あらすじ
一見シンプルなトランプの数当てゲームが、生死をかけた心理バトルへと変貌する「ラッキーセブン」ほか、時間を何度もワープする男の話――「TLP49」、超ショート・ショート――「一男去って……」、戦場で捕らえられた兵士の生き残り作戦とは――「ユニーク・ゲーム」などロジカルな企みに満ちた七つの物語。トリッキーな作品世界に二度読み三度読み必至の驚愕の短編集。
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Posted by ブクログ
全部が7を題材にした話なんだけど乾くるみはいろいろ知ってるなあ。麻雀も競馬もトランプも出てくる、頭いいんだろうな。スリープとセカンドラブとイニシエーションとタイムスリップのやつのような大作をまた書いてほしいです。
ラッキーセブン、設定に悪魔とか出てきてびっくりだったけど最終的に主人公の寿命と引き換えにゲーム(トランプカード)なかったことになった。
小諸ー新鶴343キロの殺意はオウムみたいなやつの幹部が別荘で殺されるところから始まる。七福神ってもともと七つの大罪と結び付けられる存在だったらしい。車の中での殺し合いはこじつけがすごいしよく思いつくなと思った笑。
TLP49はタイムリープする人の話。んー、こんなタイムリープなら私は嫌だ。
一男去って…は7人兄弟の子どもを親が下から殺していくから何人もが1人2役とか繰り下がってほかの兄弟を演じるっていうね。よくわからんショートショート。
殺人テレパスもテーマもオチもよくわからんかった。
木曜の女は一週間中の浮気の話かと思えば奥さんがひとり七役して性的な趣向を変えるみたいな話。月曜はドM、火曜はスポーツ系、みたいな。最後の軍隊の人らあの話はよくわからんかったけどまあまとめると7つの7にまつわるストーリー楽しかった!
Posted by ブクログ
「7」にまつわる7つの短編からなる短編集。趣向は面白いが、ここでの作品をつなげる大きな謎は存在しない。登場人物などは異なる、全く別の7つの話が集まっている。
玉石混交の7作だが、どの作品もそこまでの意外性はない。表題作の「ラッキーセブン」とトリを飾る「ユニークゲーム」は論理パズル。少し前に流行ったデス・ゲームの作品であり、非現実的な設定で命を掛けたゲームが行われる。
ほかの5作品はショートショートがあったり、ミステリとは言い難い作品がある。「7」にまつわる話という共通点はあるものの、掲載されている作品の趣向はさまざま。デキも傑作といえるほどの作品はない。「ユニークゲーム」の読後感の悪さなど、乾くるみらしさもあるが、ギリギリ及第点程度の短編集という評価。★3で。個々の作品の所感は以下のとおり
○ ラッキーセブン
トランプを利用したデス・ゲームをテーマにした作品。ライアーゲームやカイジなんかに近い雰囲気。非現実的な設定であり、そもそもリアリティなんかないのだが、登場人物が「死」をリアルに感じているような描写が全くなく、緊張感がない。ゲームとしてはややルールが複雑すぎる気がするが、なかなかよくできている。ゲームとしてオチらしいオチはなく、全体的にユーモラスな雰囲気でごまかしている感じ。
○ 小諸ー新鶴343キロの殺意
これは、はっきりと駄作といえる作品。七福神に見立てて殺人するという設定だけは面白いが、宗教の教義にこじつけているだけで全く面白くない。意外性もない。
○ TLP49
ちょっとだけ「リピート」を感じさせる。乾くるみが得意とするSF的な設定を絡めた作品。突発的な危険を感じると、自分の未来を7つに分け、それがランダムでやってくるというやや分かりにくい設定。その設定を利用して競馬で稼ぐというちょっと陳腐な展開。オチは、別の競馬場の結果を見ていたが、馬券を買っていた競馬場でも同じ結果だったというもの。うーん。これもイマイチ。
○ 一男去って……
ショートショート。ミステリではなく、ちょっとした小話。全く駄作というわけではないが、乾くるみに求められているものは、こういう作品ではないような気がする…。
○ 殺人テレパス七対子
双子のテレパス実験の場を利用したアリバイトリックの作品。ややユーモラスに描かれている。トリックも陳腐だし、意外性もない。
○ 木曜の女
乾くるみらしいエロチックな作品。ミステリではない。面白くないわけではないが、阿刀田高っぽい作風。
○ ユニークゲーム
この短編集では白眉。戦場で捕虜になった7人のうち、何人が生き残ることができるかというデス・ゲームの作品なのだが、オチが強烈。一人が勝手な行動をし、7人助かるはずだったのが、一人しか助からなかったというオチ。ゲームそのものはなかなかよくできている。