【感想・ネタバレ】フルスロットル トラブル・イン・マインドIのレビュー

あらすじ

ドンデン返しの魔術師、第三短編集。ライム、ダンス、ペラム総出演の豪華上下巻、まずはI巻が降臨です!
看板シリーズの長編はもとより、短編の名手でもあるディーヴァー。「このミス」2位となった第一短編集『クリスマス・プレゼント』、第二短編集『ポーカー・レッスン』は、それぞれ「Twisted」、「More Twisted」なる原題どおりのドンデン返しの連打で読者を快感の渦に巻き込んだ。
8年ぶりの第三短編集はさらにパワーアップ。リンカーン・ライム、キャサリン・ダンス、ジョン・ペラムと、ディーヴァーの看板スターが次々登場し、長編とも趣の違う快速ぶりでまさにフルスロットルの攻防を繰り広げる!
ダンスが緊迫の尋問合戦で爆弾魔に挑む表題作、ライムの科学捜査が逆手に取られる「教科書どおりの犯罪」、帰ってきた流浪のロケハンスカウト、ペラムの「パラダイス」と、ディーヴァー・オールスターに加え、NYのうらぶれた私立探偵、ポーカー勝負のリアリティ番組に再起を懸ける中年俳優など、魅力的かつ一癖あるメンバーが逆転劇に次ぐ逆転劇を猛スピードで駆け抜ける、息もつかせぬ読書体験。
この人騒がせ(トラブル・イン・マインド)な連中は、必ずやあなたの予想を裏切ることだろう――。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

キャサリン・ダンス、リンカーン・ライムというディーヴァーの御馴染みのキャラの短編と独立した短編からなる。

どれもかなり面白かった。ラストで強烈なひねりがある。

金持ちの老婦人を騙そうとする「ゲーム」と売れなくなくなった俳優がポーカー番組に出演する「バンプ」の二つが特に良かった。

0
2022年05月09日

Posted by ブクログ

ジェフリー・ディーヴァー『フルスロットル トラブル・イン・マインドI』文春文庫。

『クリスマス・プレゼント』、『ポーカー・レッスン』に続くディーヴァーの第三短編集。I巻とII巻の分冊刊行でII巻は来月の刊行のようだ。やはり、ディーヴァーは短編も面白い。捻りに捻った終盤の展開と納得のいく結末は、捻りの魔術師・ディーヴァーならでは。

『フルスロットル』。人間嘘発見器、キャサリン・ダンスが活躍する表題作の短編。ラストのこれでもかと畳み掛けるような捻りの連続と謎解きには唸らされた。お見事と言うしかない。自由兄弟会による爆弾テロの計画を察知した警察は二人の容疑者を逮捕する。テロ攻撃まで2時間余りとなり、急遽呼び出されたキャサリン・ダンスは容疑者の一人を尋問する。果たして、爆弾テロはどこで実行されるのか。キネシクスの通用しない容疑者にダンスは……★★★★★

『ゲーム』。終盤に明らかになる意外な事実。これもまたディーヴァーならではの短編だ。物語は1年前から始まる。83歳のサラ・リーバーマンはタウンハウスをある親子に貸すことになるが、次第にその親子がサラの生活に立ち入るようになる。親子はサラの生活を乗っ取り、資産を奪おうとしていたのだ。そして、現在。サラは親子により殺害され、サラの家政婦だったカーメルは私立探偵のエディ・カルーソの元を訪ね、サラの遺体を探して欲しいと依頼する。★★★★

『バンプ』。そういうことかと納得。最後の最後に見事な捻りを見せてくれた。元売れっ子俳優のマイク・オコナーは一発逆転を狙ってテレビ局にドラマの企画を持ち込むが、なかなか採用されない。逆にテレビ局から提案されたのは、生放送で自分の金を賭けてプレイするポーカーゲームだった。いよいよ6人の参加者が持参した25万ドルを賭けたテレビ番組『一攫千金、一発勝負』が始まるが、密かにその金を狙う男たちが……★★★★★

『教科書どおりの犯罪』。リンカーン・ライムとアメリア・サックスが活躍する短編。詳しくは書けないが、まさかライムの敗北するとは。そういう意味では稀少な短編。捻りに捻った結末。悪夢のような現場に呼び出されたアメリア・サックス。狡猾な犯人は殺人現場を大量の生活ゴミで荒らし、現場の証拠を隠蔽したのだ。連続殺人事件の始まりと推理したライムは現場に残された僅かな物証から2番目の殺人を寸前で食い止めるが……★★★★★

『パラダイス』。真犯人が意外な人物でぺラムがどの様にして危機を回避するのかという捻りはあるが、ここまで4作の短編を読んでいれば、もはや驚きは少ない。『バンプ』と類似のパターンというのも驚きが少ない原因か。懐かしい流浪のロケハンスカウト、ジョン・ぺラムが活躍する短編。いきなりぺラムを見舞った危機の場面が描かれる。ロケハン中にブレーキが壊れた車を運転するぺラムは前を走っていたピックアップを巻きぞいに事故を起こす。一難去ってまた一難。ぺラムは殺人事件に巻き込まれる。★★★★

