あらすじ
――お前はバカだ。もう、逃がしてやれない。
不可思議な痣のせいで不吉な王女と忌避されて育ったアリーシェ。
“神の子”とされる聖帝の妃候補となるが、
嫉妬した義母から命を狙われ、“魔の森”へと逃げのびる。
人を喰う獣が跋扈すると恐れられるその森で助けてくれたのは、
人間離れした美貌を持つ森の管理者グラムだった。
アリーシェは、ぶっきらぼうながらも世話焼きで優しい彼に惹かれてゆき、
このまま穏やかな生活が続くことを願う。
だがあることがきっかけで、彼に抱かれる必要が出てきて……!?
謎を秘めた寡黙な隠者×虐げられた王女、“神の庭”で育む運命の恋。
【目次】
プロローグ 神の森に住む少女
第1章 痣のある王女
第2章 神の森の隠者
第3章 森の隠者は選定する
第4章 忍び寄る影
第5章 水面下の攻防
第6章 聖帝と神の花嫁
エピローグ 神の花嫁は聖帝の腕の中で花開く
あとがき
【関連ワード】
ライトノベル 恋愛 ファンタジー ソーニャ文庫
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Posted by ブクログ
強制された鳥籠から、自分で望んだ鳥籠へ。
結局アリーシェの世界は狭いまま、閉ざされたままだ。
しかも知らず知らずのうちに聖帝の花嫁として体も作り変えられてしまった。
第三者が俯瞰で見ると『彼』の執着が頼もしくもあり怖くあり、アリーシェの世界の狭さが心配にもなった。
でも、『彼』にとってまともに触れられる唯一と言っていい女性がアリーシェであり、義母妹たちから虐げられていたアリーシェにとって乳母やメイドたち以外で初めて彼女を受け入れてくれた相手が『彼』だった。
互いに唯一の相手だったのだ。
だから、きっと幸せだ。
例え外から見れば多少歪んでいても。
と言いつつも、このレーベル的にはびっくりするほど安心して読めるお話。
アリーシェが基本的にスローライフを送っているし、癒し系のヴィラント(終盤に大活躍)に、アリーシェを祖国で慈しんでくれた人たちも、今の暮らしで縁を結んだ人たちも優しい人たちだったから。
特にメイドの子がお気に入り。
いい子で有能なのだ。
アリーシェを虐めていた人たちにも、きっちりざまあ展開が用意されているので、すっきりもできる。
終盤の展開こそハラハラしたが、ほのぼのした、読み心地のいいお話だった。