あらすじ
聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼……「静かで控えめ」は賢者の戦略。外向型が優位な世界で、内向型がその魅力を最大限に発揮する方法とは? 全米200万部ベストセラー著者、スーザン・ケイン絶賛! 「現代の静かな闘士たちが絶対に読むべき書」。世界的ベストセラー、ついに日本上陸!
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Posted by ブクログ
本書は、内向的な性質を持ちながらも世界で活躍する著者が、自身の経験に基づいて、内向的な人の特徴や苦手とすること、陥りがちな罠、そしてその特性をどう活かすべきかを丁寧に解説した一冊である。
たとえば、内向的な人は脳の特性上、とっさの対応にはあまり向いていない一方で、文章を作成する能力には優れている。そのため、電話よりもメールやチャットなど、テキストを使ったコミュニケーションの方が適している、といった具体的なアドバイスも紹介されている。
「リーダーになるには外交的であるべき」「社会で活躍するためには誰とでも積極的にコミュニケーションすべき」といった固定観念を、多くの人が無意識に抱いているのではないだろうか。しかし著者は、内向的であっても無理に別人になろうとする必要はなく、傾聴する力や、物事を深く慎重に考える力を活かしてリーダーとして活躍することは十分に可能であると説く。ビル・ゲイツをはじめ、実際に内向的な性格を持つリーダーが多く存在することも、本書では紹介されており、内向的な人にとって心強いメッセージとなっている。
私自身も比較的内向的な性格であり、「雑談が苦手」「一人になることで静かにエネルギーを回復する」といった描写には強く共感した。欧米の外向的な文化の中で仕事をしていると、そのエネルギッシュさに圧倒されることも少なくない。一方で、日本人には本来、多くの知見や優れた考えがあっても、内向的な性格ゆえに発言が控えめになり、その価値が十分に伝わらないもどかしさを感じることがある。
本書は、そうした内向的な人々に対して、「無理に自分を変える必要はない。ありのままの特性を活かして活躍すればよい」とエールを送ってくれる良書である。