『三十秒』。舞台は北京オリンピック。ディーヴァーがスポーツを描くのは珍しいのでは。しかし、スポーツは刺身のつまに過ぎず、メインは爆弾テロ。余り捻りは無く、無難な結末だった。★★★

さて、次のII巻ではどんな捻りの効いた短編が収録されるのだろう。

本体価格1,200円
★★★★★

0
2022年04月21日

Posted by ブクログ

ディーヴァーの長編は面白いのですが、実は短編の名手でもあると常々思います。著者の前書きが、読む前に期待感をグッと高めてくれますが、その期待通り第1話の標題作キャサリンダンスものも、犯人の騙し方、そしてちょっと読む人をクスッと笑わせる手際までの出来栄えが実に鮮やか!ライムの短編もいつものライムでした。ほかの短編も、一見事件性がないように見せながら、突如として、目の前に事件を広げる手際の良さは秀逸。面白かったです!

0
2024年04月13日

Posted by ブクログ

 コルター・ショウ三部作を終えたと思いきや、そちらのシリーズはさらに続編があるというニュースもあるし、リンカーン・ライムの新作も間もなく出るという中で、春先には短編集を二分冊で出していたので、ディーヴァーのワーカホリックぶりはどれだけ凄いのか、とびっくりさせられるのだが、これは2014年の短編集なので、凄いのはディーヴァーだけではなく、むしろ続々日本の読者に彼の作品を届けてくれる翻訳の池田真紀子さんなのだ。

 感謝の気持ちを抱きながら作品集に取りかかる。個人的にはこの5月、ちょっとした入院をきっかけにディーヴァーの積読本を沢山読んだのだが、そこでも一応シリーズ全読の終わったキャサリン・ダンスの短編作品『フルスロットル』で本書は幕を開ける。人間嘘発見機のキャサリンだが、今回は箸にも棒にもかからぬ無表情の犯人取り調べの模様が冴える。タイムリミット型スリラーなのだが、苦慮するキャサリンに読者も先が読めないのだが、ツイストの回収力はさすがである。早速ディーヴァーだなあとの苦笑を胸に作品を進める。

 アメリカ人としては珍しくサッカーに目がないエディー・カルーソと、ライム・シリーズお馴染みの刑事ロン・セリットーのコンビネーションが、練りに練られた二転三転の事件を暴く『ゲーム』。

 出演者たちが自費でポーカーをやるライブTVの試みとその経緯を描く『バンプ』は、アメリカでは賭博の法律がどうなっているんだろうと気になりながらも思いがけぬ展開を見せてゆくツイストと、ラストの大転換にやられた一作。

 リンカーン・ライム短編は、『教科書通りの犯罪』。警察アカデミーの生徒マルコとこのタイトルの関係が気になりつつ、サックスとマルコによる奇妙な現場の鑑識活動が始まる。証拠だらけの現場。教科書に出てくるような証拠がまるまる一セット。もちろん読み終わる頃にはすっかり騙されてしまった読者がいるというエンディングが楽しい。

 この作品集中の白眉が、何と言ってもあまりに久々なジョン・ペラム・シリーズの短編作『パラダイス』だろう。コルター・ショウの前身と呼ばれるペラムは映画のロケ・ハンターで、いわゆる旅をしながら事件に巻き込まれてしまう探偵である。いきなりのアクション・シーンから、怪しい男女たちの集まる片田舎の村。短い時間の間に様々な人物の疑いと闘いと殺人。楽しい一冊だった。長編でも復帰してほしいところだが、ディーヴァーの未来作は、コルター・ショウに引き継がれてしまったかな。

 ラストは北京オリンピックを舞台に国際間のスポーツとそうでないところの競争?も描いた小品『三十秒』。

 ほとんどの作品が70~100ページ弱で短編集というよりは中短編集と言える作品集だが、二分冊なので一冊にまとめたつもりで連続的に読んでゆくと良いかと思う。

 ちなみに作者のまえがきは一冊目にしか載っていないが、これがなかなか味のある意味深げである。まるでマジシャンの記述前のトークのようだ。ディーヴァーの前置きにうずきながら、騙されるものかとページを繰る歓びにひたれる時間は、ぼくにはけっこう幸せなひとときなのである。

0
2022年10月10日

Posted by ブクログ

ジェフリー・ディーヴァーの短編集。

ジェフリー・ディーヴァーは、短編が好きみたいですね。まえがきにそんなことが書いてありました。

中には、キャサリン・ダンスもの、リンカーン・ライムものが含まれています。ライムも良いですが、ダンスも良いですね。

0
2022年08月23日

Posted by ブクログ

ディーヴァーの短編集は本人も言う通り常に長編とは違ったアプローチで書かれていてついつい長編と比べてしまって物足りなさを感じてしまうってことが少なくて良い!

