【感想・ネタバレ】赤い死の舞踏会 付・覚書(マルジナリア)のレビュー

あらすじ

「赤い死」が蔓延するなか、千人の友達と僧院に避難したプロスペロ公は壮麗な仮装舞踏会を催した。そこへ現れたひとりの仮装した人物が、人々の間に狼狽と恐怖と嫌悪を呼び起こす――死に至る疫病に怯えおののく人々を描いた表題作のほか、処女作「メッツェンガアシュタイン」など短篇小説十篇と、蔵書の行間に書き込んだ思考の断片「覚書(マルジナリア)」を収録。


巻末に解説「ポォの作品について」を所収。
吉田健一の名訳が愛好した作品が名訳で甦る。

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Posted by ブクログ

収録作中9編は創元推理文庫『ポオ小説全集』で既読だが、
訳が違うので新鮮な感動を味わう。
吉田健一セレクトの短編集+
ポオの覚え書き「マルジナリア」収録。

■ベレニイス(Berenice,1835)
 青年エギアスは従妹ベレニイスと共に育ち、
 長じて彼女を愛するようになったが、
 その美貌は病によって損なわれた。
 やがて……。

■影‐一つの譬え話‐(Shadow,1835)
 プトレマイスの屋敷に集ったオイノスたち
 七人だったが、部屋には若いゾイロスの遺体が。
 そこへ帳(とばり)の後ろから現れた影――。

■メッツェンガアシュタイン(Metzengerstein,1836)
 反目し合う名家ベルリフィツィング家と
 メッツェンガアシュタイン家。
 後者の若き新当主フレデリックの前に現れた馬は
 火事になったベルリフィツィング家の厩舎から
 逃げてきたかと思われたが……。

■リジイア(Ligeia,1838)
 聡明で美しい妻リジイアを亡くした「私」は
 放浪の果てに出会ったロウィーナを娶ったが、
 彼女もまた病に臥してしまった。
 ある晩「私」は部屋の中に奇妙な影を見出し……。

■沈黙(Silence,1839)
 《魔鬼》が墓の前で《私》に語った寓話。

■アッシャア家の没落(The Fall of the House of Usher,1839)
 旧友ロデリック・アッシャアからから
 手紙を受け取った語り手《私》は彼の許へ。
 神経をすり減らした彼の心の慰めになればと
 思ったものの、
 不調の原因は二卵性双生児である妹マデリンが
 重病に伏していることだった。
 ある晩、とうとうマデリンが亡くなり……。

■群衆の人(The Man of the Crowd,1840)
 語り手《私》は秋のロンドンのコーヒー店で
 窓辺に座り、通りを行く人々を観察していた。
 雑踏の中に一人の老人を見出した《私》は、
 その人物の挙動が気になり、後をつけた。
 すると……。

■赤い死の舞踏会(The Masque of the Red Death,1842)
 疫病から身を躱そうと、
 臣下と共に城に閉じ籠もったプロスペロ公。

■アモンティラドの樽(The Cask of Amontillado,1846)
 amontilladoはシェリー酒の一種。
 語り手こと《私》=モントレゾルは
 自分を侮辱した酒好きのフォルテュナトに復讐するため、
 大樽を入手したと偽って……。

■シンガム・ボップ氏の文学と生涯~
 『グースゼラムフードル』誌元編集長の自叙伝
 理髪師の息子シンガム・ボップ氏は
 いかにして文壇に名を馳せ、
 また有名文芸誌の編集長になったか。

■覚書(マルジナリア)
 ポオが蔵書の余白に書き込んだメモ。
 切れ味鋭い箴言の数々。

0
2021年05月29日

Posted by ブクログ

短篇作品はもちろんどれも味わい深いですが、「覚書(マルジナリア)」が、ポーの随筆・文学論・人生論的断片が集められた感じで、芥川龍之介の「侏儒の言葉」に近いノリで楽しめました。

0
2021年05月25日

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