あらすじ
意識と脳の関係性の謎に立ち向かうお膳立ては整いつつある! これまでの研究における発展と限界,トノーニによって提唱されて意識の理論として有望視されている統合情報理論,そして著者が取り組んでいるクオリア(意識の中身)を特徴づける研究アプローチを解説.意識研究の面白さ,研究者が抱いている興奮を伝える.
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Posted by ブクログ
意識はどこにあるのか
■6章 意識の統合情報理論
○統合情報理論が提案する意識の公理
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1 存在性 意識はそれを持つ者にとって存在する
2 組成性 意識はさまざまなコンポーネントから構成されている
3 情報性 意識には情報がある
4 統合性 意識は統合されている
5 排他性 意識は排他的であり、経験されるそれ以上でもそれ以下でもない
○数学的な手続き
1 (脳などの)あるシステムが持っている意識レベルに相当するのは、そのシステム統合情報量(システムレベルのビッグΦ)と呼ばれる量である
2 ビッグ・ファイが局所的に最大になるサブシステム、それを「コンプレックス」と呼び、そのコンプレックスに意識が宿る(今のところ、コンプレックスとはネットワークの一番重要な中心と考えて良い)
3 コンプレックス内に含まれる(ニューロンやニューロンの集団などの)「メカニズム」が生み出す統合情報量(メカニズムレベルのスモール・ファイ)、そしてそのスモール・ファイφ同士がどういう関係性を持っているかによって、意識の中身・クオリアが決まる
Posted by ブクログ
意識研究の最前線を紹介している。仮説である「統合情報理論」の紹介。
その前に前提となる意識の研究の仕方を紹介して、後半で理論を紹介している。
最先端の研究の紹介ということで基礎的な内容を学ぶものではなかったため難解な部分もあったが刺激的で面白かった。全てを理解することは当然不可能なので、自分の体験と比較して面白いなと感じた部分は「注意向けることで対象の情報量が増加してより理解が可能だ」ということ。
Posted by ブクログ
意識は意識のレベルと意識の中身(クオリア)で語ることができる。
意識と注意。注意は、意識か無意識かに関わらず情報や選択肢の増幅や減衰を行う。意識は、自動的な注意よりも、意志によって制御されるトップダウン型の注意がクオリアに関係する。
統合情報理論。脳のニューロンの間に発生するネットワークの統合情報量が極大になる範囲(コンプレックス)が意識となる。意識のレベルはこの統合情報量で説明できる。意識の中身(クオリア)の構造は、脳の各部位のコンプレックスでの情報構造と一対一対応していると考えられる。
Posted by ブクログ
最先端の意識研究を一般向けに解説した本だが、やはり相当に難しい。
特に、最近、話題となっている統合情報理論について詳しく解説しているが、高度な数学理論を活用していることまでは分かるものの、理解するのはなかなか難しい。
このような抽象的な統合情報理論が意識レベルの計測まで可能にしていることには驚く。
また、統合情報量同士がどういう関係を持っているかによって意識の中身であるクオリアが決まることから、クオリア構造と情報構造との間の関係を明らかにすることが作者の目標のようだ。