今回はディーヴァーの二枚看板、キャサリン・ダンスとリンカーン・ライムの短編が素晴らしかったです
2人の代名詞となっている捜査方法が使えない犯人が相手でいつもと違うやり方を駆使して犯人を追い詰めるんですが
もし、これを長編でやったら従来のファンから非難轟々だったと思われ短編だからこそその「いつもと違う」というどんでん返しを決められたのかなと

さすがディーヴァー!やっぱりディーヴァー!

0
2022年07月03日

Posted by ブクログ

短編集。
「ゲーム」は予想が当たり、嬉しい。
キャサリン・ダンスやリンカーン・ライムなどのシリーズ物はやはり面白い。

0
2022年06月23日

Posted by ブクログ

キャサリン、ライムもありで結構捻りのあるストーリー。結構、うまい短編。テンポよく読めました。 次もいいかなあ。。。

0
2022年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジェフリー・ディーヴァーの短編集だったので。

リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスと
有名どころも登場して面白かった。
ジョン・ペラムが主人公の作品は読んでいないので、読まないと。

実在の事件を元ネタとした、と著者前書きに書かれていた「ゲーム」は、
読んでいる途中で既読の「狂気の詐欺師一家」の事件だと気が付いた。
実際の話を知っていても、もちろんそのとおりではなく、
面白い、しかも心温まる展開になっていて良かった。

キャサリン・ダンスが事件解決後に会う人物を、
重要人物と思わせておいて、
世紀の巨大タコなのは面白かった。
彼女の子供たち、といっても娘の方だけかもしれないが、熱望していて、
45分も待たされたとあっては、充分、”重大事項”だと思う。

0
2022年06月02日

Posted by ブクログ

鉄板中の鉄板、ディーヴァーの短篇集。今回も期待通りに楽しめた。「著者まえがき」からすでに面白い。長篇とはまた違う短篇の書き方を、もし自分が「名犬ラッッシー」を書くならと、例を挙げて説明している。これが実にディーヴァーの短篇の持ち味をよく表していると思った。「はらわたまでねじ切れそうなひねり(ツイスト)にサプライズ、意表を突く展開を武器に、読者の急所にずばり斬りこむ」まさにその通りの六篇を堪能しました。

「フルスロットル」
キャサリン・ダンスもの。これが一番良かったかな。仕掛けがあると重々わかっているのに、えー、今回ばかりはダメなんじゃないの?とハラハラドキドキ、作者の掌の上で踊りまくり。二度読みもまた楽し。

「ゲーム」
結末はこうであろうと一部は見当がつくけれど(ディーヴァーの愛読者なら皆そうだろう)、そこに至る道筋は全く見えない。そうか、そういうことかと納得して満足。

「バンプ」
これは楽しい。人が死なないし。ポーカーをする人ならなおさら楽しめるのでは。

「教科書通りの犯罪」
リンカーン・ライムもの。面白いんだけど、犯人にちょっと違和感あり。いや、面白いんだけど。

「パラダイス」
まえがきでディーヴァーが「自分では過去ベスト級のエンディングの一つだと思っている」と書いている。おお、期待度はマックス!だったのだけど…。そのワクワクが強すぎたのか、うーん、そこまで「うっちゃられた感じ」はなかったような。ただ、六作のなかでもっとも映像的で、映画にしたらすごく映えるだろうと思った。そう、この短篇集、オムニバス映画にしたらいいのに。絶対見る!

「三十秒」
珍しくちょっぴり政治がらみ。読者の思いこみを利用したサプライズがお見事。この一篇だけは映像にはしにくいだろうなあ。

0
2022年06月02日

Posted by ブクログ

ジェフリー・ディーバの短編集。リンカーン・ライムやキャサリン・ダイスが登場する作品もある。どれも短いのに、しっかりとした伏線と謎解き、さらにはお得意のどんでん返しと短さの中に濃く詰まっていてさすが。

0
2022年05月20日

Posted by ブクログ

消化不良と言う気持ち。キャサリン・ダンスもじっくり味わってこそのキャラだが、、、
アメリアやセリットーらのお馴染みの人が登場して嬉しいが、作者は中編では実力がイマイチだったのかな、面白いのは確かだが、。

0
2022年12月02日

Posted by ブクログ

CL 2022.7.15-2022.7.18
短編集だけど、ジェフリー・ディーヴァーらしさが満載。
ただ、ディーヴァーらしすぎて犯人やカラクリがわかってしまうものもいくつかあった。

0
2022年07月18日

Posted by ブクログ

これだけずっと読んでると、短編なら冒頭で「あ、これは死んでない」とか「犯人これか?」とかわかってくることがあるのだが、そんでもどうやって解決にたどり着くかは見当もつかないんだな。さすがディーヴァー。
そして、シリーズもののなじみぷかいキャラたちはもちろん、初めて会う登場人物もなぜかリアルに感じる。日本のミステリってそこが弱いような気がして。
思えば、車の免許とりたいって思ったのは、アメリアへの憧れからかもな。

0
2022年04月26日

「小説」ランキング