あらすじ
石油は、環境問題も起こすし、残っている埋蔵量も少ない。では、次のエネルギー資源は何か?太陽光発電が注目されているが、太陽電池で日本のエネルギーをまかなおうとすると、国土の60%を覆う必要がある。気体で、爆発する危険性の高い水素は扱いづらく、水素社会が実現すれば地下が水素貯蔵タンクだらけになる。現在の電気自動車の多くはリチウムイオン電池を積んでいるが、これが普及すると、リチウム資源が不足する。この状況を突破する解こそ「マグネシウム循環社会」である。海水から淡水を取り出して利用し、残ったものに太陽光からつくったレーザーを当てることでマグネシウムを取り出し、燃料として利用する。使った後は、またレーザーを当てることで完全にリサイクル。温室効果ガスも出ない。『タイム』誌で2009年Heroes of the Environmentに選ばれた矢部教授が、二酸化炭素25%削減も実現する新技術を公開する。
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Posted by ブクログ
以前から読みたかった本で今回の災害前からコンセプトを聞いていた。実際に読んでみたところ、現実以上SF以下というところですね。
現在、枯渇が話題となっている化石燃料の石炭、石油に変わる新たなエネルギーの可能性としては大きく評価できる。
また、循環システムおよびエコシステムについても、最初から構想に入っていることが今っぽい展開である。
この循環システムの中では、太陽光→レーザー→マグネシウム→電池→酸化マグネシウム→マグネシウムという循環になります。この中で、マグネシウムから電池を作製し電池として消費する部分に関してはすでに実用レベルですが、それ以外のレーザー生成及び海水からのマグネシウム生成がまだ実用段階まで来ていないと思います。
この部分をぜひ、少しでもサポートできればと思っております。
現在の原発問題すら変えてしまうかもいれないポテンシャルに対してはとても魅力を感じております。今後が楽しみな一冊でした。
Posted by ブクログ
石油が枯渇してしまう日は刻一刻と迫っていて恒久的ではないので文明社会を継続していくには新たなエネルギー源や我々の住む地球環境へのリスクや負担を減らす新たな技術というのが必要となってきます。
矢部氏、山路氏の研究は次代のエネルギー開発の先駆者となることだと思います。
作中まとめ
石油、石炭は安定供給がむずかしく環境問題を抱えている。年間の世界エネルギー使用量は石油換算で100億トン以上。太陽光発電だけでは石油代替は難しい。水素は運搬貯蔵が難しい。
海水からマグネシウムを取り出しレーザーで製錬、燃料として使用して生じた酸化マグネシウムを再度マグネシウムに製錬しマグネシウム循環システムの構築。
レーザー製錬法は建設コストはかかるがランニングコストがゼロに近いため価格的に優位。海水中には1800兆トンのマグネシウムが含まれている。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
石油の次のエネルギー資源は何か?
太陽電池で日本のエネルギーを賄おうとすると、国土の六割を覆う必要がある。
水素社会なら地下が水素貯蔵タンクだらけ。
リチウムイオン電池を載せた電気自動車が普及すると、リチウム資源が不足する。
さらに、今の造水法で世界的な水不足に対応するには、世界の電力を五割増やさねばならない。
この状況を突破する解こそ「マグネシウム循環社会」である。
『タイム』誌で二〇〇九年Heroes of the Environmentに選ばれた、二酸化炭素二五%削減も実現する新技術を公開する。
[ 目次 ]
第1章 石油文明に代わるのは、自然エネルギー・水素社会か?
第2章 太陽光からレーザーをつくる
第3章 レーザーでマグネシウムをつくる
第4章 マグネシウムを燃やす
第5章 海水から淡水とマグネシウムを取りだす
第6章 マグネシウム循環社会がやってくる
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