あらすじ
死を恐れつつも死について知りたい我々のために、あの唯野教授による世界一わかりやすい講義が一度かぎりよみがえる。読まずに死ねない名著『存在と時間』超入門。これが教授の遺言だ!
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Posted by ブクログ
ここまで平易にハイデガーの『存在と時間』を読み解くことができるのかという驚きの一冊。現存在が気遣いの存在であり空文を駆使して生きているが、そこから本来の生に戻してくれるのは死への不安である。一方で、死を絶対化していいのかという否定神学批判が展開されるのが、その後のポストモダンの思想であるというのが私なりの理解。
解説は大澤真幸によるキリストの二重性(生きて死んだ神)に着目したもの。頽落したキリストの弟子たちの話を書くことで『存在と時間』に話を合わせつつ、死への恐怖から神に祈りながらも結局殺されるキリストを描く。復活しては元の頽落に戻ってしまうので、あくまでも死ぬときの重要性を強調する。しかし復活するからキリストはキリストたり得たとも思うので、このあたりはもっと考えを聞きたいと思ったところ。