あらすじ
明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。(解説・辻井喬)
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Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった!!!!
びっっくりした!
昔の人ってこうだったんだ・・・
手に取るようにわかる
噂には聞いていたあの話、この話、
細かい着物の描写は、どんな生地なのかとかわからなかったりするけど、
だから運針を学校で習ったんだな、
命からがらって関東大震災はこんなだったんだな、
地域が助け合って暮らしていた頃ってこうだったんだな、
日本の良さ、感じられました。感動!
大事にしたい本。
Posted by ブクログ
着る、ということについて
深く考えさせられた。
おばあさんが、るつ子に教えること、
戒めることは、
女性が美しく生きるために大切なこと。
着ることも、疎かにせず、
きちんと考えて向き合うことが
生き方に、すっと一本筋が通る気がする。
気になる部分(それはたくさん)を
折り、何度も読み返したくなる
大切な一冊になった。
Posted by ブクログ
名作なんだろうが、小公女とか灰かぶり姫とか、文学少女が好きな童謡を下敷きにされているのではと思うほど、主人公が辛らつな目に遭っていく。
幼い頃は着物に対する美意識がとにかく高くきかん気で、高いものねだりをするヒロイン。末っ子の我がままかと思うが、長ずるにしたがい、気位の高い長女、金に賢しい次女に、奴隷のように扱われる。「鬼龍院花子の生涯」みたいに。
女学校在学中に母が倒れ看病に疲れ、父のかつての浮気相手(?)も登場し、母の葬儀では姉ふくめた親類の酷さを見つけ、震災で焼け出されたあとで就職したものの、父の反対を押し切って結婚する。が、どうも不幸の影が付きまとったような終わり方。
遺作なので半端に切れたようだが、物わかりのいい祖母や苦学生の友人・和子の存在感だけが光り、あまり後味のいい話ではない。ただ着物の美学や当時の女性の感じ方を知るにはうってつけの教材かもしれない。
しかし、子どもだてらに下着をひけらかしたり、痴漢が出たり、初夜がなまめかしかったり。タイトルから品の良さを勝手に期待していたのでびっくりした。
自伝的小説らしいが、父も幸田露伴がモデルなのだろうか。