【感想・ネタバレ】オルゴーリェンヌのレビュー

あらすじ

書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年・クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。彼女と共に追い詰められたクリスの前に、彼を救うべく少年検閲官・エノが現れる。三人は、少女が追われる原因である宝石の形をした『ミステリ』の結晶『小道具(ガジェット)』をいち早く回収すべく、オルゴール職人たちが住む海墟の洋館に向かったが……。そこで三人を待ち受けていたのは、職人たちを襲う連続不可能殺人だった! 先に到着していたもう一人の少年検閲官・カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。著者渾身の力作!/解説=福井健太

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読む順番は恐らく違ったのだろうが、北山ミステリは初読みだ。叙述トリックのものは読んでいたが、ここまでの物理トリック。説明的なのに説明だけでは終わらない、雰囲気や温度感、空気感も大事に描かれていた。

何より少しずつ小さな不明点を明らかにすることで、1番大きな伏線を回収することへ繋がる。残った人たちの推理が、その人の都合で解釈されていく中、もっとも冷静で冷酷な答えに導かれる。歯車が噛み合ってしまった無念さも、オルゴールの世界観と同期されている気がした。

順番は違ったのだろうが、1作目に選んで正解だったと思う。解説にもとても作者への愛を感じることができた。少年検閲官や、他の作品も読んでみようと思う。

0
2022年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ


厚さが嬉しくなるほど夢中で読んでしまった。

二転、三転。

そして途中で気づいて
嫌だ、嫌だと思うも
1番苦しく切ない真実を突きつけられた。

それなのに物語の美しさに
まるでハッピーエンドかのような錯覚を覚える。

クリスの冒険の続きを読みたい。
けれどこれ以上のものが生まれるのだろうか。


ちなみにカルテの『足枷』はなんだろう。
高さが怖い、とかかな??
それなら先輩のために頑張ってビルに登ったのはとてもかわいい。

0
2022年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作中の検閲官は中世の異端審問官とゲシュタポを混ぜたような連中で、存在そのものが「悪」と切って捨てたくもなるのだが、それでも彼らの、人殺しの話を何故読んだり書いたりするのか、という問いは、ミステリ読者として見過ごしにはできないだろう。この問いに少なくとも「人殺しの話が好きだからではない」と作品そのもので返答しているように思えることを、まずは讃えたい。ミステリとしてはこれでもかの物理トリックが、別の途方もない仕掛けの伏線であることに感嘆。素晴らしい。

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2022年05月01日

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