あらすじ
最新の歴史研究を踏まえた「田中日本史」の決定版。日本史を各時代のエピソードを中心に通史で概観! *上巻は縄文から平安時代まで。
第一章・日高見国――縄文・弥生時代、関東にあった祭祀国家
第二章・天孫降臨――関東から九州へ、船で渡った瓊瓊杵尊
第三章・大和時代――神武天皇と日本の統治
第四章・飛鳥時代――日本人の神髄「和」の思想の確立
第五章・律令国家の誕生と国家意識の確立
第六章・奈良時代――日本の古典を成熟させた天平文化
第七章・平安時代――貴族が極めた宮廷文化の頂点
※本書は平成24年刊行の田中英道著『日本の歴史 本当は何がすごいのか』(育鵬社刊)をもとに、最新の歴史研究の成果を踏まえ、大幅な加筆を行い刊行するものです。
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Posted by ブクログ
多くの創見と深い洞察に満ちた、まったく新しい日本「国」史。
そもそもこのタイトルが、日本史ではなく日本国史であるところから驚がされる。著者は、日本には古代から村落共同体が緩やかに結びついてつくられた国があった、という。
縄文土器の文化レベルの高さ、縄文文様に込められた古代人の願いとその精神性の豊かさ、美術としての素晴らしさ。
日本書紀の生活指針の中には、魚を中心にタンパク質を摂ることが記されており、肉食のヨーロッパ人が森を切り開いて牧草地を広げ、土地が乾燥して荒れてしまう結果になったことと比べ、農業を専らとする日本は緑にあふれた国土が今に続いている。祖先の知恵の賜物である。
老人医療と介護も光明皇后から始まっており、奈良時代から国がいかに民を大切にしていたかが偲ばれる、などなど、我が国日本がどれだけ誇るべき国柄かを丁寧に説き明かす好著。
Posted by ブクログ
古事記にある高天原は東日本の日高見国の事で、天孫降臨は鹿島から鹿児島に船でやってきたという筆者の説。
当然古代の話なので完全な実証も反証も不可能だが、面白い。
日本は大和が徐々に関東、東北を支配していったとの定説があるが、地球が寒冷期になる前の縄文から弥生時代にかけて東北に日本の原型となる国があり、これが高天原、つまり天照大神系の国だという。
神話は単なるフィクションではなく事実を元にしているというのはその通りだと思わせる説得力がある。
ただし日本という国を特殊化し賛美する言説に少し疑問は感じる。
私も素晴らしい伝統をもった国だと誇りは持っているが、優れた民族という理解は危険であり、地政学的に特殊な環境がもたらした産物であると理解している。
ジャレドダイアモンドの銃病原菌鉄を読んだ直後でもあり、特にそこが気になった。
Posted by ブクログ
イマイチ歴史に疎い自分にとってはとても分かりやすく読めた。
けどー、日高美国や縄文人の骨格はユダヤ人?「私が思うに!」の自説もかなりあって楽しめた。
Posted by ブクログ
古墳時代以前の日本に「日高見国」(太陽が昇るところを見るところ、という意)があったとして、神武天皇やら色んな神話が説明できているところは、なかなかに説得力ありでした。
Posted by ブクログ
歴史を学ぶ意味とは何か――著者は日本の歴史を神話から連なる天皇の系譜を軸に据え一貫した国のかたちとして描き出す。文献のない時代、縄文からの国が成立していないであろう歴史を追う。
西洋中心の歴史観では見落とされがちな日本独自の精神や文化の根がある。教育の現場では断片的な知識の羅列にとどまり通史としての日本の姿が見えにくくなっている。
本書は国の成り立ちを自分の言葉で語れるよう導いてくれる。とはいえ歴史をどう語るかは受け取る側の姿勢にもかかっている。事実をどう解釈しどう未来に活かすか。それが歴史に学ぶということだ。読み終えて今を生きる自分の足元を見つめ直したくなった。
Posted by ブクログ
あっ、こっちは「太陽信仰」説なんだ?先日読んだ『縄文人の世界観』は「月信仰」説ごり押しだったので。まあどっちもあるよな。
日本の古代史においてなかなか斬新な説を解いている本書。
・土偶が近親相姦による異形の人々を信仰のモチーフにしている説。
・『魏志倭人伝』は想像の物語説
・武人埴輪はユダヤ教徒説(写真めっちゃ似てる)
白鳳時代あたりからは普通の歴史の読み物といった感じ。当時の人が書いた文章などの資料が少ない時代は、各々いろいろな主張を出すよね。古代はそれがまた面白いところというのを実感しました。
Posted by ブクログ
⚫︎日本の成り立ち
埴輪がユダヤ人の特徴と酷似しているという宣伝があり、なんのことを言っているか興味があり、購入。
日高見国の話、人類がアフリカから東に移動して行った話、日本は東から西を征服していった話、古代日本は王がいて征服されている国家ではない話、卑弥呼の存在はない、など、一見すると、本当だろうかと疑問がわくような話だが、よくよく読んでみると、なるほどと思いました。
世界は人同士の争いを積み重ねて来たが日本は自然災害を積み重ねてきているということに共感を覚え、このような経験が日本人の性格の下地を作っているのだなと思いました。
また、蝦夷と征夷大将軍の戦いは一体なんなんだろうと、なぜ西の人達が正しいのか、かねがね疑問に思っていたが、蝦夷が日高見国の残りの人達である可能性があることから考えると、すっと頭に入り、長年の疑問、わだかまりも溶けた気がします。
歴史の解釈について固定概念がとれました。