あらすじ
夫も食べてもらえると喜ぶと思うんで――死んだ人間を食べる新たな葬式を描く表題作のほか、村田沙耶香自身がセレクトした、脳そのものを揺さぶる12篇。文学史上、最も危険な短編集!
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Posted by ブクログ
中学生の時まさしく「オタク」と呼ばれて冷笑されていました。しかし、近年社会経済がオタクの価値を見出してこちら側に縋り付いて全員が何かのオタクであることを許容しています。それが私には本当に許せないことで、その経験があったので生命式の主人公には共感できるところがありました。昔の痛い経験が今は当たり前で、ただその今の文化にもちゃんと恩恵があるし共感できるところもある。少数派が急に多数派に連れてこられたら動揺しますが、社会は常に流動的なので、私も受け入れられるようにしていきたいなと思いました。
互いに人の価値観を受け入れはしなくても、理解し合える仲になれれば理想的です。
Posted by ブクログ
著者が自選した、短篇12作。好き嫌いが分かれそうな本だけど、自分は面白かった。登場人物はひたむきに狂っていて、それを笑って読んでいると、著者からの鋭い問いが直撃する感じがたまらなかった。表題作の「生命式」で、山本が言っていたが、常識や本能、倫理はずっと変容し続けていて、それに適応した多数の人間がその時代の「普通」を作り出しているだけだと思ったら、気が楽になった。一気に世界に引き込まれた「生命式」、面白可笑しくて一番好きだった「素晴らしい食卓」、比較的マイルドで共感しやすい内容の「孵化」が印象的だった。
Posted by ブクログ
常識を疑う小説がたくさん入った短編集。私は「孵化」が一番好きだった。誰しも本当の自分ってどれだろうと思ったことはあるはずだが、そのブレを究極まで突き詰めた女の子のお話。結婚するために新たな自分を生み出して、この子はこれから先また違うキャラクターを演じなければいけないのかと後味が悪かった。