あらすじ
深刻な格差社会の拡大。低所得と病気を関連づける疫学データは多い。だが、それだけではない。社会福祉の専門家で医師の著者は、格差社会の拡大は病院に満足にかかれない低所得層を産むだけでなく、富裕層の「勝ち組」をも不健康にして社会全体の地盤沈下を招いていることを解明。健康格差に対抗し、隣人・友人とのネットワーク作りなど、社会と個人の「心とからだ」の健康を守る処方箋を提案する。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「所得の格差」が「いのちの格差」まで生む「健康格差社会」。
高齢男性の低所得者は「うつが7倍」「死亡率が3倍高い」のはなぜ?それだけではない。
「負け組」だけでなく、「勝ち組」さえも病んでゆく。
だれもが不健康になっていくのが、「健康格差社会」のほんとうの恐さ!
米国に追随し、日本もそうなりはてるのか。
処方箋はないのか。
[ 目次 ]
第1部 「健康格差社会」の現実(「健康格差社会」日本;なぜ「健康格差」を問題にするのか)
第2部 「健康格差社会」発生のメカニズム(「見かけ上の関係」か?;なぜ健康格差は生まれるのか;社会疫学とは何か;格差拡大は国民を不健康にする)
第3部 「健康格差社会」を生き抜くために(「健康格差社会」を生き抜く;一人の力で生き抜けるか;健康によい社会を考える;本書で伝えたかったこと―「well-beingな社会」を目指して)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
格差は健康に影響し、格差社会は高所得者にとっても格差の小さな社会より健康によくない、だから格差の小さい社会を目指すべし。うーん、難しいかも。でも、そっちの方がいい。
2018.3再読。方向性は自己責任型へ向かっているのかなあ。
Posted by ブクログ
今まで健康に関する本をたくさん読んできたが、そのほとんどは個別の症状に関するミクロな視点の本だった。
この本は、健康というものをデータに基づき、社会的にマクロな視点から考察している。
社会経済的地位の高さと、健康状態の良さに相関関係がある、という事実を起点にして、各章でさまざまな視点から論じている。
色んなデータが提示されており、それぞれが興味深い。
「社会疫学」というものにこの本で初めて触れたが、入門書として分かりやすかったと思う。
Posted by ブクログ
健康は生活習慣の問題がおおきい。そうおもっていたがそうではないらしい。健康ゴールド免許も同様の視点からつくられた制度だろう。習慣が健康かどうかを決めるのではなく、生まれた瞬間から健康格差が存在しているという残酷な現実を豊富なデータをもとに紹介。たとえば所得の低い人ほどがんになったり脳卒中になる確率が高い。がんになるから所得が低いとかではなく結果としてである。格差には相対格差と絶対格差があるが、人間は社会的生物であるので相対格差のおよぼす影響が甚大。大昔にくらべれば絶対的な健康レベルはあがってるだろうけど相対的格差の拡大によって人の健康に格差がうまれる。健康格差とは「命の格差」であるという重い指摘が印象にのこった。