あらすじ
「パナソニックはもっと変わらなければいけない」――。こんな要請を受けて、25年ぶりに古巣へ出戻った樋口泰行パナソニック コネクト社長が、組織をどう変革してきたのか、その取り組みを42項目にわたって明らかにしました。
・旗印と戦略を鮮明にする
・変革推進室や改革本部を作っただけではダメ
・画一的な「服装」は、発想を画一的にする
・わかりにくいところにチャンスがある
・戦略的なシフトを強く意識する
・ポートフォリオマネジメントから逃げない
・V字回復にだまされない など
パナソニック コネクトが社内外から「まったく別の会社になった」「変われなかった会社が変われた」と評価されるのはなぜなのか。さらに、約8630億円という巨額のブルーヨンダー買収、松下電器の聖地「岡山工場」閉鎖の決断、ダイバーシティをはじめとする社員満足度向上など、現場で何が起きていたのか。すべてを語ります。
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Posted by ブクログ
『パナソニック覚醒』樋口社長
【購読動機】
樋口社長は、パナソニック出身です。
ダイエー、マイクロソフトなど多くの経営をされた上でパナソニックに戻る異色の経歴の持ち主です。
①なぜ、戻ったのか?何を志したのか?
②戻ったあとの経営戦略と実行とは何か?
これを知りたかったからです。
【本書の内容】
1.出戻り
樋口社長は当初戻る意思は無しでした。
しかし、当時の経営陣からの問いかけと期待の意図を理解して戻ります。
2.ビックピクチャー
樋口さんがパナソニックコネクト社の社長に就任して行ったこと、それがビックピクチャーです。
ビックピクチャーとは、パナソニックコネクト社の旗印です。
つまり、どの領域でビジネスを展開するのか?また、逆に捨てるのか?
です。
3.組織改革
日本企業は外資と比較して成長スピードがかないません。
マイクロソフト出身がゆえ、強烈に認識した樋口社長は、改革を3ステップで進めます。
①カルチャー/マインド
②ビジネスモデル
③事業立地
【本書からの学び】
1.ビックピクチャー/経営戦略のポイント
外資と日本企業を比較して勝てない領域と勝てうる領域。
それが「わかりづらさ」。
アプリのようなわかりやすさは、競合も増え、成長スピードも加速得意な外資領域となりやすいこと。
したがって、日本企業は逆を張ることも可能性の一つ。
2.統合戦略と戦術
①狙い/ハードウェア+ソフトウェア。
パナソニックコネクトがその実現として実行したのが、M&A/ブルーヨンダー社である。
②統合戦略
年商1000億円を買収総額8630億円で実施した。
統合戦略は段階的である。まず20%出資し、段階を追い100%としていること。
③統合戦術
自社が実験台となること。
パナソニックコネクトとブルーヨンダーの製品の併用を率先垂範していること。
これが、クライアントへのショーケースとなる。
【さいごに】
業務時間をどれだけ、クライアントに向けているか?
樋口社長は、その実行として会議の見直しをしています。
目的は?
本当に必要?参加者はこれだけ必要?
議事の終わりは?いつまでに 誰が 何を。
社員数が増えれば当たり前のように固定費/人件費は増えます。
したがって、このオペレーションも私は、要諦と考えます。
Posted by ブクログ
パナソニックがこんな形で変革しているとは、恥ずかしながら存じ上げませんでした。会社を変えることへの思いをどう現場に伝えるか。それが大事だと改めて思いました。
Posted by ブクログ
ありきたりなことだけど、全て自分で実現してきてることだけに具体性があって良い。
パナソニックのような典型的な日本企業が変革していくことで、同じように日本全体も変革され、一人ひとりが幸せだと感じられる社会が出来上がっていけばいいなぁ。微力ながら頑張ろう、と思わせてくれた?かしら
Posted by ブクログ
日本が衰退していることは為替やGDPの数値からも推測でき、寂しさやもどかしさを感じていた。どうやったら、変わるんだろうと漠然と考えていた。
本著には、その具体的な方法が書いてある。全ての会社に当てはまるわけではないが、変わることへの意欲と勇気をもらえる。
会社に危機感を感じている人は是非読んでほしい。
Posted by ブクログ
パナソニックで取り組んだ企業改革の経緯をまとめた本。カルチャー&マインド改革、ビジネスモデル改革、事業立地改革の3つの改革に並行して取り組むことで、実際に高い収益性を実現できている。
カルチャー&マインド改革については、社内外から改革の効果を認める声が多く聞こえており、大いに参考になると思う。よく新入社員に対して組織に新しい風を吹き込んでくれることを期待するといった言葉を目にするが、全くもって無責任な丸投げとしか思えない。やはり経営トップの継続的なコミットが必須であると思う。外部から新しい血を入れることにも取り組んでいるが、大きなハレーションを起こさずに従業員のマインドセットを変えていくのは相当に難しいことではないか。出戻りで社内事情に一定の理解がある、というだけでは片付かない。
ビジネスモデル改革と事業立地改革については、必要性は認めるものの、他の企業に考え方を適用するには本書だけでは情報量が不足しているように思う。レイヤーアップ、ソリューションビジネス、リカーリングモデルが実現できるに越したことはないが、既存事業のビジネス特性や競争優位性、当該事業分野でのレイヤー間(縦)や同一レイヤー内(横)での力関係など、考慮事項が多分にありそう。ただ確かなことは、手遅れになる前に早め早めに手を打つことが重要であるということ。
適切な戦略の下で従業員が働きがいをもって働ける姿は、日本的経営の理想像と思う。持株会社制に移行して1ヶ月経たないうちからより大胆な手を打つようになっており、今後も先行きを見守りながら良いところを学んでいきたい。また、今後起きうるトップ交代の後にも良いカルチャーが続いていくかもポイントだ。
Posted by ブクログ
パナソニックは変わろうとしていて、実際に変わっていて、素晴らしいと感じた。現状に危機感を持っていて、生き残るためにM&Aを行ったり、変化を積極的に行っていた。また、社内資料の作成に時間をかけることが無駄ということを、トップ自らが発信していることがうらやましい。うちの会社の役員達にも読んで欲しい。
Posted by ブクログ
パナソニック入社後にボスコンやダイエー、マイクロソフトを経てパナソニックコネクトに出戻りしてきた樋口さんの書籍。リーダーに必要なのはとくに日本においてはEQであり、この人のために頑張ろうといかに思ってもらえるかが重要。ビジネスでいけばポートフォリオマネジメントによる選択と集中。過去の偉大な遺産であっても現在収益を伴わないのであれば痛みを伴っても整理していく、その際、それに携わってきた人たちとは丁寧に接することが肝要。組織風土を変えていくためにフリーアドレス、社長室や役員室、役員専用会議室、部長以上の良い椅子などの撤廃。ビジネスカジュアル導入など古き良き日本を排除していった。これも、一定以上の反発があったものの丁寧に説明していった。
ハードとしてのパナソニックとソフトのブルーヨンダーとのコラボも具体は書かれていなかったが今後目が離せない。
また物事を変えていくにはリーダーシップとメンバーにおける痛みを伴うことへの理解が必要だが、日本においては丁寧にコミュニケーションしていくこと、風通しの良さを作ること、それにより想像よりは簡単にできるのではないかと実感。