あらすじ
本当に、一人ぼっちになっちゃった……。大好きな姉・千津子に続いて母も亡くし、父は別の家庭へ。高校を出て就職し、中堅社員として働く実加の前に突然現れたのは、見知らぬ女の子だった! 『ふたり』から11年、27歳の実加は危うい恋に吸い寄せられ、社の一大プロジェクトに奮闘、果ては結婚式場まで探す羽目に! そして、ある夜、懐かしい姉の声が再び――。姉妹小説の金字塔、奇跡の続編。(解説・中江有里)
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Posted by ブクログ
久しぶりに、懐かしい感覚で読めた小説です
主人公へ共感しながら、悪人への憎悪、ズルい奴への不快感、犯罪者への恐怖、浮つく恋心と、若かりし頃に、小説が一番に面白いんだって気持ちで本を読んでいた頃を思い出しました
たぶん読者の中で、千人に一人の「ふたり」を読んでいない者ですが、小説として、読み飽きずに最後まで読めました
プロの作家として、読める作品にするための、話の間や、予期しない展開、演出される状況は、すべて昔ながらの良さを感じました、それは懐かしい醤油ラーメンのようで、お家で食べるときにはハムがのっていた決まりきった良さでした 食べ慣れた味わいに、鮮度は関係なく、書店に併設されたCDショップの片隅のカセットテープや、いまも書店の一角を占める時代小説のような、変わらないものの良さを感じました
新しい読書の楽しみ方を発見した小説にもなりました
作者が書く事情や作者の背景へ想いをはせて、出版されるまでの物語の物語を想像しました
おそらく出版社へ「ふたり」の続きを期待する投書が、平成のおわり頃から届きだしたのかなぁとか思いました
もっと具体的に、作者さんが顔を出したパーティーとかで、赤ら顔の年配の方に、「ふたり」のあの子たちどうなったのと、アルコール混じりの吐息と共に聞かれることもあったのではないかと想像しました
だからテーマとして現実を見せる作品だったというよりも、生きて、その先を問われ続けても、いつか死ぬだけじゃん、という諦念があるのかなぁと思いました
それは新たに生まれる命によって成り替わられ、進展していく良さでもあるという作品だと思いました
とはいえ、「ふたり」も読んでいない人間の独りよがりな感想でした 文章の上手さと物語の運びの軽やかさに、書き続けた作家の腕を感じました
Posted by ブクログ
まさか『ふたり』の続編が出るとは!!
『ふたり』は、数ある赤川次郎作品の中で、名作中の名作と言っていい。
“いもうと”の美加の心の中に、死んだはずの姉・千津子の声が聞こえる……。
千津子は美加にアドバイスをして導いてくれる存在となるが、美加が千津子の年齢を超え、千津子の経験しなかった父の浮気という事態に直面して、姉を超えてしまった時、美加の心の中の千津子は消えてしまう……。
思春期の少女の青春と、青春が終わりを告げると同時に喪ってしまったものの大きさを描いた名作である。
それになんと、続きが!
『ふたり』から10年が経過し、本作では、美加にも”いもうと”が生まれ、美加自身が姉の立場になっている。
かつての千津子のように……とはいかなくとも、美加は美加なりに、仕事にもプライベートにも誠心誠意、対応していく。
前作の刊行が80年代?なので、今作は設定上は90年代、のはず。
(文庫版が91年で、単行本の初版は89年だった)
不自然には古くないけど、不自然に新しすぎないちょうどよい塩梅が非常に上手い。
ケータイは普通に使われるけど、SNSは登場しない、とか。
そして、『ふたり』のほろ苦く、それでいて心地よいラストシーンとは異なり、なんと清々しく明るいラストであることか!
エピソード一つひとつは重苦しいものばかりなのに、希望に満ち溢れるラストシーンが気持ちいい。
10年という歳月が、いかに人を変えてしまうのか、それを良くも悪くも見せつけてくれる作品だった。
しかし、美加の周りの男どもはなんであんなクズばかりなのか?
後輩のさつきの恋人・白倉を含め、カッコいいまともな男が一人も出てこないじゃないか……。
『ふたり』を読んだものにとっては、汚れ切った大人になってしまった神永さんの姿はショックである。
美加の恋人は、神永さんじゃなくて哲夫だったはずだけど、その彼は今どうしていることやら。
彼こそは真っ当なアラサー男子に成長していてもらいたい。
そしてこれ、シリーズ化しそうな雰囲気を感じたのは私だけか。