【感想・ネタバレ】いもうと(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

本当に、一人ぼっちになっちゃった……。大好きな姉・千津子に続いて母も亡くし、父は別の家庭へ。高校を出て就職し、中堅社員として働く実加の前に突然現れたのは、見知らぬ女の子だった! 『ふたり』から11年、27歳の実加は危うい恋に吸い寄せられ、社の一大プロジェクトに奮闘、果ては結婚式場まで探す羽目に! そして、ある夜、懐かしい姉の声が再び――。姉妹小説の金字塔、奇跡の続編。(解説・中江有里)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まさか『ふたり』の続編が出るとは!!
『ふたり』は、数ある赤川次郎作品の中で、名作中の名作と言っていい。

“いもうと”の美加の心の中に、死んだはずの姉・千津子の声が聞こえる……。
千津子は美加にアドバイスをして導いてくれる存在となるが、美加が千津子の年齢を超え、千津子の経験しなかった父の浮気という事態に直面して、姉を超えてしまった時、美加の心の中の千津子は消えてしまう……。

思春期の少女の青春と、青春が終わりを告げると同時に喪ってしまったものの大きさを描いた名作である。

それになんと、続きが!

『ふたり』から10年が経過し、本作では、美加にも”いもうと”が生まれ、美加自身が姉の立場になっている。
かつての千津子のように……とはいかなくとも、美加は美加なりに、仕事にもプライベートにも誠心誠意、対応していく。

前作の刊行が80年代?なので、今作は設定上は90年代、のはず。
(文庫版が91年で、単行本の初版は89年だった)
不自然には古くないけど、不自然に新しすぎないちょうどよい塩梅が非常に上手い。
ケータイは普通に使われるけど、SNSは登場しない、とか。

そして、『ふたり』のほろ苦く、それでいて心地よいラストシーンとは異なり、なんと清々しく明るいラストであることか!
エピソード一つひとつは重苦しいものばかりなのに、希望に満ち溢れるラストシーンが気持ちいい。
10年という歳月が、いかに人を変えてしまうのか、それを良くも悪くも見せつけてくれる作品だった。

しかし、美加の周りの男どもはなんであんなクズばかりなのか?
後輩のさつきの恋人・白倉を含め、カッコいいまともな男が一人も出てこないじゃないか……。
『ふたり』を読んだものにとっては、汚れ切った大人になってしまった神永さんの姿はショックである。

美加の恋人は、神永さんじゃなくて哲夫だったはずだけど、その彼は今どうしていることやら。
彼こそは真っ当なアラサー男子に成長していてもらいたい。

そしてこれ、シリーズ化しそうな雰囲気を感じたのは私だけか。

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2022年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

さすがに人死にすぎでは…?
中江有里さんの解説「実加の優しさは面倒なことを吸い寄せてしまう。実加という実直な存在にある種の人々が頼ってしまうのではないか。〜特別な悪人ではない。〜一人では立っていられない人々は実加を非常時の支えにしてしまう。」を見てやっと納得した

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2022年05月21日

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