【感想・ネタバレ】廃墟の白墨(はくぼく)のレビュー

あらすじ

和久井ミモザは、死の床にある父親に届いた薔薇の絵の写真と不可解な手紙に導かれ、大阪に赴く。指定された廃墟のようなビルにいたのは正体不明の三人の男。ここを「王国」と呼ぶ男たちは、父の過去を話し始める。かつて「王国」で起きた忌まわしい事件が語られるうち、ミモザ自身の真実もまた明らかになり――。愛と罪、贖罪が重なり合う、哀切と衝撃の傑作長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まったくもって暗い。遠田潤子が紡ぐ物語はいつも凄絶で暗い。なのに吸い寄せられるように読みはじめてしまうのです。

病床の父親宛てに届いた手紙を無視できず、指定された場所に出向く息子。そこにはかつて父親と同じビルに住んでいた男たちが集まっていて、その全員が最上階に住む艶めかしい大家と寝ていたという。

大家の惚れ込む男をクズだと言うけれど、ほかの男たちだって負けないぐらいのクズ。大家の幼かった娘の心配をしたところで罪滅ぼしにはならない。

誰も好きになれないのに読むのをやめられません。自らを赦すために死のうとする男たち。償おうにも償う相手はこの世にもういないとは。苦しい。

0
2023年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好みではないですが、視点が入れ替わることで、間延びせずに読むことが出来ました。大人が酷くて、子どもに影響が行くのを、「しかたない」としたくないです。

これでもかというほど、悪い方の道を選んでしまうことに対して、「器用には生きられない自分を肯定する物語として読む」と解説に書いてありました。この本の登場人物の不器用を肯定するのであれば、責任をもった生き方は合わないのだから、それは一生、明石ビルからは出られない生き方なんだろう思いました。

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2022年05月15日

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