。
双子探偵のお話がまた読みたいなあ…
Posted by ブクログ
さくさく読めました。
そんなに深い物語でもなく
登場人物とその人生背景も
わかりやすかったからでしょうか。
書店とバー。それぞれに私が愛する空間です。
人の生き方を変えるなにかが、そこにはあります。
十八子さんとの出会いが佑を変えますが
それは十八子さんに変えられたからではありません。
人には人を変える力などありません。
人が変わるのは、変わらなくてはならない時に
必然として出会う人を触媒として、自ら変わるのだと。
これは私自身の強い経験則です。
そうして書店やバーには、言うまでもなく出会いがある。
その強い契機をはらむ場としての強さを
もっと描きこんでほしかったです。
十八子さんの両親が長年経営してきた九十九書店だから
人と人、本と人を出会わせる特別な時間と空間が
あるはずなのです。そのひとつひとつを感じたかった。
オーセンティックなバーも、同じ。
その空間と時間に浸れたらもっと物語に共感できたかも。
タレーランやビブリアに、私が惹かれたのは
そんな舞台の重みを作者がわかっていらして
細密に描いてくれたからなのかもしれません。
原田マハさんの描く美術館にも同じものを感じます。