【感想・ネタバレ】水底(みなそこ)の光のレビュー

あらすじ

不倫の相手と別れ、心の痛手を抱える奈々子に、蛍を見に来ないかと京都の義姉から誘いが届く。そこである秘密を告白され…(「闇に瞬く」)。成功した写真家の夫との間に娘のある絵美子。6歳年下の画家の浩之と、ともに家庭のある者同士が溺れる、刹那の恋(表題作)。そのほか、不条理な恋の闇の中で、一筋の光を見出しながら歩む女性たちと、断ちきれない男女の関係を、「光」の風景を織り交ぜて描く。大人でなければできない恋愛の小品集、全6篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

p50
「誰も否定できない,正しい当たり前のことを当たり前の顔をして口にして,したり顔をする人間が,わたしは昔から苦手だった。この種の人間は,人の心の中に生まれる曖昧な勘定を理解できないばかりか,強引に整理して,整理しきれないとわかると,平然と切り捨てにかかる。」
p51
「わたしはいつも中途半端だった。一番大切なものが,何なのか,わからなかった。同時に,一番背を向けたいものが何なのかも,わからなかった。大切なものも,背を向けたいものも,全部,自分が暮らしている家の中にあるような気がした。」

小池真理子が書きたいのは,当たり前の生活の中の,微妙なずれなのかもしれない。

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2012年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

書店でたまたま見て購入。
「不倫の恋」をテーマにした短編集。著者があとがきで、どの作品も「光」「イルミネーション」を重要なファクターにしたと書いている。どの作品も、障害がたくさんあるからこそ燃えるみたいな話では無く、重たい。
「冬の観覧車」が一番良かった。家族の象徴として登場する観覧車で撮影した写真は、不倫相手とその娘、不倫相手と自分のツーショットで、三人一組では撮らない。家族じゃないんだな、ということが重篤な病魔に侵されている不倫相手という設定とあいまって、痛切に胸に迫る。

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2013年05月18日

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